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0-2 患者偏差値を上げる行動をする

私が低髄圧から回復して日常をとりもどしつつある要因として、私が強運であることがあげられる。ブラットパッチや外科治療を選択せず、硬膜の損傷が完治する3割の枠に運よく入ったこと。そして、周りのサポートがあったこと。「運」以外の要素でいうと、「患者偏差値」が高かったと自負しているので、そのことについて書き記す。

奇跡の人脈

夫の交友関係にまずは多大なる感謝である。大学時代の同級生で放射線科医のM先生が私の症状から低髄圧の可能性について言及され、検査方針や病院の選択などについて非常に的確なアドバイスをしてくれた。さらに、夫の高校時代の同級生で神経内科の専門医であるH先生が、即座に紹介状を書いてくださり、かつて勤務していた大学病院への入院手続きをスムーズにすすめてくれた。この2名の医師は本当に「神」である。

また、入院にあたって、3歳の娘がいる我が家では家族の支えが必須である。夫は、今まで好き放題な人生だったが、ここぞとばかりに恩返しを!と思ってくれているのか、家事育児全般を「俺なりに」とはいいつつも積極的に取り組んでくれた。さらに、神奈川在住の実家の母が福岡まで泊まり込みで手伝いに来て、家事や娘の世話などを全面的にサポートしてくれたのだ。入院期間は30日と比較的長期になったが、そもそも入院をためらうような環境の方もいるはずなので、自分は本当に恵まれていたと思うのである。

このような周りの環境に幸運が多くちりばめられている人ばかりではないので、自分で改善できることは何かついて、今だから冷静に思うことがある。

自分の病状を正確に、具体的に表現すること

タイトルにした「患者偏差値」は造語であるが、患者自身がどれだけ「病気に挑む」姿勢があるかが重要ではないかと感じている。問診の際に自分の状況を的確に伝えることで、医師の診断の精度が高まる。2回の誤診にあい、半分絶望しつつも、SNSで自分の病状をとにかく詳細に具体的に発信し続けたことで、先に述べた、奇跡の人脈の医師たちからのよきアドバイスにもつながった。

とはいえ、低髄圧症状が出ている時は痛みにすべての感覚を占拠されるので、問診時に椅子にでも座って居ようものなら、何も考えられない。「どんな痛みですか?」と医師から聞かれても、正直これを伝える言葉を探すのは難しい。

・ガンガンする痛みですか?

・脈打つような痛みですか?

・締め付けられるような痛みですか?

などと医師に聞かれることが多いのだが、どれもしっくりこない。そこで、私がおススメしたいのは下記にあてはめて表現することだ。

①痛みにレベルをつける 0→10

②どんな時に痛みが発生するのか

③どこが痛むのか

④痛みは持続するのか

これを意識して発信すると、医師からの診断の精度はぐんと上がるはずだ。低髄圧症状に当てはめると、寝ている状態はレベル1くらいだが、状態を起こしたときに30秒以内にレベル10の痛みが出る。再び横になると5分以内にレベル2くらいまでは痛みが落ち着く。痛みの場所は髄液漏れの場所や、病気の経過に応じて、頭の前部だったり、後頭部だったり、首だったりと変化することがあるので、適宜自分の状況に合わせて医師に説明してほしい。

低髄圧に限らないが、自分の状況を具体的に的確に表現することで、道が開けることは大いにある。SNS発信も「やべー、頭痛すぎでなにもできない」程度の内容であれば、「大変だね。大丈夫?お大事に」で終わる可能性が高い。これでは意味がない。

行動を数値化して目標を明確にする

特にこれはリハビリを開始してから意識し始めたことだが、低髄圧症状がでて入院に至るまでの自宅療養期間にも、意識していれば症状が緩和できたのではないかと思う。

低髄圧の緩和治療として「水分補給と臥床安静(横になっていること)」があげられる。1日の水分補給の量を意識している人はどれくらいいいるだろうか?食事の時、運動した時、のどが渇いたと思った時・・・。など、そこまで意識しない人が多いと思う。そうなると、ベッドのそばに水を置いていても、気が向いたときに何となく飲む程度で終わってしまうので、十分な水分補給はできていないことが多い。

治療に理想的なのは最低でも1日2リットルだ。普段大量に水を飲む習慣がない人だと、漠然と水分補給しようと思っていても、2リットルはなかなか飲めない。そこで私は午前11時までに500ml、午後3時までに500mlなどと具体的に目標時間と飲む量を決めて飲むようにした。自宅療養期間が長くなりそうな人は、この水分補給が重要なので、ぜひ目標値を決めて積極的に水分補給をしてほしい。

リハビリ中にもう一つ意識した数値は「運動量」だ。長期の臥床安静は大幅な筋力低下をもたらすため、リハビリはかなりキツイ。病院の廊下には数字が書かれたテープが貼られており、歩行距離の目安になる。自宅から保育園までは往復で1.2kmほどなので、この距離を連続で歩ける体力を取り戻すことを目標に、リハビリの先生と相談しながら歩行距離を延ばしていった。

大きな数字の目標を決めたら、それを細分化して小さな目標を作りそれをクリアしていくという過程は、仕事でも勉強でもスポーツでも楽器の練習でもあらゆることに通ずると思う。私は真面目なふりをしているが、実はサボり魔で気が散りやすいので勉強などは特に適当だった(今もか・・・)。そんな私であっても、治療に関してはかなり前のめりにストイックに行動できたので、ちょっと自分を見直した。やればできるじゃないか!

こんな風に、振り返ると実践してよかったこと、実践すればよかったことなどを冷静に見ることができる。低髄圧は誰にでも起きる可能性があり、予防措置がとれない。よって、発症時にどれだけ早く診断、治療に移れるかが重要だ。この記録が誰かの記憶の片隅に残って、それを伝えてくれることで病気から解放される人が増えたらうれしい。





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