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秋ノ月げんのライトノベル書けるかな

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#アイドル

秋ノ月げんのライトノベル書けるかな(Idol Side)13.永遠のうたたね(完)

  13.永遠のうたたね

 とやまコスプレふぇあ二日目、あたしは例によって賢さんと一緒に、昨日よりはのんびりした気持ちで会場入りした。
 ただ昨日は、メイクスペースがめっちゃ混んでいたので、メイクだけは先にできるところだけ済ませて出て来た。
「一日目に受付を済まされた方は、そのまま更衣室までお進み下さーい!」
 一階受付前で、スタッフのお姉さんが大声張り上げて案内していた。
 あたしは二階アトリ

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秋ノ月げんのライトノベル書けるかな(Idol Side)12.とやまコスプレふぇあ

  12.とやまコスプレふぇあ

 ついに“とやまコスプレふぇあ”当日がやってきた。
 あたしは、やっと届いたゴスロリミヤビの衣装をキャリーバッグに詰め、賢さんの車に便乗して会場の富山市民プラザに向かった。
 何のコスプレをするかは、賢さんには教えていない。
「市民プラザ一階のカフェがさ、ふぃなぽあと二日間だけタイアップして、メイドカフェやるんだって。
 ニナコさんもいるっていうから、行ってみよう

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秋ノ月げんのライトノベル書けるかな(Idol Side)11.賢さん心の闇

 11.賢さん心の闇

「いくらなんでもあれはないよね。あのミヤビさん、ちょっと自意識過剰なんじゃないの?」
「うん。」
「そういえばさ、あの後変なカメラマン来ちゃってさ、背景布の裏側で、体育座りしてくれなんて言うんだよ! 露骨にパンチラ狙ってるよねぇ~。」
「うん。」
 イベント撤収後に二人で食事に入ったサイゼリヤで、あたしがしきりに話しかけても、賢さんはずっと上の空だった。
「そんなに気を落と

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秋ノ月げんのライトノベル書けるかな(Idol Side)10.二次元からの挑戦

  10. 二次元からの挑戦

 撮影から帰ったあたしは、アパートに戻るとさっそくインターネットを立ち上げた。
 撮影で、はるかちゃんが着ていたものと同じコスプレ衣装を検索するためだ。
 あの衣装は人気ロボットアニメ“合身戦記ゲロターボ“に出てくるヒロイン・ミヤビの服装バリエーションの一つであると、はるかちゃんに教えてもらった。
 はるかちゃんも、アニメに詳しいマネージャーさんから、賢さんの使って

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秋ノ月げんのライトノベル書けるかな(Idol Side)9.撮影

  9. 撮影

 脚本が送られて来てからさらに二日後、石川社長から、撮影スケジュール詳細の書かれたメールが届いた。
 六月七日・土曜日、午後二時、心斎橋のアニソンバー”リリカル”現地集合。
 日中そこで撮影の後、ロケバスで神戸へ移動して夜間シーン撮影。
 あたしが出演するファーストシーンは夜間の方だ。
 あたしはさっそく賢さんに電話した。
「撮影の日程が決まったの。六月七日の土曜日に大阪、一緒に

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秋ノ月げんのライトノベル書けるかな(Idol Side)8.ニナコさん

  8. ニナコさん

 住む所さえ決まったら、あたしの行動は早い。ちゃちゃっと荷造りを終わらせ、その週の木曜日には発送、金曜日には、あたし自身が本格的に“亀有コーポ”に乗り込んだ。
 “亀有コーポ”前の駐車スペースに、日曜日に賢さんの家で見かけた黄色いスポーツカーが停まっていた。もしかして、ニナコさんの車だったのかな。
 荷物は大して多くもなかったので、一人でも二時間程度で開梱を終わらせると、さ

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秋ノ月げんのライトノベル書けるかな(Idol Side)7.富山へ

 7. 富山へ

 東京でめいめいのイベントがあった週明けの月曜日、あたしは事務所に顔を出した。
 学校の帰りというわけでもなかったが、制服で顔を出した。この制服を着られるのもあと数日だから。
「東京で、賢さんに会えたんだって?」
 石川社長は執務机でノートパソコンを開いて何やら仕事らしき事をしていたが、あたしの顔を見ると頭の上に両手で大きな丸を作って見せた。
「めいちゃんがずいぶん懐いてたよ。あ

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秋ノ月げんのライトノベル書けるかな(Idol Side)5~6.野外音楽フェスティバル

  5. 野外音楽フェスティバル

 兵庫を朝の五時に出発して福井まで、石川社長の運転で高速道路に乗り、途中休憩を挟んで六時間、十一時に福井駅前に着き、駅構内のお蕎麦屋さんでおろし蕎麦を食べてから中央公園に行った。
 お天気に恵まれ、下がショートパンツでも上がブルゾンだと暑いくらいだった。
 あたしと石川社長、それとMオフィスの営業係である永井さんが野外ステージ裏に着いた時、ステージ上ではギターを

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秋ノ月げんのライトノベル書けるかな(Idol Side)2~4.その男、万丈目

  2. その男、万丈目

「この人のこと、ちょっと知っといたほうがいいかも。」
 なんとなくそう思ったあたしは家に帰ると、パソコンのブラウザ検索エンジンで“万丈目賢”をキーワード検索してみた。
 最初にヒットしたのはツイッターのプロフィールページだった。あたしもフォローされてるみたいなのでとりあえずあたしからもフォローしておく。

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秋ノ月げんのライトノベル書けるかな(Idol Side)1.新作映画

  プロローグ

「ありがとうございましたー!」
 ラストの参加者が写真集と特典のチェキを受け取り、帰って行った。
「はるかちゃん、お疲れ様。今日は五三九人参加者あったわよ。」
 マネージャーのめぐみが労いの言葉をかける。
「あ~~、けどなーんか、物足りないっ!」
 はるかは大きく伸びをしながら言った。
 スレンダー系のはるかが、チューブトップのドレスでそんな動作をするものだから、今にも胸が“ポロ

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