秋ノ月げんのライトノベル書けるかな(Idol Side)12.とやまコスプレふぇあ
12.とやまコスプレふぇあ
ついに“とやまコスプレふぇあ”当日がやってきた。
あたしは、やっと届いたゴスロリミヤビの衣装をキャリーバッグに詰め、賢さんの車に便乗して会場の富山市民プラザに向かった。
何のコスプレをするかは、賢さんには教えていない。
「市民プラザ一階のカフェがさ、ふぃなぽあと二日間だけタイアップして、メイドカフェやるんだって。
ニナコさんもいるっていうから、行ってみようよ。」
「そうなんだ? じゃあお昼ご飯はそこで食べようか。」
「受付する前に、のぞいてみない?」
「いや、せっかくだから、やっぱりコスプレして行きたいじゃない。」
そんな会話をしつつ、市民プラザに入っていくと、もう受付待ちらしい人たちで長蛇の列ができていた。
『運営スタッフ』と書かれたカードを首からぶら下げた男性が、『最後尾』と書かれたプラカードを掲げていたので、そこに並んだ。
あたしたちの後からも、どんどん人が来て、とうとう建物の中だけでは並び切らず、外まで列は出来ていた。
「みんなもう来てるの?」
列の先頭方向から歩いて来たお姉さんを、賢さんが呼び止めた。先月の環水公園のイベントで、スタッフをしていた人だ。
「うん、うちら結構前だよ。賢さんたちも来る?」
「いや、それはまずいだろ。みんな来た順番で並んでるんだから。
私たちはここでいいよ。」
やがて受付が始まった。
あらかじめ前売りチケットを買ってあったので、列はすぐに進んだ。受付で、ネックストラップ付きのコスプレ許可証と、注意事項の書かれたチラシをもらった。
「女子更衣室は三階、男子更衣室は二階です。」
「じゃあ、また後で。」
二階のアトリウム前で、賢さんと別れ、女子更衣室に入った。
やっと届いた衣装、ついに着る日が来た。
待たされただけあって、生地とか造りとか、満足できるレベルだった。
着替えを済ませて二階へ降りて行った。
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