2-5_検査結果_

2-5 検査結果② 髄液駄々洩れ

絶食カードを見ながら過ごす夜

3月10日、翌日行われる「脳槽シンチ」という検査の説明を看護師さんがしてくれた。朝は絶食で水分補給のみ可。薬剤投与後、複数回のレントゲン撮影があるため明日は慌ただしいとのこと。スケジュールは下記の通りだ。入院中でないとできないちょっぴりハードな検査である。(ちなみに、私は2日目で検査が完了する)

【脳槽シンチ】
3/11 9:30 放射線科へ移動 
   10:00 インジウムDTPA髄腔内投与 RI撮影(投与直後)
   11:00 RI撮影(投与1時間後)
   13:00 RI撮影(投与3時間後)
   16:00 RI撮影(投与6時間後)
3/12 10:00 RI撮影(投与24時間後)
3/13 10:00 RI撮影(投与48時間後)
3/14 10:00 RI撮影(投与72時間後)

画像1

このカードが机に置かれると、いよいよ検査が迫っているなという実感がわいてくる。そして、再び腰椎穿刺をすると思うと、なんだか想像するだけで腰のあたりに鈍い痛みが戻ってくるようだった。

痛恨のミス 水分補給とトイレ軽視

検査当日の朝は絶食だが、水分補給は問題ない。朝から喉が渇いたこともあり、検査前に500mlを飲み干していた。検査への緊張のせいもあり喉が渇いていたのだと思う。そしていつも通り朝から生理食塩水の点滴を開始しており、点滴を付けたまま、ストレッチャーで検査室へと運んでもらった。この時は大した尿意がなかったので直前にトイレにいかなかったのが後に地獄をみる。

検査室は思いのほか寒く、検査台も冷たかった。すると、腰椎穿刺への緊張もあってか血管が収縮して、点滴の箇所がどんどん痛くなってきた。医師に伝えて少し血管の箇所を温めてもらうことで改善はしたものの、手足にうっすら汗がでている状況だ。結局途中で点滴を外して腰椎穿刺を開始することにした。

画像2

薬剤投与後の安心からの地獄

局部麻酔はやはり痛い。局部麻酔前麻酔が欲しいところである。ちなみに、もっと太い針で局部麻酔する場合は、皮膚の表面にシールのようなものを貼って、麻酔のための麻酔をすることもあるようだ。私にもしてほしかったが、おそらくこの痛みはまだまだ初心者レベルなのだろう。

生理食塩水の点滴開始からちょうど1週間が経過しており、頭を起こせる角度が90度→45度くらいにはなっていたし、短時間であれば食事のときなどに起き上がっていられるので「少しは快復したかな」などという感覚でいたが、髄圧は相変わらず低いままだったようだ。ほどなくして、髄腔内にインジウムDTPAという薬剤が投与された。

すると安心したせいか、急に尿意を催した。確かに朝からの水分補給、生理食塩水点滴、寒さ、緊張など頻尿の条件がオンパレードである。しかし、腰椎穿刺後は1時間は止血のため仰向けで絶対安静にしなければならない。自分の膀胱の許容量を信じて、そのままレントゲン撮影へと入った。

修行僧のような気持ちで

MRI検査同様、RIもかなり時間をかけて撮影する。直立の場合はまだよいが、両腕を上げた状態で15分も静止するというのは、膀胱がひっ迫している状況においては結構な苦痛である。瞑想するつもりで、修行僧のような気持ちでとにかく時間が過ぎるのを待った。

撮影は40分ほどかかり、その後もしばらくは安静が続いた。そして薬剤投与60分後の撮影前にトイレ許可が下りたので、ずるずるとトイレに向かった。とりあえず、尿意を感じつつもなんとか耐えらてよかった。

トイレ後の撮影は、腕の痺れが辛いことをのぞけば楽勝だった。今後の検査前は必ずトイレに行こう!と小さく決意した。そして、脳槽シンチを受ける予定の方には声を大にして言いたい。検査前にはトイレ必須!特に最初の撮影が終わるまでが長い!

髄液駄々洩れにより検査期間短縮

無事1日目の検査が終了したころ、担当チームの医師の一人から、明日で撮影が終了になるかもしれないと放射線科医師から連絡があった、と言われた。4日もかかる検査が2日で済むのはラッキーだなと、さほど深く考えていなかった。

画像3

画像4

画像5

実際に受け取った画像が不鮮明なので、こちらに添付している画像も漏れなく不鮮明なのだが、黒っぽく映っているのが薬剤の動きで、時間経過とともに範囲が広く、濃くなっているのがわかる。

[所見]
60分後の時点で膀胱の早期描出があり、胸部で漏出(髄液漏)があります。また3時間、6時間後では腰部で漏出(髄液漏)を認めます。24時間後では両部位で脊髄周囲に淡い濃度上昇域があります。断続的な髄液漏と考えます。
なお全身及び尿路にROIを設定し漏出率を計算しました。6時間後にて80%近くの投与RIが漏出しています。高度の髄液漏出状態です。

髄液が漏れている場合、RIは急速に血液に吸収されるため、早期に膀胱に映るようだ。60分後の「膀胱の早期描出」の時点で髄液漏れは確定している。そして、損傷個所は「胸部」と「腰部」の2か所らしい。リハビリ医師とのやりとりで「腰があやしいのでは?」と言っていたが、やはり腰部には損傷箇所があったのだ。そして、わずか2日で検査が終了したのは、髄液の漏出量が多く、薬剤がすべて漏出したため3日目以降の検査が不要になったという意味だ。ひとまず私は重度の髄液漏れだった。

しかしこれで検査終了ではない。大本命のブラッドパッチ治療を受けるためには、髄液漏れの箇所を特定しなければならない。そこで、CTミエロという検査を追加で行うことになった。またしても腰椎穿刺が必要になるので、ちょっと憂鬱だが、治療のためには通らねばならない道である。

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【バックナンバー】
0)疾患についての概略
0-1 その頭痛、低髄液圧症候群ではないですか???
0-2 患者偏差値を上げる行動をする

1)発症から入院まで
1-1 発症 1回目の緊急搬送と誤診
1-2 迷走 原因不明の状態に苦しむ日々
1-3 脱出 迷走終了!入院決定!

2)入院中の出来事
2-1 入院開始 低随圧三大面倒な行動
2-2 検査結果① 低髄圧の勝利をつかむ
2-3 点滴と血管に纏わるお話
2-4 回診で緊張、リハビリでほっこり

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