2024年1月~2月に見た映画

☆は5段階評価です。

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け(山田洋次) ☆☆☆☆

ミッション:インポッシブル(ブライアン・デ・パルマ) ☆☆☆

Bico(アキ・カウリスマキ) ☆☆

Valimo(アキ・カウリスマキ) ☆☆☆

簪(清水宏) ☆☆☆☆

足を怪我した笠智衆のリハビリを子供たちと田中絹代が応援する、たったそれだけの描写の反復が生み出す情感が半端ない。特に笠が橋を渡るシーンは本作中の白眉。ここを筆頭にロケ撮影が優れているし、序盤の室内を横移動していくカメラワークも素晴らしい。

むかしの歌(石田民三) ☆☆☆

キートンの大学生(ジェームズ・W・ホートン) ☆☆☆☆

超人的身体能力を持つキートンが運動音痴のガリ勉を演じるが、最後は当然の如くできるところを見せつける。予定調和の展開であるのに、その痛快さは比類ない。ギャグも絶好調で走り高跳びのシーンは特に傑作。黒塗りも今だとアウトなネタとはいえ面白すぎ。

生きる(黒澤明) ☆☆☆☆☆

東京物語(小津安二郎) ☆☆☆☆☆

この映画の良さについて語りたいが言語化するのが難しい。間違いなくオールタイムベストの一つ。感情を露にせず、多くを語りもしない笠智衆が、こんなにも感動的だなんて。

早春(小津安二郎) ☆☆☆☆

あざとい岸惠子の誘惑に池部良がコロッといっちゃう描写はエロいが、2人の関係はそれ以上掘り下げられず、いつしかサラリーマンの悲哀みたいな主題のほうが前面に押し出されていく。インモラルな方向に振れない上品さは小津ならではだろうが物足りなくもある。

一方でこの作品も強烈なショットの連続、緊張感はまったく途切れない。特に室内シーンの照明が異様で陰鬱なムードを醸し出している。画面だけ見てるとホラー映画のように思えてくる瞬間さえあった。

健康でさえあれば(ピエール・エテックス) ☆☆☆☆

ヨーヨー(ピエール・エテックス) ☆☆☆☆

破局(ジャン=クロード・カリエール/ピエール・エテックス) ☆☆☆☆

幸福な結婚記念日(ジャン=クロード・カリエール/ピエール・エテックス) ☆☆☆☆

様々なトラブルが次々と起こる、そのアイデア量と畳みかけるようなテンポの良さが素晴らしく、たったの13分とは思えない密度の濃さ。エテックスの気弱そうな佇まいはキートン的愛嬌を感じさせる。

絶好調(ピエール・エテックス) ☆☆☆☆

太陽は光り輝く(ジョン・フォード) ☆☆☆☆

南北戦争後のアメリカの世相を知らぬ者にとって肌感覚では理解しづらい物語だが、そういう見る側のハンデを軽々と乗り越えてくる素晴らしさ。葬列に人々が加わっていく場面には感涙。被差別者を切り捨てない主人公の高潔な在り方を端正な画面で描ききった。

執炎(蔵原惟繕) ☆☆☆☆

増村・若尾に「清作の妻」があるなら蔵原・浅丘にはこれがあったとでも言うべき渾身作。線路上を歩く描写や雪の描写があまりに神々しい。手持ちのブレるカメラワーク、物凄い俯瞰ショットの挿入など変幻自在な映像テクは必見。音楽がくどいのが玉に瑕だが。

哀れなるものたち(ヨルゴス・ランティモス) ☆☆☆

世界観の作り込みが凄まじく、街や船上の幻想的な光景に目を奪われる。言語力と自発性を獲得していく粗野な女と、翻弄される情けない男たちとの対比。そこは美点だが勿体ぶった語りで冗長に感じる。もっとコメディ寄り且つコンパクトにまとめてもよかった。

夜明けのすべて(三宅唱) ☆☆☆☆

救済は何か決定的な出来事によってもたらされるわけじゃなく、小さな変化の積み重ねによって訪れる。上白石・松村が各々抱える病に対して作品が真摯に向き合ってると思えたし、2人の間に流れる空気感に真実性を感じ心打たれた。プラネタリウムの場面は白眉。

SING/シング(ガース・ジェニングス) ☆☆☆☆

折れた銃剣(サミュエル・フラー) ☆☆☆

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