2024年5~6月に見た映画

☆は5段階評価です。

逃げ去る恋(フランソワ・トリュフォー) ☆☆☆☆

給料日(チャールズ・チャップリン) ☆☆☆☆

小間使の日記(ジャン・ルノワール) ☆☆☆

ヒロインの性格描写が曖昧なまま話が進むのでボンヤリした印象。ダーティーな方向には振り切れずいたって平凡なラブロマンスとして着地。癖強い野郎どもが一人の美女を取り巻く設定は魅力的で、もっと料理のしようがあったはずだ。祭りのモブシーンは見事。

東海道四谷怪談(中川信夫) ☆☆☆☆☆

いたって古典的な怨恨の物語だが、美術・照明・撮影など総合的な技術力の高さにより圧倒的な満足度を達成している。湖や沼がやたら禍々しく撮られており、蚊帳が張られた暗い室内のショットもムード満点、怪談映画としての格調を感じさせるのが素晴らしい。

眼前に幻覚が出現した後また現実に戻るという見事な編集は、ブニュエルや清順を想起させるようなシュールな表現。その美しい色彩も含め強烈な印象を受ける。中川信夫はこの一作だけでも映画史に名が残るだろう。

悪は存在しない(濱口竜介) ☆☆☆☆

芸能事務所の2人に住民たちが詰め寄る説明会のヒリヒリした緊張感。この対立構図を掘り下げていくかと思いきやそうはならず、終盤は不可解な展開に。アンゲロプロスのような美しい画面は見物だが釈然としない。一番キレてた金髪男の活躍をもっと見たかった。

ワン・フロム・ザ・ハート(フランシス・フォード・コッポラ) ☆☆☆

逆噴射家族(石井聰亙) ☆☆☆☆

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章(黒川智之) ☆☆☆☆

政治的対立を描いた部分は誰に肩入れするでもなくフラットであろうとする作り手の姿勢を感じ、そこは嫌いじゃない。侵略者のモブシーンが画として面白く、伏線回収していく展開にも引き込まれるが結末の納得感は薄いか。でんぱ組の曲の使われ方は文句なし。

の・ようなもの(森田芳光) ☆☆☆☆

伊藤克信と秋吉久美子の曖昧な関係性を肯定的に描いてるところにグッとくる。団地の風景の切り取り方はセンス抜群、天気予想のシュールな熱狂も愉快。薄味な印象になりそうなとりとめのない物語ではあるが、歩き続ける名シーンが本作を一段上に押し上げた。

シャドウプレイ【完全版】(ロウ・イエ) ☆☆☆

暴動で始まる冒頭から凄い熱量。暴力が横行する治安最悪な街が舞台として魅力的、走る刑事を追いかけるカメラが良い。不倫・DVといった男女間のドロドロがねちっこく描かれるが、そこはあまり新鮮味を感じない。サスペンスとしての引き込む力もやや弱いか。

サーカス(チャールズ・チャップリン) ☆☆☆☆

人間の証明(佐藤純彌) ☆☆☆☆

ゲームの規則(ジャン・ルノワール) ☆☆☆☆

大人数が入り乱れる群像劇としての話の組み立てとドタバタ喜劇としての描写の爆発力。森番のイカれたキャラが素晴らしく屋内での追いかけっこは傑出してる。ルノワールの作家性かフランスのお国柄かは知らぬが戦前作にしてこのインモラル全開な物語は凄い。

車夫遊侠伝 喧嘩辰(加藤泰) ☆☆☆☆☆

異邦人(ルキノ・ヴィスコンティ) ☆☆☆☆

オーソン・ウェルズのオセロ(オーソン・ウェルズ) ☆☆☆☆

やっぱりウェルズは映像作家として頭一つ抜けている。冒頭からラストまでどこを切り取っても濃密な画面。猜疑心に取り憑かれひたすら自滅していく嫉妬モンスター。他者との関係性を築けない男を描いているところも「市民ケーン」の監督ならではと思わせる。

大自然の凱歌(ウィリアム・ワイラー/ハワード・ホークス) ☆☆☆

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