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『看板ドック』。2015年に起きた落下事故を教訓に、老朽化した看板の点検を行う会社。

こんにちは、翼祈(たすき)です。

看板の落下事故は日本各地で発生しています。国土交通省によりますと、公表を開始した2010年12月以降、看板の落下事故は全国で少なく見積もっても15件に上り、怪我人も10人います。

北海道札幌市て発生した看板の落下事故を受け、国土交通省が実施した緊急調査では、全国の自治体から報告があったトータルおよそ4万8000棟の中で、1516棟で看板の補修が必要という結果が出たといいます。

看板など街中に設置されている屋外広告物は、一般的に都道府県や政令市などの条例に基づき、設置の届け出する以外にも数年に1度の点検・報告が義務付けられます。ですが、国土交通省が全国の自治体に発令した指針案では点検方法は原則、目視・打診検査などとされています。

そんな看板を、点検している、1つの会社があります。

店舗などにある看板が老朽化して落下する事故を無くしていこうと、人間ドックならぬ『看板ドック』と命名されたサービスを提唱する企業があります。最新技術で看板の老朽化の進み具合など、看板の安全性を数値化する仕組みです。

看板に特化した点検事業に参入したのは、およそ9年前に発生した悲惨な事故を二度と繰り返さない様にと、「レガーロ」の社長の男性の想いがあったからでした。

今回は『看板ドック』の会社が立ち上がった経緯などを説明します。

『看板ドック』の会社を立ち上げた過去の教訓

店舗の外壁に設置していたり、ポールに支えられたりした看板の落下事故を事前に防ぐため、『看板ドック』を開発したのは東京都世田谷区にある看板製作会社「レガーロ」でした。今までの点検は触診や目視がメーンでしたが、『看板ドック』は超音波検査機器などを活用して看板内部や地中の基礎部分の劣化状況を迅速に診断し、部分ごとの危険度を「診断カルテ」としてグラフ化し顧客に提示します。

『看板ドック』を開発したきっかけは20代の女性が重傷を負った看板の落下事故が発生したからでした。2015年2月に北海道札幌市にある飲食店[札幌かに本家 札幌駅前本店]で看板が落下しました。たまたま歩道にいた女性の頭部に直撃し意識不明の重体となりました。裁判資料によりますと、[札幌かに本家 札幌駅前本店]の外壁に設置されていた鉄製看板の支柱の一部(長さ1.55m、縦横30cm、重さ約25kg)がおよそ15m下の路上に落下しました。接続部分が腐食などにより劣化していました。

「看板が落下して人を傷付けてしまったことにショックを受けました」。アパレル事業を経て、2004年頃から看板の製作・販売に参入していた「レガーロ」の社長の男性はその当時をこう振り返ります。それと同時に危機感を募らせました。「こんな悲惨な看板の落下事故が続いてしまっら、看板を設置する人がいなくなり、業界の未来が失われるのではないかー」。

「レガーロ」の社長の男性は札幌市の看板の落下事故が発生した後、取引している先の飲食店担当者に老朽化した看板の取り換えを提案しました。すると取引先の担当者は「危険かもしれないですが、客観的な根拠がないと会社の稟議(りんぎ)は通過しません」と打ち明けられました。

看板に関連する明確な安全基準がないことがベースにあると想定し、「レガーロ」の社長の男性は「科学的根拠のある検査が実施できると、看板の落下事故を予防できます」と、『看板ドック』の開発に奔走しました。

最初の『看板ドック』の開発での課題は安全基準の設定でした。東洋大学の理工学部と連携して、過去にあった標識の倒壊事故や原通信用ポールの原因を分析し、劣化状況との因果関係を検討し、オリジナルの安全基準を設定しました。地中の基礎部分や看板内部は、標識の安全検査でも活用されている超音波検査機器を用いて、劣化状況を数値化しようと思い付きました。

その上で鉄道会社OBを顧問に迎え、鉄道会社で行っている安全管理や点検方法のノウハウを注ぎ込み、『看板ドック』の開発を加速していきました。『看板ドック』の開発が本格化すると、既に設置されているおよそ50基の看板で「模擬検査」を繰り返してデータを集めました。

2018年に『看板ドック』の事業が始まりました。『看板ドック』にかかる費用は1店舗あたりおよそ15万円で、2021年度までに全国の小売りチェーンや飲食店などからおよそ300件の依頼がありました。

参考:「看板ドック」知ってますか 最新技術で挑む落下事故防止 毎日新聞(2022年)

街中にある看板は戦後の高度経済成長期に設置された看板も多いとされていて、これからさらなる看板の落下事故のリスクが高くなる恐れもあります。この様な背景や顧客の間で口コミが広がったことで『看板ドック』のニーズが高まりました。

「レガーロ」の社長の男性は「看板に関わる者として、看板の落下事故で悲しむ人をゼロにしたいです。看板の製作・販売以外にも、安全管理まで徹底するのが私たちの責任ですから」とビジョンを口にしました。

私が看板が怖いと感じた時。

それは通勤中です。通勤エリアは、中心部ほどの都会エリアではないですが、程よく都会で、高いビルがあるのですが、道路を挟んで左右に同じ高さ位のビルがあるからか、結構強い風がその辺りを吹きまして。

夏場に日傘を差す時、そのビル付近まで来ると、強い風で日傘が差せなくなります。(日傘が安いものなので、骨組みが強くないのもありますが、)

もの凄く強い風と共に、終始ビルの看板が気になります。「歩いていて、看板が落ちて来たら...」といつも心配になります。建物自体も古いですし。

この記事で紹介させて頂いた『看板ドック』は、ビルは再開発のものもあれば、建て替え費用の高額化で老朽したままのものも多いです。

そういう意味でも、今後ニーズが増える仕事でしょうね。

参考サイト


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