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詩・作詞

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2023年9月の記事一覧

【詩】伝言

【詩】伝言

プロパンガスのネズミ色

油で黒光った大きな鉄板

一日限りの出店の焼きそば

こんな住宅街の裏道で

文化祭なんてあるわけないのに

夕暮れの

外の空気はただよう

ぎこちない秋のリクルートメイク

あなたのこういうとこが好き

わたしは伝えたいことを恥ずかしげもなく口にする

それがわたしにはあたりまえのことだった

よくはずかしくないね

いえいえ、あなたが言葉少ななだけ

歩けば歩くほど

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【詩】皮

【詩】皮

服を脱いでしまえばみんなおなじヒトなのに

偉そうにふんぞり返って
尖った革靴を光らせて
脚を組み直して
大声で電話をしているスーツの男
カフェの店員を手招きして
エスプレッソを指差す
ラックからレオンを取り出して
あるページをスマホで撮影して
退店する時雑誌も戻さず
小銭を投げて支払っていった
迎えにきた左ハンドルの
真っ赤な車の運転席から降りてきた
女のボディーラインの強調した
タイトワンピの

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【詩】心臓

【詩】心臓

わたしの左の胸が
あなたの右の胸に
鼓動する

あなたの左の胸が
わたしの右の胸に
鼓動する

わたしの心臓とあなたの心臓
ふたつの心臓がひとつの体に
鼓動する

抱き合う意味を考える

わたしの中にわたしのじゃない命がうつる
お互いの左右の心臓は休まず動いてる

あなたの右の胸でふてぶてしく燃えている
それがわたしの心臓です

わたしの右の胸で兎がぷるぷる震えている
これがあなたの心臓ですか

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【詩】けっかん

【詩】けっかん

うるさいやつは寝ても覚めてもうるさいのです

寝顔だけは天使なのにね
なんてすりこみです

無知なら許してもやれるものを
無神経は終いです

馬鹿は死ぬまで治らない病気なのです

かわいくない子どももいます

決してこどもが嫌いなわけではありません

かわいくない子どもが嫌いなのです

そのくせ犬や猫はみんなかわいいのです

わたしはきっと致命的に欠けているのです

それを認めず気づきもしない人間

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