香夜

主に読む専だけど、書いたものも投稿します✏

香夜

主に読む専だけど、書いたものも投稿します✏

最近の記事

禍話リライト【放課後のドラマ】

とある放課後、帰宅部だった私は教室で帰り支度をしていた。 そんな時、クラスメイトのNにこんな問いかけをされた。 「なぁ、放送部がドラマやってるの知ってるか?」 「え、ドラマ?そんなのやってたっけ?在校生からのリクエスト曲流してるだけじゃないの?」 「俺も詳しくは知らないんだけど、やってるらしいんだよね…」 私の思い浮かべる放送部の活動は、お昼時に校内放送でリクエストの曲を流したり、特定の生徒を呼び出したり、下校時刻には生徒に向けて下校を促す放送したりする…そんなイメー

    • 禍話リライト【玄関の母子】

      これは、Bさんが小学生の頃に友人宅で体験した話。 今でも、あの日の出来事は鮮明に覚えています。 その日も、いつものように友人Sの家でファミコンをしていました。 ふだんは4、5人で遊びに行ってゲームをするのが常でしたが、その日はなぜかSと2人きりでした。 今思えば、その時からすでに変だったのかも…。 たしかマリオ的なゲームをやっていて、敵にやられたら交替するルールで、ふつうに仲良く遊んでいたと思います。 1階にある彼の部屋でゲームを進めていると、トイレに行きたくなりました。

      • 禍話リライト【霊園の再開】

        「霊園ってやっぱりお化けとかいるもんなのか?」 ある日、かぁなっきさんの元に高校時代からの旧友Rさんから連絡がきた。 彼は、かぁなっきさんが怖い話をしても冷たい顔をするような、オカルトとは距離を置いた奴だった。 それが急にベタな事を聞いてくるのでとても驚いたという。 結婚もして、子持ちのパパでもある彼に何が起きたのだろうか。 とりあえず話を聞くことにした。 その日、Rさんは仕事帰りに会社の後輩と呑み、千鳥足で歩いていた。 途中、大きな霊園に差し掛かった時 「こんなデカい

        • 禍話リライト【猟奇人「洗い供養」】

          「怖い話ねぇ…怖いかはわからねぇけどこんな話があったよ」 Aさんは現在50代で、都内で編集の仕事をしている。 怖い話はないかというKさんの問いに対して、怖いかどうかは分からないが、と断った上でAさんはこんな話を始めた。 学生の頃、お金が無かったAさんはボロボロのアパートに住んでいた。 住民も似たり寄ったりで、お金が無さそうな人ばかり。 貧乏人が集まるとなると、若者か年寄りだ。 「そのアパートに変な爺さんがいたんだよ」 80、90くらいだったというその老人は、毎日ぬいぐ

        禍話リライト【放課後のドラマ】

          禍話リライト【影踏みの女】

          とある中学校の図書室にまつわる七不思議のお話。 その学校は、本にバーコードを貼って貸し借りを管理していた。 さながら図書館のような管理体制だったのだが、時々不思議なことが起こるのだという。 バーコードが貼られておらず、何なら書籍ですらないものが、いつのまにか書架に紛れ込んでいる。 それは、スケッチブックだった。 表紙にはタイトルを書きいれるスペースがあり、そこに汚い字で 『影踏み』 と書いてある。 普段は見当たらないのに、ふとした瞬間に現れる。 ある時は百科事典の間に挟

          禍話リライト【影踏みの女】

          禍話リライト【猟奇人「開かずの金庫」】

          Aさんの遠い親戚の家に蔵があった。 大分古いもので壁にはヒビが目立ち、骨董品なども置いていないので壊すことになり、親戚総出で片付けを始めた。 蔵の中にあったのは、二束三文にもならないガラクタばかり。 ゴミ屋敷を片付けると法外な金がかかると言うが、これも似たようなものだとAさんは内心思っていた。 作業が進み、ようやく蔵の奥側に着手し始めた頃、それは見つかった。 「おい、古い金庫があるぞ」 貴重品が入った金庫なら、入り口近くに置くのではないだろうか? また、仮に家長が亡くなっ

