2022年第一回WS 国語算数理科デザイン!
観察をすることって大事なの?それの何がデザインなの?
みなさんこんにちは。チームMODのたいぴーです。先日8/3に秋田市の文化創造館一階で、2022年度の国語算数理科デザイン、第一回ワークショップが開催されました。参加された方、お疲れ様でした。本事業の根幹は、「観察」にあります。しかし唐突にそんなこと言われたって、それって一体なに?美味しいの?デザインはどこいったの?と、いろんな疑問があると思います。あって当然だと思います。そこで本日は、ワークショップ内でしぶにゃんこと、澁谷和之さんが国語算数理科デザインについて話してくれた内容を、ピックアップして載せたいと思います。閲覧注意です。観察したくてたまらなくなるかも。。。それでは、しぶにゃん、お願いします。
改めて、~若者と地域をつなぐプロジェクト事業~
ちょっと難しい名前だね。
これを、「国語・算数・理科・デザイン!」っていう言葉で、これから五ヶ月間一緒にみんなで深めていこうと思っています。
おにぎりを観察した今日のことをずっと覚えていてください。これから五ヶ月間ずっとこのことをやっていきます。
ただそれだけの事業といったら、ただそれだけです。
観察して、自分の気持ちをどんどん育んでいくっていう五ヶ月間。
そして、いよいよこれから、この五ヶ月でみんなにどういうふうにたくましくなってほしいかっていうのを僕の方から少しお話しさせてもらいます。
最初にこの事業が始まる前に、「事前説明会」っていうのがあったんだけど、そこでも必ず僕が最初に見てもらっているのがこの画像なんですけど、
これ、椅子です。これをちょっとじっくり見てみてください。
この椅子。みんなどう思いますか?
なんか気づいたことある?
形でもいい、色でもいい。これをみて何か感じられますか?
椅子って座るものだって思って普段暮らしてるけど、
その椅子をじっくり「観る」なんてことを、さっきのおにぎりみたいにじっくりみてみる。
これは、あるデザイナーの方が作った椅子なんだけど、
この椅子、背もたれのここの形、が、実はハンガーになってるんだね。
暑くなると、みんな何気なく椅子の背もたれの部分に上着をかけちゃったりとかすることあるでしょ?
椅子っていうのは、もちろん座るためにデザインされてるんだけど、僕らは意外に、椅子をハンガーとして使ってたりするんだよ。そういうのって、僕らは無意識にやってしまっているんだね。
デザイナーと呼ばれる人種の人たちは、こういった椅子をハンガーとして使ってるシーンを、観察できる人たちなんです。
「あ!あの人椅子をハンガーのように使ってるな。じゃあ背もたれがハンガーのような形になったら、もっと便利になるんじゃないかな?」
といったことを、日々考えられるような人たち。
もう一つ、
コースターってあるよね?
みんなが飲み物を飲むときに、机を汚さないようにカップの下に敷くやつ。布だったり紙だったりするよね。
僕が大学卒業したくらいのある日、コースターを使っている風景をずっと見ていました。それで僕が作ったのがこのコースターなんだけど、次を見てもらっていい?
僕なんかだらしないので、よくコーヒー飲んでると、こぼすんだ。シミができたり汚れができちゃったりするよね。その汚れの風景を僕はずーっと見てたんだ。
汚れって言葉を今使ったけど、普段汚れると、汚いものって思うよね。でも、コースターのデザインがこういうふうに変わることで、これって、汚れじゃないかも知れないって思える。
コップの下の汚れの円形が野球のボールや、みかん、缶コーヒーとかのプルタブの形に見えたり、元々はその円形はないコースターだから、汚れがつくと一つの絵になっちゃう。
何気なく「汚れている」と片付けられているシーンを観察していた先にできた一つのアクションでした。汚れているから拭くっていうアクションももちろん正しいけど、その汚れをずっと観るなんてことは意外にできないかも知れない。
これが「観る」っていうこと。
午前中から散々観察って言葉が出てきたと思います。
これも説明会に出席してもらったみんなにした抜き打ちテストです。
このファミマのマークの上の色、下の色。
みんな『んー』ってなってるね。
わかりそうだけど、わからない自分に気づくでしょ?
