北の夏。山々。
この惑星は終わりかけている。
気候変動...異常なまでの猛暑がそれを証明している。
たかだか百年の間に起きる気候変動など地球の時間の前では誤差に過ぎない?
したり顔で語る人間もいるが、地球が持たん時が来ているのだ。
人類は絶滅すべきである。
絶滅方法はなんでも良い。
ガミラスに侵略されようが核戦争が起きようが旧神たちが目覚めようがとにかく何でもいい。
ともあれ人類は絶滅すべきである。
...そう思う事が多い限界中年男性のおれではあるがグレートリセットは起こらない。
終わりなき日常を生き延びるしかない。
この北の大地で。
「馬鹿な事言ってねえで働け。」
43歳児と47歳児、中年男性2人は大雪山を目指した。
黒岳からお鉢周り一周。
定番コース。
アクセス方法等、詳細はググってください。
マネタイズしたいんだろうなと感じさせられる文章や末尾が如何でしたか構文が転がっています。
ここでおれに思い出話をさせてほしい。
7年前。
ド文系で運動嫌いなおれは某オンラインゲームに熱情を費やしブクブクと肥え太っていた。
それを見かねた前妻が気分転換にと近所の里山に誘ってくれた。
幼稚園児の集団が現れお弁当を広げキャイキャイとはしゃぐその横で、おれは前妻とカップラーメンを啜った。
(なんか楽しいかもしれない。)
翌日。
ミドルエイジクライシスに陥った中年男性特有の極端さを発揮したおれはmont-bellに駆け込みテンプレ装備を購入。(10万くらい溶かした。)
翌々日。
この頂に立った。
眼前の世界。
古に語られた神話の世界が。
大陸や西洋の詩人たちが書き連ねた世界が。
かつて世界を救うべく奔走した自身の分身が駆け抜けた光景がそこにはあった。
終わりなき日常の線上にそれはあった。
チョコボは横に居なかったし聖剣も手の中には無かった。
大きな芋虫や蜻蛉も彷徨ってはいなかった。
それでもそれはそこにあった。
心象の世界と現実がリンクした感覚を味わった。
この場所にふさわしいBGMは...ガウル平原か悠久の風だと思う。
ーーー
この思い出話はどこまでが真実で何処までが虚構なのか。
人は記憶を、事象を、自分の都合のいい様に解釈し、改竄していく。
時が経てば経つほどに。
ただ一つ確かな事はあの人が居なければおれは自然に親しむ機会を持っていなかった、という事だ。
ーーー
眼前の光景から受け取る感動こそ磨耗したが
“なんかいいなあ”
そう思える感覚はなくならない。
雲の形も風の匂いもトレイルの軌跡も。
最初こそ山の上であれこれと調理したりコーヒーを豆から挽いたりしていたが、いまではこの有様である。
山料理にドハマり期→お湯を沸かしてコーヒー飲めば十分だよね期→カップラーメンがシンプルで最高期→菓子パンでいいや/ジャンクフードでいいや期。
おれはジャンクフードでいいや期に陥ってしまった。
ちなみに冬は柿の種と羊羹と苺大福でゴリ押している。
下山後、ラーメンを食べたおれたちは店を出た。
あまりにも居心地が良かったのだろう。
*おっさんずラブ
同行者のおじさんに素で、100%ナチュラルに
「ねーねー○○さんさー」
前妻の名前で呼びかけてしまった。
自分でもわかるくらいに。
あの人の前でだけ出していたトーンで。
数秒の沈黙。
照りつける残照。
蝉の鳴き声。
何もかもが嫌になりしゃがみ込むおれ。
おじさんはおれの肩に手を置きこう言った。
「アンタ...酒飲んでもいいぞ。」
道中や帰路はしょうもない話をずっとしていた。
パヤオ派の47歳児と富野原理主義者のおれ43歳児。
一番盛り上がったのはパヤオ作品と富野作品に通底する女性観の話だったか。
47歳児が女に求めるものはパヤオ作品に描かれいるそれだったとか。
43歳児おれが10代の時にVガンであれこれ歪められてしまった話をしたり。
女の醜さや怖さを知る度に富野作品で描かれているものに対して更に解像度が上がっていったと伝えると
「アンタらしいわ」
そう言われたり。
好きな女性アーティストの話になって。
おれ43歳児はベボベのベースや安藤裕子やシシドカフカが好きというと47歳児のスイッチが突然入り出して。
「シシドカフカみたいな面した女はダメだべ。」
「おれに息子が居たとして。ベボベのベースみたいな女を連れてきて結婚しますと言われても断固認めんぞ!」
などと興奮し出したり。
なんでと聞くとその系統の女子で痛い目に合ったらしい。
うん、あるある。
他にはなんだったか。
色々話をしたな。
しょうもな。な内容を。
しょうもな、なんだけどさ。
楽しかったよ。
以上。
ーーー
補足
ルートがイージーなのでルナサンダルで歩いて居ますが(保険加入済,Garmin,ビバーク装備は持ってきてるよ)バリ、沢、日高、冬山で遊ぶ際はきちんとした装備で遊んでおります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?