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ハワイの朝で。

忘れられない景色がある。

ハワイの早朝5時、僕はホテルを出てひとりランニングをすることにした。
ヤシの木が並び、青色いっぱいと朝日。

「もうこのままでいいや。」
本気でそう思った。
現実から乖離した感覚があった。
全ての“やらなければいけないこと”を日本に置いておける気がした。
物理的距離が遠いだけでこんなにも楽になるんだ。ここならシンドイことから逃れられる。
そんな声がドッと心に積もった。
やたら天気が良かった。

前方からスタイリッシュな男性が走ってきて、僕の横を通り過ぎる。
映画で見たようなアメリカンな「Yeah!」という挨拶はない。そらそうだ。

少し走ると地べたで寝ている人とすれ違った。たぶん毎日ここにいるのだろう。
ハワイはホームレスの人が多いらしい。
更に5分ほど走ると違うホームレスの人に出会った。

ヤシの木が非日常感を出してくれる。
ハワイで早朝からランニングをするという自己満悦に浸っていると、コンビニに辿り着いた。
知らない言語が飛び交う。ネイティブな英語すぎて、僕からすれば未知の言語。
ジュースを買おうと思ったけれど、来た道をランニングで戻る予定なのでやめておいた。

あ、ここで生活を営んでいる人たちがいる。
そんな単純なことにふと気づく。

僕からすれば非日常の中に、限りない日常があった。
道ですれ違ったトムクルーズみたいな人も、寝ていた人も、コンビニの人たちも、みんなここで過ごしている。
そんな事実は世界の広さを感じさせる。
そして謎の安堵感を覚える。
「聞く」と「見る」では全然違うくて、『百聞は一見にしかず』とはよく言ったものだ。
目で見て、風を浴びて、触れて、ご飯を食べて、色を感じて、そこで息をしないと分からないことがある。

僕が「このままがいいや」と思った景色には、誰かが生活をしていて、誰かにとっての毎日があった。

ホテルに着くとすっかりお腹が空いていた。
“自分の現実”から距離を置く素敵な時間だった。
特別な時間だった。
天気のいい青空に、朝日と海とヤシの木。
忘れられない景色だ。
スマホで朝ごはんを調べる。
前日から調べていたアサイーボウルの店の場所を調べた。
お腹がグーっとなった。


※ハワイに行ったのは約3年前です。


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12月21日0時より、初めて作詞作曲編曲した曲を配信します!各種ストリーミングサービスにて同時配信!
あかの『遊園地』
ぜひお楽しみに!

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