その自分に出会ってください。わからない自分を面白がってください。
うん。正解は、A!
今半々くらいだったかなぁ~。
コンビニエンスストアはかなり日常的に見てるよね。セブン、ローソン、ファミマ。。
ここで言いたいのは、みんな見てるんだけど、何にも見ていないんだよ。っていうこと。うん。これはコンビニに限った話じゃなくて、いろんな風景だったり、さっきの汚れっていうものだったりするね。ここを観れるようになるっていうのが、観察するっていうことです。
何回も言いますよ!この、国語算数理科デザインは観察しかしません。
5ヶ月後に何か立派な作品を作ってくださいとか、企画書を作ってください。なんて言いません。ただただ、五ヶ月間しっかり「観る」っていうことを僕らとやり続けてもらいます。しっかり観て、自分なりの気持ちを作り出す。今日は、「観察すること!」ってだけノートに書いてくれたらいいかも知れない。
そして、若者(みんな)と地域がつながるっていうことを実現しようっていうのがこのプロジェクトなんだけど、地域とつながるってなんだと思いますか?
地域とつながるって何をしたら成功なのかな?何をすることなのかな?
もっというと、みんなは秋田っていう地域と繋がりたいって思ってるかな?
たとえば、みんなが出身の秋田だったり、能代だったり、仙北市だったり、自分が生まれた地域って場所に繋がりたいなんて思ってるかな?そもそも。
ちょっと強い口調かも知れないけど、僕らはこのことを真剣に考えていて、僕の例を言うと、僕は美郷町出身なんだけど、秋田があんまり好きじゃなかったんですね。地域と繋がりたいなんてこれっぽっちも思ってなくて、東京都と繋がりたい。とばっかり思ってた。なんか、都会でキラキラしたところと繋がりたいってだけ思ってた。
地域とつながるなんてこと、僕が高校生の時はほぼ皆無でした。だから、みんなに無理に地域と繋がりなさい!なんて言えません。でも、これからみんなが大学そして、社会人になると、なんらかの地域と呼ばれるところで仲良くしなきゃいけない時がやってくるんだよね。そのときにどういった力を持っていたらみんながみんならしく輝けるのかな?
きっとこの五ヶ月でそのヒントを得られるはずです。なので地域とつながるってなんだ?って言うところからかなり問いかけていきます。ご飯の後でちょっと難しいこといっぱいで大変かもだけど、ちょっと頑張って聞いてほしい。
地域とつながるってなんなんだろう?って我々チームMODで話し合ったんだけど、そもそも地域とつながるなんて、とっっっっっっっても難しいこと。本当にその地域、土地が好きじゃないと、つながろうなんて思えないよね。
その地域と繋がるって事を、もう一度分解してみたんだけど、地域とつながる手前って何があるんだろう?
そしたら、
やっぱり一番上に、「地域を観る」って言うことが必要だってわかったんだよね。
地域を観察することで、「あ、ここの風景綺麗だな」とか、「あそこのお店とっても素敵だな」とかって気持ちが生まれてくる。だから、観るって言うことをしないと、そもそも地域に何かしたいなんて気持ちは生まれないんだよね。
そこの感情はなんだっていいんだよ。「なんかこの街の道路ゴミだらけで汚いな」「やだな」とか。それは疑問だったり、「いいな」って思う行為だったり、怒りだったり、ちゃんとそこに感情があるっていうことがすごい大事なんだよね。意外に僕らって無感情だったりするから、これは大きな一つの課題なのかなと僕らは思っています。
去年一昨年も、この事業で「観察する」って言うのを、参加してくれたみんなにしてもらいました。2020年は、通学路をずっと観察してくださいって話をしました。
みんなにも通学路あるでしょ?その通学路を観察するってしたことあるかな?
なんとなく、「時間ない!」って言いながら電車乗って学校にいくと、通学路をじっくりみるなんてこと、できないよね。
その二年前の事業に参加してくれたある高校生が話してくれた言葉がずっと残っています。
「しぶやさん、すみません。私の通学路はiphoneの画面でした」っていう。
この意味がわかりますか?
