ダグラス・サーク「天はすべて許し給う」

ジェーン・ワイマンがロック・ハドソン宅に再訪した時に、窓が屋外を見渡せるようなとても大きいガラス窓に変わっており、ちょうど外では雪が降っている、という美しい描写がある。ここは本作の中でも強烈な印象を与える場面で、美術への拘りが感じられ嬉しくもあるし、またこの窓がラストに至るまで絶大な効果を発揮するのは見逃せない(唐突な鹿の登場!)。やたらカラフルな照明といい、ウェルメイドな作りながらところどころ過剰であり、端正であるという印象だけに留まらない突出した画面に溢れている。

物語は愛し合う2人が世間の無理解と対峙するメロドラマの定型。下衆を極めたような周辺人物の中でも特に息子がムカつく。母親を守ってやれよと言いたい。

(2023年12月3日、早稲田松竹で鑑賞)

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