秋ノ月げんのライトノベル書けるかな(Idol Side)10.二次元からの挑戦

  10. 二次元からの挑戦

 撮影から帰ったあたしは、アパートに戻るとさっそくインターネットを立ち上げた。
 撮影で、はるかちゃんが着ていたものと同じコスプレ衣装を検索するためだ。
 あの衣装は人気ロボットアニメ“合身戦記ゲロターボ“に出てくるヒロイン・ミヤビの服装バリエーションの一つであると、はるかちゃんに教えてもらった。
 はるかちゃんも、アニメに詳しいマネージャーさんから、賢さんの使っているカメラが“ゲロターボ”とのコラボモデルのそれも二号機にあたる“D2”と呼ばれる機体のカラーである事を教えてもらい、それで賢さんが、二号機パイロットでもあるミヤビを好きに違いないと推測し、数ある服装バリエーションの中から肩出しのあの服を選んだのだという。
 一般に“ゴスロリバージョン”と呼ばれるバリエーションだ。
 まずは画像検索で『ゲロターボ ミヤビ』と入れて見た。
 赤いボディスーツを着た金髪の少女のアニメ絵が、バババっと表示された。
 この娘知ってる。賢さんの家の洗面所に置いてある、髭剃りを立てるスタンドにくっついてるフィギュアの娘だ。
 赤いボディスーツの画像が圧倒的に多かったが、学校の制服らしき姿もあれば、黄色いワンピースを着た画像もある。黄色いワンピース姿のフィギュアも、賢さんの家で見た事がある。固定電話台の横に飾ってあるやつだ。
 もう一人、色違いの白いボディスーツを着た、水色のショートカットヘアの娘と二人で描かれた画像もある。掲載ページに飛んで解説を読むと、もう一人のケイという娘がむしろメインヒロインで、ミヤビはいわゆる“二番手ヒロイン”らしい。
 次にキーワードに『ゴスロリ』を追加して絞り込み検索をした。
 今度はフィギュアの写真が大量にヒットした。だがその多くは、胸から下は、はるかちゃんの着ていたものと同じデザインだが、肩出しではなく提灯袖が付いている。
 それらに混じって提灯袖の付いてない、肩出しバリエーションのフィギュア写真もあったので、紹介ページに飛んでみた。
 なるほど。
 高いフィギュアだと、提灯袖部分が着脱できるようになってるんだ。服自体がそういう仕様になってる設定なのか。
 と、いう事は、コスプレ衣装も安っぽいのを買ってしまうと提灯袖が取り外せない可能性がある。それだけは何としても避けたい。
 肩出し衣装である事が重要なんだ。
 いよいよキーワードに『コスプレ衣装』を追加してウェブ検索をかけて見た。
 最大手のネット通販サイト“ゾマホン”のページが一発目にヒットした。“ゾマホン”でコスプレ衣装も買えるのか。
『合身戦記ゲロターボ ミヤビ ゴスロリアトミックバージョン風の衣装』とある。
『風の衣装』って意味がよくわからないが、写真を見ると、最初から提灯袖がついていないようだ。これなら着脱ギミックはなくてもいい、ビンゴだ。
『参考価格 二万九千八百円
 価格 一万二千八百円
 割引 一万七千円(五十七パーセント)』
 うん予算的にも問題ない。
 お届け時期はオーダーサイズで二か月か、まあいいでしょ。
「ポチッとな。」
 自分のサイズを記入し、注文を確定した。
「んふふ。」
 あたしの顔は、完全に緩んでいたと思う。
 これで、はるかちゃんに勝てると本気で考えていたのだ。


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