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名古屋のAkitaHam.代表の秋田健博です。ドイツに8年、ドイツの国家資格である食肉…

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名古屋のAkitaHam.代表の秋田健博です。ドイツに8年、ドイツの国家資格である食肉加工マイスターを取得後、地元名古屋に2009年創業。そもそも全く別の目的でドイツに留学したものの挫折しこの道に入った者です。昔の作り方を模索していく中でのたくさんの疑問を物語にしています。

最近の記事

die Bekanntschaft

指示された通りフランスにほど近い駅にミュンヘンから乗り継いでシュヴァルツヴァルド(黒い森)へ向かう。 おもしろいもので、北に向かえば北らしい、南に向かえば南らしい風景に変わっていくように、黒い森の名にふさわしい風景に変わっていく。 前回書いたように、顔は知らないがよく知っている人に会う。 駅に着いてもお互いの顔を知らない。果たしてどのようなファーストコンタクトとなるのだろうか? 駅からも見えるそそり立つ岩肌と、どことなく色味が濃い森が、ここがシュヴァルツヴァルドだと教え

    • Kommerzialisierung 職人の商業主義化

      気持ちの華やぐことのないひと時であった。 マイスターシューレから駅へと戻る道のりは、行きよりもより遠くに感じられたのだった。 ミュンヘン行きの列車に揺られながら、何とも言えない感情が湧いては消え湧いては消えしていた。 マイスターシューレに着いたときにはまた汗だくで、この時にすでに終わっていたのかもしれない。 丁度、一階の実技室で未来のマイスターたちは講義を受けていた。扉を開けた廊下は静かで閑散としていた。 入ってすぐに階段があり、そこを上がると事務所と座学の教室がある。

      • Attitude アティチュード 心構え

        ノースフェイスのバカデカイ相棒を背負い、歩く。そしてまた歩く。 左手に日本でいうところの100円ショップがある。丁度小さな交差点の手前。 当時も感じたことだが、このショップは移民と思しきたくさんの客で賑わっている。遠目に中を覗いてみても当時と状況は変わらないようだ。 信号がかわる。 確かに駅からマイスターシューレまでの道のりはかなりあったのだが 『こんなにあったっけ。。。』 ここをまた帰るとなると、、、想像もしたくない。 それほど気温も高くない心地よい陽気だが、自分の周

        • eine lenge Geschichte アイネ ランゲ ゲシヒテ

          旅も佳境に入ってきた。 ペーターとの、“おとこふたりたび”も終わり自己満足に浸るのも束の間。 次の日の早朝にはLandshut(ランヅフート)に向け出発した。 ランヅフートと言えば、世界で最も歴史のある食肉学校でマイスター養成施設がある。そして私の母校でもある。 血気盛んな若者がマイスターを目指しバイエルンの中核都市、ランヅフートへやってくるのだ。 3年間の修行を終え、Berufsschule(ベルーフスシューレ:職業訓練校)の試験も合格した私は当然のごとく、その門をた

        die Bekanntschaft

          Datierung デート。おとこふたり。

          肌寒い早朝。 ザルツブルグ行きの列車の発車を待つ。 日本で言えば初冬の肌寒さというような空気の冷えた朝だった。 目の前にはペーターがいる。 いよいよ男二人の旅が始まる。ザルツブルグで乗り換えてウィーンへ行く。 そしてウィーンのカナッペ屋で一杯やるというそんな日帰りコースなのだが、日帰りするには想像していた以上に時間がかかる為、朝一番の列車に揺られることとなったのだ。 ・・・どうも昨夜からペーターの様子がおかしい。 久しぶりの遠出でテンションが上がっているのだろうか? い

          Datierung デート。おとこふたり。

          水+廃棄物=加工品という現実

          28:00 番外編 ベジタリアン用加工品 植物性たんぱく質と表示されているが。 ニーマイヤー氏(添加物エキスパート) 『添加物の塊です。通常の肉を使ったものの2倍。もちろん食べられます。しかし、私たちが、何を食べたいか、ではないでしょうか』 29:50 フォルさん実演 『私の人生で初めて野菜のソーセージを作ります。』 野菜をどかして、出てきたのは白い粉。 『野菜と言えば聞こえは良いですが、真実はこちらのパウダーです。原料は野菜ですがこのパウダーの50~60%は増量剤です。』

          水+廃棄物=加工品という現実

          食べなれた味とは強制的に『慣らされた味』

          18:00 スーパーでランダムに商品を集め検査をする。 前回のリマ社の営業がドイツの事情通を紹介したくありませんと言ったことに反応し、では自分たちで調べましょう、という入りです。 今回はテレビ局と有名なニュース雑誌シュピーゲルの共同作業。 アウトレットのソーセージからBioのソーセージまで(鳥肉の)集めるが、どの商品にも『セパラトーレンフライシュ』の表示はない。 19:00 ハンブルクで一番のBIO生産者のもとへ。 『無添加』でソーセージを結着させるために温屠体で生地をつくる

          食べなれた味とは強制的に『慣らされた味』

          ドイツテレビ番組『ソーセージの闇』解説

          番外編、という事で先月6月末に放送されたドイツのテレビ番組の解説をします。私のブログに出てきているフォル(フランツ)氏の最新の番組です。 私が最初に見た番組から、その経緯でフランツに会いに行ってから数年。状況は良い方向に飛躍的に進みました。彼の情熱に感謝です。 数回に分けて解説します。 ↓番組URL https://www.ardmediathek.de/video/45-min/geheimsache-wurst-was-essen-wir-da/ndr/Y3JpZ

