akira kuchiishi

40代男性。アイドルと映画が好きです。

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最近の記事

最近のヘビロテ

東京女子流「フォーリンラブな時」 東京女子流「datura」 とにかく女子流にのめり込んでいます。楽曲も良ければパフォーマンスのクオリティも素晴らしい。

    • 2024年5~6月に見た映画

      ☆は5段階評価です。 逃げ去る恋(フランソワ・トリュフォー) ☆☆☆☆ 給料日(チャールズ・チャップリン) ☆☆☆☆ 小間使の日記(ジャン・ルノワール) ☆☆☆ ヒロインの性格描写が曖昧なまま話が進むのでボンヤリした印象。ダーティーな方向には振り切れずいたって平凡なラブロマンスとして着地。癖強い野郎どもが一人の美女を取り巻く設定は魅力的で、もっと料理のしようがあったはずだ。祭りのモブシーンは見事。 東海道四谷怪談(中川信夫) ☆☆☆☆☆ いたって古典的な怨恨の物語

      • 加藤泰「車夫遊侠伝 喧嘩辰」

        一本気で喧嘩っ早い主人公といい、貫禄ゼロのすっとぼけた親分といい、登場キャラクターがマンガそのもので、これは脚本にクレジットされている鈴木則文の嗜好と思われるが、このクセのある人物たちを見ているだけでも充分楽しい。 いわゆる人情劇としても非常に良く出来ているが、画面の隅々にまで美学が行き届いたような鮮烈なショットの数々には、何か神聖なものに触れているような感動さえ覚える。これは他の東映の監督・・・たとえば深作欣二や中島貞夫の作品を見ても絶対に感じられないものであり、いかに加

        • 石井聰亙「逆噴射家族」

          小林よしのりが関わってるだけあって徹頭徹尾漫画的すぎる人物描写にやや抵抗はあるし、深遠な何かを読み取るような映画でもないんだろうが、日本が豊かになっても思っていたような幸福が得られなかったというやりきれなさ、それが破壊からの再生を望むことに繋がるってのは一つの心理の流れとしては分かる。その後の不景気のほうを長く経験している世代からすれば共感はし難いが、こういう時代もあったという貴重な記録だろう。 家族以外の登場人物がほとんど絡んでこないミニマムな物語で、あんまり予算がかかっ

        最近のヘビロテ

          フランシス・フォード・コッポラ「ワン・フロム・ザ・ハート」

          リアルさを追求せずむしろ作り物感をあえて強調するかのようなセットが味わい深い。空港もセットを作り、飛行機が飛ぶとこまで見せてくれるんだから驚き。ストラーロの撮影も最高の仕事と言える。 物語はひたすら男女間のゴタゴタが続く痴話喧嘩モノでたいした起伏もない。こういうのこそ感情の機微をどう描くかが肝であるはずなのに、それが一切表出してこない。コッポラが適任だったかどうかは甚だ疑問。ウディ・アレンなら半分以下の予算でもっと面白く撮れるだろうな、と思いながら見ていた。 ただ、ナスタ

          フランシス・フォード・コッポラ「ワン・フロム・ザ・ハート」

          2024年3~4月に見た映画

          ☆は5段階評価です。大好きな「コントラクト・キラー」をはじめて映画館で、しかもフィルムで見ることができたのはよかったです。 ヒットマンズ・レクイエム(マーティン・マクドナー) ☆☆☆☆ 風と女と旅鴉(加藤泰) ☆☆☆☆ 錦之助と2人の女の三角関係が楽しいし、賑やかな祭りが一転して不穏な空気に変わっていくシークエンスにも感嘆。美しいローアングル撮影と苦味を残す結末。東映プログラムピクチャーの枠を大きくはみ出した加藤泰の作家性はこの時点で既に確立されていた。 愛情萬歳(ツ

          2024年3~4月に見た映画

          オッペンハイマー

          クリストファー・ノーランの「オッペンハイマー」を見た。言わずと知れた、話題の映画である。まったく私事ながら、私の母方の祖父も広島で被爆した当事者であったということもあり、日本公開が危ぶまれていた昨年から本作の存在は気になっていた。 リンゴのエピソードが主人公の危うさを抱えたパーソナリティを強く印象づけており、映画のツカミとしてこれを最初に持ってきたのは巧いと思った。 オッペンハイマーがわりと序盤から鼻持ちならない奴として描かれてるのが面白い。時系列シャッフル話法も含めて「

          オッペンハイマー

          2024年1月~2月に見た映画

          ☆は5段階評価です。 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け(山田洋次) ☆☆☆☆ ミッション:インポッシブル(ブライアン・デ・パルマ) ☆☆☆ Bico(アキ・カウリスマキ) ☆☆ Valimo(アキ・カウリスマキ) ☆☆☆ 簪(清水宏) ☆☆☆☆ 足を怪我した笠智衆のリハビリを子供たちと田中絹代が応援する、たったそれだけの描写の反復が生み出す情感が半端ない。特に笠が橋を渡るシーンは本作中の白眉。ここを筆頭にロケ撮影が優れているし、序盤の室内を横移動していくカメラワー

