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'95 till Infinity 133

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【 第8章 - ②: Story of His Life 001 】

そう吐き捨てたカイロが煙草に火を点ける。

うまく点かなかったようで、鼻から息を深く吸い込み、中途半端に点いた火に勢いをつけようとして、2、3度それを繰り返し、顔を振り目の前に浮かぶ煙を振り払う。

しばらく前からクーラーは強のまま。いつの間にか俺は膝を抱えて失われる体温を繋ぎ止めようとしている。ガキの頃シーツに包まって近づく雷鳴に耳を澄ましたように俺は黙って話の続きを待つ。

ある朝、目が覚めるとエマがいなかったんだ。

その日は失業保険の支払い日だったから、どうせスマックを買いに行ったんだろうって思って大して気にしないでさ、俺は俺で自分のネタを買いに行ったんだ。

何時間かして家に戻ってきてもエマはいなかったけど、その頃の俺たちは家まで我慢できないでそこらへんでやっちゃうことが多かったし、別に心配はしていなかった。

それよりも久々に独りでヘロインを楽しめるってことが嬉しくてさ、俺はいそいそと道具の準備に入ったよ。

いつも通りの作法で準備をしてさ、ゆっくりと血管に針を差し込んだんだ。シリンダーの中にはいつもよりも濃い目のヘロイン、気持ちよかったよ。

それからどれくらい経ったんだろうね。
誰かが遠慮なしにがんがんドアを叩くんだ。

最初は無視してたよ。エマなら鍵を持ってるし、切羽詰ったジャンキー仲間がちょっとだけでも分けてくれって押しかけてくることはよくあったけど、ヘロインっていうものは公園の砂場ほど持ってても、決して人に分けるほどはないからね。


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