          ドイツテレビ番組『ソーセージの闇』解説

          Routine ルーティーネ。継続のたいせつさ

          『“halbeハルベ(半分)”飲むか?』 相変わらずだなと笑みがこぼれる。 1リッターの半分という意味でもちろん水ではない。職人たちにとっては水のようなものだが瓶ビールをこのように表現する。 ご存知のように、ドイツには数えきれないほどのビール会社がある。ことバイエルンにおいてはなおの事。 スーパーなどのビール売り場に行ってみるのも面白いと思うが、その土地。バイエルンという意味ではなく小さな町単位で置いてある品揃えが変わってくるのだ。 私もドイツのプリーンに住んで何年も

          Routine ルーティーネ。継続のたいせつさ

          Ausbildungsplatz

          陰に隠れて 『ゲハルト!』(親方の名前) と、大声で叫んで反応を試そうと思ったのだが隣接しているBüro(ビュロー:事務所)からシェフィンChefin(女性の社長)に見つかった。 社長が満面の笑顔で 『タケ!』 と来たものだから、私の悪ふざけは実行されないままで終わる。 私の修行先であるKunz(クンツ)は1910年創業で、その歴史は100年以上になる。5代目にあたるミヒャエル・クンツは社長の息子だ。 社長はクリスティーネ・クンツと言い、美しい容姿に似合わずパワフルでアク

          Ausbildungsplatz

          Begeisterung 熱意があれば言葉はいらない

          ペーターとのウィーン旅行が決まったところで、はじめて詳細を説明した。 そもそも詳細が先のような気もするのだが。 ベルリンからバイエルンに向かう途中に本来行くはずであったウィーン。 たまたま日本のテレビにウィーンの老舗レストランのカナッペが出ていて、それを見た母親からの Befehl(べフェール:命令)だったのだ。 ベルリンから出る時は “ま、行かなくってもいっか!” 程度に思っていたのだが、ペーターのお陰で実現した。ひとりで行くよりも、楽しいし何よりも、頼もしく感

          Begeisterung 熱意があれば言葉はいらない

          Persönlichkeit 個性とは何か。バイエルンの片田舎で思う

          『ペーターはもう少しで帰ってくると思うわよ。』 お互いに変わってないね、なんて話しながらレナーテはテラスの席に私を座らせた。 私のどでかい相棒(ノースフェイスのバック)を廊下に置き見知らぬ男性の座るテーブルについた。 いかにもクラシカルなバイエルンのおやじという長い髭を携えた初老の男性は、この宿の住人らしい。 名はアンディといった。 こういった風貌の男性を見ると、バイエルンの方言でもひと際、きつい訛りで、仲良くなるためにあえて強烈な皮肉を言う、すこし戸惑う癖のある人物

          Persönlichkeit 個性とは何か。バイエルンの片田舎で思う

          Kamerad 最後の約3年を過ごしたペーターのガストハウスに帰還

          日差しは厳しいのだが、ひんやりした風が吹き抜けた。 キームゼー(キーム湖)の辺りをキームガウ地方と呼ぶが、東にはKampenwand(カンペンヴァント)という東アルプスに属する山が見える。現地ではキームガウアー・アルペンと親しみを込めて呼ばれる。 山を跨げば、オーストリアというほど、オーストリアにほど近い町だ。 降り立ったPrien am Chiemsee プリーン アム キームゼー駅からカンペンヴァントの雪に覆われた頂上を見る。 修行時代の見慣れた光景だ。 バカデ

          Kamerad 最後の約3年を過ごしたペーターのガストハウスに帰還

          Sehnsucht 第二の故郷へのあこがれ。

          ミュンヘン中央駅で次の列車を待つ間、駅の売店をウロウロする。 懐かしい。 昔と何も変わっていない。少し変わったと言えばアジア系フードメニューが充実したという事だろうか。アジア系と言っても日本食ではなく東南アジア系、中華系の料理でご飯や野菜・肉を炒めたものだ。 XXXLとバカデカイサイズを表現したポテトフライもひとつの目玉と言っていいだろう。揚げても揚げても直ぐに無くなる。 そのトルコ系の店員は以前も居たのではないか、と思う。当然、と言ってよいのかは分からないが、住んで

          Sehnsucht 第二の故郷へのあこがれ。

          Taufe 洗礼。バイエルン州に入る前に。

          当初はウィーンに寄って南下しながらバイエルン入りする予定をしていたのだが、さすがに大きな荷物を抱えては動きづらくなってきた。 今はベルリンまで出た後、ミュンヘン行きの列車に揺られている。通り過ぎる駅の何の関連性もない無数のスプレーアートが妙に首都ベルリンの都会的な印象を強くした。 朝5時過ぎにゴードンにバールートの駅まで送ってもらったのだが、カトリンが食事とお菓子を持たせてくれた。最後の最後まで気を遣ってもらい本当にありがたい。そして料理上手なカトリンのお弁当をいつ開ける

          Taufe 洗礼。バイエルン州に入る前に。

          Kopffreiheit おカネとは無縁のところに本当の豊かさと“ゴージャス”をみた

          束の間の時間だった。 湖のほとりでゴードンたちの子供アーロンと共に過ごす。アーロンはひとり浅瀬で遊んでいる。 長閑な昼下がりといった感じだが実際には18時くらいで、ヨーロッパでは段々と日が長くなってくる 時期でもある。 ドイツに始めてきた頃などは、夜10時頃まで明るい外に初めはワクワクもしたが眠れないため次第に苦痛になってくる。 たまのドイツでこうして過ごすのは、再び新鮮さを感じ『ヨーロッパに来た感』を味わえて中々いい。 短くもなく、長くもなく、ホッと一息つくには

          Kopffreiheit おカネとは無縁のところに本当の豊かさと“ゴージャス”をみた