          2024年1月~2月に見た映画

          黒澤明「生きる」

          ハッピーバースデーの場面は何回見ても心が震える。未曾有の感動。 改めて見直して、本当に緻密に作り込まれた物語構成だと感じられた。前半で重要な役割を担うのは伊藤雄之助と小田切みきの2人なのだが、どちらも後半はまったく登場しない。よくよく考えてみると、志村喬が己の深刻な病状を告白する相手はこの2人だけなのだ。 特にその陽性の魅力で志村に大きく影響を与える小田切をあっさり途中退場させるのは、かなり潔い作りと言えるのではないだろうか。 後半は志村の魂が変遷していく過程に立ち会っ

          黒澤明「生きる」

          山田洋次「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」

          宇野重吉の変人キャラで引っ張る前半から寅の恋愛話にスライドしていく展開に引き込まれ、気づいたら太地喜和子の純情な思いの吐露に泣かされてしまっていた。凄い。この物語の構築力は見事すぎる。 とらやの場面では寅とタコ社長(太宰久雄)が大喧嘩して周りが止めに入るというお決まりのパターンが繰り返されて楽しいのだが、一本気で激情タイプの寅と冷静な博(前田吟)の対照的な描き方もとてもいい。 本作は寅の失恋を描いてないところがまた異色で、なんなら彼の恋が成就したとも受け取れる終わり方にな

          山田洋次「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」

          2023年11月~12月に見た映画

          ☆は5段階評価です。スピルバーグ、是枝、宮崎、スコセッシ、北野、カウリスマキ、ヴェンダースなどの新作が見れて、且つそれぞれに素晴らしかった2023年。映画ファン的にも充実した1年だったのかなと思います。 アラビアのロレンス(デヴィッド・リーン) ☆☆☆☆ やや変わり者って程度の飄々とした好青年ロレンスが別人のような形相に変貌していく過程をたっぷりと時間かけて描く。その狂気と屈折を表現しきったピーター・オトゥールの名演。清濁の両側にスポットを当てた、単純ではない人物造形が物

          2023年11月~12月に見た映画

          東京女子流ワンマン 12/30(土)SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

          12月30日、東京女子流のワンマンライブ「女子流大忘年会2023」に行ってきた。場所は渋谷のPLEASURE PLEASUREという会場。 女子流のライブをはじめて見たのは、2022年10月に行われたフィロソフィーのダンスとのツーマンライブの時だった。当時のフィロのスはおとはすこと十束おとはさんが卒業するちょっと前で、この4人のライブが見られる機会ももう少ないからと思い行くことに決めたのだった。その時点では、女子流についてはそういやNHKアニメ「はなかっぱ」の主題歌を歌って

          東京女子流ワンマン 12/30(土)SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

          ヴィム・ヴェンダース「PERFECT DAYS」

          本とかカセットとか好きなものに囲まれてささやかな喜びを噛みしめ、自分からは出しゃばらないが求められれば応じるという具合にささやかな善行を重ねる。トイレ清掃業の若い同僚にはちょっとナメられており、一方で姪っ子には慕われている雰囲気だが、役所広司演じる主人公は誰に対しても大きく態度を変えない。そんな彼の人間味を決定的に印象づける三浦友和とのエピソード。撮影も含め素晴らしいシーンになっているし、これをクライマックスに持ってきたことでとても引き締まった作品になったと思う。 平凡その

          ヴィム・ヴェンダース「PERFECT DAYS」

          ダグラス・サーク「天はすべて許し給う」

          ジェーン・ワイマンがロック・ハドソン宅に再訪した時に、窓が屋外を見渡せるようなとても大きいガラス窓に変わっており、ちょうど外では雪が降っている、という美しい描写がある。ここは本作の中でも強烈な印象を与える場面で、美術への拘りが感じられ嬉しくもあるし、またこの窓がラストに至るまで絶大な効果を発揮するのは見逃せない(唐突な鹿の登場!)。やたらカラフルな照明といい、ウェルメイドな作りながらところどころ過剰であり、端正であるという印象だけに留まらない突出した画面に溢れている。 物語

          ダグラス・サーク「天はすべて許し給う」

          2023年9月~10月に見た映画

          ☆は5段階評価です。5時間超えの「ハッピーアワー」を筆頭に、長尺の映画を結構見た気がします。おっさんになると長い映画は面白かろうがつまらなかろうがすごく疲れるという学びを得ました。 仕立て屋の恋(パトリス・ルコント) ☆☆☆ 江戸の名物男 一心太助(沢島忠) ☆☆☆☆ サブウェイ(リュック・ベッソン) ☆☆ つかみどころのないストーリー展開がシュールや荒唐無稽に突き抜けることもなく、ただ散漫なだけの印象。主要人物のキャラクター描写も薄味で面白味がまったくない。地下鉄構

          2023年9月~10月に見た映画

          ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地

          早稲田松竹でシャンタル・アケルマンの「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」を見た。この監督の作品を見るのは初。これは近年になって評価が上がっている映画だ。 日々の単調な作業の繰り返しを単調なままに撮る。映画をエンタメ的に成り立たせるための技巧を徹底的に排するという試み。この手法がストイックなまでに全編にわたって貫かれる。 これが作られた意義はなんとなく理解はする。語ろうと思えばいくらでも語れる要素はあるんだろう。それは認めたうえで、やっ

          ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地