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イギリス EU離脱 今考えるべきことは何か

今月23日に行われた欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票で、イギリスがEUを脱退することが決まった。

これを受けて、米国株式市場は大幅に反落。日本、アジア、欧州でも株価が下落するなど深刻な影響が出始めている。

日本企業への影響

現在、英国に進出している日本企業は1380社ほど。これまでは英国で製品をつくり、EU域内に輸出する際は関税がかからずに済んでいた。

しかし、イギリスがEUから離脱することで、新たに関税がかかることになる。関税がかかれば輸出コストが上がり、輸入する部品の調達コストも上がる。

そうなればこれまで以上に利益を出すことは非常に困難になることは間違いないだろう。

英国に進出する日本企業はイギリスから早期に撤退し、拠点を変える必要があるが、その移転費を捻出できない企業は窮地に追い込まれることになる。

イギリス人はなぜEU離脱を支持するのか

イギリスはEU加盟後から経済的な恩恵だけを享受していたわけではなかった。

2009年10月のギリシャ政権交代による国家財政の粉飾決算の暴露から始まるユーロ危機以降、イギリスでは不況が続き、反EUの声が高まっていく。

それに加えて、後からEUに加盟した東欧諸国などからの移民が増加。

その結果、病院や学校などが混雑し、職を失う人も増加。

これ以上移民の流入を放置すれば、社会保障費が減らされ、されに職を奪われかねないという危機感が国民に広く浸透していた。

そうした動きを察して、離脱派のボリス・ジョンソン前ロンドン市長は移民問題を大々的に取り上げ、「EUにとどまる限り移民は減らせない」と主張。

EUから出て、英議会の主導権を取り戻すべきだと訴えていた。

経済上のデメリットだけに注目してはいけない

日本のメディアで取り上げられているのは、日本にどのようなデメリットが生じるのかという問題。

自分たちの生活に悪影響がどのくらいでるのかという問題はやはり気になることのようだ。

しかしながら、今回のEU離脱問題は、「移民問題」が争点の一つとなっており、経済上のデメリットをだけを考慮するだけでは収まりきれない問題となっている。

「移民を受け入れるべきか」という問題は、根っこのところで、犠牲を伴っても他の国の人々と協調していくべきかという問題でもある。

その点を考慮すれば、われわれ日本人の抱える問題、とりわけTPPを中心とした貿易問題、自衛隊を海外に派遣できるようにすべきかといった憲法改正の問題とも大きく関わっている。

経済上のデメリットだけを考えていては、根本的な問題はいつまでたっても解決されない。

EU離脱を支持する人の誤解

日本人の中には意外とEU離脱を支持する人も多いようだ。

検索で調べてみたところ、大体が「イギリスは移民を受け入れて不利益を被っていた」、「経済的に苦しくなっていては仕方がない」という内容が多かった。

だが、これらの意見はイギリスがEUに加盟することで利益を得ていたという事実には一切触れられていなかった。

先に示したように、イギリスがEUに加盟していることで、日本企業の多くがイギリスに進出し、拠点を持つことができていた。

この恩恵によって、イギリスは多額の利益を得ていたことは忘れてはならないだろう。

また、他国から人が自由に行き来できれば、優秀な人材も集まってくる。その人たちがイギリス国内で活躍することで、科学や経済、学問などさまざまなジャンルがより発展するというメリットもあった。

EU離脱については、こうしたイギリスが受けていたメリットも考慮した上で、判断した方がいいだろう。

「移民排斥」反対を主張する人の誤解

イギリスが「移民を排斥」の道を選択したという主張も意外と多かった。

たいていが「自国の利益だけを優先している」という内容だが、イギリスは移民を最初から拒否していたわけではない。

できるだけ受け入れてみたものの、自国への悪影響があまりにも深刻だったため、やむなく移民の流入をストップしたというのが現状だ。

それをほとんど移民を受け入れていない日本人がなぜ批判するのだろうか?

日本人の多くは「戦争反対」を声高に叫んで、自衛隊を海外に派遣することに反対している。それは世界や他国のためというより、まず第一に自国の平和のためではなかったか。

その点ではEU離脱を選択をしたイギリス人たちとわれわれ日本人は全く同じなのだ。

イギリスの移民排斥がおかしいと言うのなら、それと同じくらい「日本でも移民を受け入れるべきだ」と主張しなければ筋が合わない。

今考えるべきこと

われわれ日本人が今最も考えなければならないことは、EUのこれからでも、イギリスの課題でもなく、日本がこれから世界と協調していくべきかということだ。

移民問題も含めて、貿易問題やテロ、紛争問題などを他の国の人々と共同で取り組めば、当然多くの犠牲が生じてくる。それは経済上の問題だけでなく、日本人の命に関わる問題でもある。

日本が一つの国である以上、自国の利益を優先するのは当然のことだ。世界のためと主張しつつも、日本という国がなくなってしまったら元も子もない。

自国のことを第一にしながら、私たちはこれからどうするべきか?

今、日本人の私たちにその選択が迫られているのである。




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