「私はずっと電車の中も学校行く途中もiphone見ながらでした。それが私の通学路でした。」
って言うんだよね。僕はドキッとしたよね。
通学路にその子の感情は全くないんだよ。ここ(スマホの画面)にしかない。毎日毎日行き帰りする通学路に感情がないんだよ。好きも嫌いも嫌だも怒りも何もない。そんなところに繋がりたいなんて思わないよね?でも、そのことを素直に正直にいってくれたその子とその後たくさん話して、そこに気づけたった事がとっても嬉しかった。
感情っていうと、とても難しい言葉だけど、それは、観て気持ちを作るっていうことです。
さっきおにぎりを見てみんなどう思ったかな?何か感じたことがあったと思います。
その気持ちを作るっていうのが大きなテーマなんです。
じゃあ、なんでこれが国語算数理科デザインなんだ?ってことだね。
最初に柚木さんからのお話にもありましたが、デザインっていうもののスタートは「観察」なんだね。ある意味観察=デザインって僕は言ってもいいと思っていて、デザインって特殊なデザイナーだけがやることじゃなくて、本当はみんなができなきゃいけない力、みんなが携えていなければいけない考え方なんだと思う。
だから、国語算数理科のように、「デザイン」も、学校の時間割にあるべきなんじゃないかな?
そんなことを、おっきなテーマとしては僕らは思っています。
国語で「あいうえお」はみんな当然のように習うよね。算数で1+1=2、2+2=4、5-3=2とか、当然のように習ってきてる。ところが、今話してきた「観察しよう」なんて授業はあったかな?
図工っていう授業はあったけど、もしかすると、上手に絵を描こう。とか、綺麗な造形を作ろうっていう技術の勉強の場だったかも知れない。このデザインの「デ」っていう文字が、僕らの勉強する場所にもう少しあってほしい。そんな願いも込めて、「国語算数理科デザイン」っていうことをずっとここ数年叫んでいます。
また言います。
ただただ、「観察する」だけでいいんです。
今日、「観察すればいいんだ」っていうことだけ持ち帰ってほしい。
ただ、それはめちゃめちゃ難しいことなんだってこともわかってください。
さっき話したように、2020年のテーマは「通学路」でした、そして、去年は「笑い」っていうのを観察しました。2020, 2021と来て、2022今年のテーマ!「食べる」です。
さっきみんなで食べました。『「食べる」を観察しよう。』なんてことば普段聞くかな?
今回の皆さんに課題で出してもらった冷蔵庫。ありがとう。家の冷蔵庫をじっくり観察しましょうなんて課題が出た時みんなどう思ったかな?
一枚一枚、みんなの冷蔵庫の写真を僕らチームMODで観ました。それぞれのお家の冷蔵庫らしさがあって、とても味わい深いものだった。みんなどうでした?「冷蔵庫の写真を取ろう」だなんて。写真を撮ろうとしたら「あんた何撮ってんの」なんてそんな会話になったりしたんじゃないかな?そうやってみんなが観察してくれた冷蔵庫をみんなで振り返るワークをこれからやるんだけど、僕も同じように観察してみました。
これはかなりプライベートですよ!澁谷家の冷蔵庫。汚いんだけど、いろんなことを見ていてわかったことがありました。それは、冷蔵庫って家族のコミュニケーションが蓄積している場所なのかな?ってことでした。その中で気になったのが、白い卵だったんだよね。
真っ白い卵。入ってるよね?みんなの冷蔵庫にも。
「コミュニケーション」。。って、ぼやぼや考えてたら、こういう文字が出てきた。
メッセージとエッグを足したら、メッセージエッグだなぁ。この卵にtoとfromって文字だけ印字しておけば、こういうことができるようになるじゃん!って。。
卵に「パパへ、夕飯よろしくね」ってお母さんが書いて出かけちゃったりできるようになる。
冷蔵庫っていうものをコミュニケーションの場と捉えると、途端に卵が不思議に、紙のように見えてきて、コメント書いていいじゃん!って思えた。
「ママへ、今夜は遅くなります」とか。
