ひとりでもいいと言う優しさ
雪が降る日はしんと辺りが静まり返って
何もかもが、無のような気さえする
まるで全てがそこに存在しないように
それでも、鳥の声はどこからか聞こえてきて
リスが大きな尾を振り走り
猿の群れはまるで新喜劇のようにドタバタと今日も賑やかに山へ帰って行き
キジがこちらを覗いている
そんなに恐れなくても取って食ったりしないのに
草木が眠っているから静かに感じる森も、何もないわけではないのだとそう知ることができる
森の中の大きな石に座って何かに向かって呼びかけて
言葉はいつも一方通行だと思うこと
そう思う事は悲しいことではない
だって、大切なものは目には見えない
とそうサン=テグジュペリは言っていた
どうしてかわからないのだけど、森へ行くといつでもおかえりと言われているような気がする
ー今は眠らせてもらうけど、春になったら一緒にお茶でもしようじゃないかー
そんな木々の声が聞こえてくるように
森へ行く時はいつもひとりぼっちになりに行く
孤独より深い孤独を味わいに
でも、自然の中ではそうそうひとりにはしてくれない
そんな、森でのひとりはどんなひとりの時間よりも暖かい
何かにならずとも、私を迎えてくれるから
ひとりじゃない
そんな言葉も悪くないかもしれないけど、ひとりでもいいはもっと優しい
そんな事を森は教えてくれる
akaiki×shiroimi
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