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海音寺潮五郎の『天と地と』を読んで

 主人公上杉謙信を題材にした海音寺潮五郎の『天と地と』読んでみて感じたことをつらつら書こうと思う。

 『天と地と』を読む

 これは僕が最近(?)時代小説に偏って読んでいたと感じていたので、

「偶には歴史小説を」

 と思い、ネットで調べてAmazonで購入したのだ。

 時代小説と歴史小説の違いは虚構の主人公を扱うのが時代小説、歴史上の人物を主人公に扱うのが歴史小説とイメージしてくれたら良い。

 簡単な感想を言うと、とても面白かったに尽きる。

 上中下あるのだが、あっという間に読み終えてしまった。

 最初の頃は父長尾為景を中心に話は動くのだが、上の途中から景虎(謙信)が登場し、子供の頃から他の子とは違う非凡なところを周りに見せていく。

 それ以降は謙信を中心に動くのでとても読み応えがあった。

 そして謙信は名前を結構変える。

 長尾虎千代→喜平二→景虎→上杉政虎→輝虎

 とこんな感じだ。

 だから読む時は注意しないといけなかった。

 作中では喜平二と景虎がよく使われていたので、まぁそんなには気にしなくていいかもしれない。

 なぜ謙信は長尾から上杉になったのか。作中によると上杉も色んな上杉があるのだが、越後国(新潟県)では上杉家と長尾家は婚姻関係を結んだ主従関係だった。

 そして関東を治めていた越後上杉の遠い親戚の上杉憲政の助けで景虎を養子にしたのだ。

 その助けとは謙信に関東を暴れ回っている北条等を治めてほしいという内容だった。

 時は戦国時代、群雄割拠の時代だ。

 室町時代の制度なんてのは表面的に等しい状態だ。ほとんどの武士は形式には則るがそれはやはり表面上に過ぎない。

 作中では他の武士とは違い謙信はかなり義を重んじる人間として書かれている。

 またそれとは対照的にかなりドライで利に動く性格で書かれる人物が登場する。

 それは永遠の宿敵である武田晴信(後の信玄)だ。

 やはり信玄と謙信の争いはめちゃくちゃ興奮した。

 二人の読み合い、駆け引きの所は海音寺潮五郎の腕の力もあり、とても計算高く面白く書かれていた。

 そこで僕の好きなシーンを二つ上げるとすると、もちろん謙信と信玄の知力を駆使した戦い。

 それと僕自体徳島県民なので、阿波の三好の登場するシーンだ。

 三好は室町幕府を巣くう悪役として出てくるが、なかなか頭が切れる松永久秀を部下に従えて謙信もなかなか手が出せずここでま駆け引きがあり面白い。

 そして激戦川中島の戦いを繰り広げて作品はあっけなく終わる。

 もっと謙信の人生の終わりまで作品があれば読みたかったが、残念であった。

 その後

 僕はかなり前に藤沢周平の遺作『漆の実の実る国』を読んでいた。

 これは上杉治憲(鷹山)を主人公に書かれた作品であり、ここでは深くは述べないが流石は藤沢周平、とても流れるような文体ですらすらと読めた。

 これも途中な感じで終わるのは少し気が残るがそれまでは面白い。

 そして今回は上杉謙信を読んだ。そしたら僕は気づいたら上杉ファンになっていたのだ。

 次は何の上杉関連の作品を読もうと思い、わくわくしながらネットで調べたら童門冬二の新書の本である『上杉茂憲: 沖縄県令になった最後の米沢藩主』という本があり読んだ。

 最後の米沢藩主は沖縄県令を数年だけ勤めて鷹山公のように沖縄を治めるべく尽力したそうだ。

 そして現当主は何をやっている人なのか気になってネットで調べたら、東大出て人工衛星の『さきがけ』の打ち上げを担当した人だった。

 上杉茂憲は現当主の曾祖父。

 以下系図↓

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