こんなふうに卵を見始めたりするっていうのが、まぁデザインであったり、アーティストだったりするかも知れないんだけど、こういったことにアクションが転換されていくんだね。
もっと観ていこうか。
冷蔵庫のなかにマヨネーズあるよね?みんなは何気なく観ているんだけど、マヨネーズっていつかからひっくり返るんだよ。買ってきたばっかりの時ってたっぷりと入ってるから、多分、底面が下の方が安心するんだよね。でも、毎日使ってるうちにだんだん減っていくから、重力に逆らって出しづらくなっていくんだよね。て事は、自然にひっくり返したくなる時がやってくる。あなたの家のマヨネーズはいつひっくり返りますか?なんて学校では問われないよね笑
これ、次使うと時に出しやすくするためだよね。これって無意識にみんながデザインしているってことなんだよ。マヨネーズを次使う人がすぐに出しやすくするため。こういうことってみんな何気なくやってるんだよね。これがデザイン。これをデザインって言われると、すごい不思議な感覚がある。でもこれを五か月後、理解できるようになってるはず。マヨネーズをひっくり返せるようになることがデザインの種だっていうこと。
もっと行こうか。
マヨネーズのキャップ。
マヨネーズのキャップって、赤いキャップはちゅっと一本だけだけど、外すと星型なんだよね。
なんで??みたいなこと考えたことある?
なんでだろうね?
そんなこと言わずに、私マヨラーだから、ってばーって使って終わりの時があるけど、なぜ星型なんだろうね?
で色々僕も調べてたら、最近マヨネーズ三つ穴キャップっていうのがなんか賞を取ってた。三つ穴があると、お好み焼きやるとき、三つの線が一気に出せる。三つになっただけだよ?これは一つのデザインなんですね。
そしてそして、
マヨネーズはなんで星型でなんでケチャップは星型じゃないんだ?
マヨネーズで絵を描く人は観ないけど、なんでケチャップでは絵を描くんだろう?ハート描いたり。。なんでだろう。。。。。。
みたいに、冷蔵庫を観たことからどんどん思考が連鎖していくんだね。
こんなことを五か月間やります。
こういったことを面白いと思える感情を作っていきたい。そうすると、毎日が観察で忙しくなっちゃうから。
食べるの観察って色々。今日最後に、次回のWSに向けての課題のお話を僕からさせてもらうところがあってそこでも話すけど、「食べるの観察」って色々あるんだよ。
まぁ、これはほんの一部分でしかないんだけど、例えば、台所、ダイニングの風景もそうだね、お母さんのエプロン、食器、どういう形?どういうふうに汚れるんだろう?
お菓子のパッケージ、ポテチ何枚入ってるんだろう?とか数えたりしないけど、それをしてもいいんです。
食べると出てくるもの、ごみ。排泄物。これも食べるの周りなんだよね。トイレの観察も同じ。
給食。僕はね、なんか「食べる」っていうテーマになってから気になってるのは校売のおばちゃんなんだよね。校売っていうのを観察するっていうのはいいかもね。おばちゃんを観察する。これも食べるの観察です。
友達のご飯の食べ方。とか、近所のスーパーのコンビニ。魚屋さん。肉屋さん。
畑。秋田は結構畑多いから、それも食べるの周辺だね。
人間だけじゃない。動物。猫はどういうふうにペットフードを食べるんだろう?
体重もだよね?食べるの周辺。体重ってなんだろう?
病気。それも食べる。
歯ブラシ。歯ブラシを毎日見てるとボサボサになっていく過程があったりする。
それをずーーっと観察するだけでいいんです。こういうことを、日々やっていくと、きっと気づいたらみんなは地域に少し近い気持ちを育めるんじゃないかな?
いざ!
観察の旅です!
これから五か月間、「イベント企画しなきゃいけない」「何か作らなきゃいけない」っていう心配は一切ない!ただただ、「観る!」っていうことを一緒にしましょう!っていうことをやっていくと、気づいたら何かにつながっていきます。それが、みんなの地域、心を寄せられる場所になっていればいいな。というプロジェクトです。
聞いてくれてありがとうございました。
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