          禍話リライト【猟奇人「開かずの金庫」】

          禍話リライト【喪中の家】

          何がきっかけだったかは憶えていないが、Mは十数年ぶりに地元に帰った。 久々に再会した旧友との酒の席で、小・中学校の同級生が町内会長になっている話を聞かされた。 その町内会長であるCの家が、今飲んでいる店からそう遠くないというのでタクシーで押しかけることにした。 「町内会長なんてすごいね、若いのに」 「過疎化が進んでるから選ばれたんだよ」 Cの家にはいろんな種類の酒が置いてあり、タダ酒だと冗談交じりに盛り上がった。そんな楽しい雰囲気で、その話は切り出された。 「…近所に

          禍話リライト【喪中の家】

          禍話リライト【雛の池】

          Iさんが通う九州の大学にHさんという先輩がいた。 Iさん同様大学院生ではあるが、長く在籍していて界隈では有名な人だった。(一般的な博士課程修了年数は原則3年である) ある日、実家に何年も帰ってない話を仲間内でしていた。 Hさんは、実家との距離があるのを言い訳にしてしばらく帰っていないと明かした。 もともと関東出身だった彼は頭も良かったので、関東圏内でも大学は選び放題だったはずだ。しかし彼曰く、完全に実家から離れたかったから九州方面を選んだらしい。 「地元でやらかしたんです

          禍話リライト【雛の池】

          禍話リライト【紙袋の中】

          皆さんは普段、通勤に何の交通手段を使っているだろうか? 電車を使う人は、この話を読まない方が良いかもしれない。 特に関東にお住まいの人は....…。 体験者であるKさんは普段、電車で通勤していた。 その日も、会社帰りにホームで電車が来るのを待っていた。 携帯を見るのに疲れた彼女は、なんとはなしに遠くを眺めた。 その日は珍しく、2つ向こうのホームが良く見えた。いつもなら発着の電車に遮られて、1つ先のホームが見えれば良いほうなのに。 (こんな先まで見えるなんて珍しい) 何気

          禍話リライト【紙袋の中】

          禍話リライト【板の敷かれた家】

          草むらの中に、白い殺風景な建物があった。 元々は何かの施設だったんだろう、というような外観。 見る限り、地下への通路もあり、部屋数も数えきれない程の大きさだ。 雑草生い茂る緑一色の世界に、突如姿を現す白い異物。 その建物が現役だったころは良かったんだろうが、廃墟化した今となっては不気味さだけが際立っていた。 建物内の倉庫にはラックや物が詰め込まれた段ボールが散乱しており、その段ボールには10~20年前の日付が書かれたまま。 箱の中を見た人によれば、伝票や納品書などの書類が入っ

          禍話リライト【板の敷かれた家】

          禍話リライト【怪談手帖〈未満〉「ウズラトンネル」】

          小学校教員を長く務めたEさんには忘れられない奇妙な体験があるという。 それは彼女が、低学年のクラスを担当していた時のことだ。 当時、生徒たちは毎日日記帳を先生に提出する決まりになっていた。 その中に、Kさんという女生徒が提出した日記があった。 〚きのう、かっているウズラにおかしなことが起きました。〛 なんでもKさんの家では、ウズラたちを入れているケージがある部屋は他と別にしてペットシートを敷き詰めているそうだ。昨日の夕方、帰宅したKさんはその部屋に、朝は無かった妙な物が置

          禍話リライト【怪談手帖〈未満〉「ウズラトンネル」】

          禍話リライト【甘味さん譚「蜘蛛が嫌いなのではない」】

          今回は甘味さんが実際に体験した話ではなく、とあるグループと縁を切るキッカケになった話。 たまたま廃墟の写真を撮るのを趣味とするグループと知りあいになった。 一緒に行けばガソリン代も浮くし、奢ってもらえればご飯代も浮くし、甘味さんにとっては良いグループだった。(冷静に考えればひどい話なのだが…) 甘味さんは直接会ったことが無いのだが、彼らにはとある先輩がいるらしく、その人は廃墟は大好きなのに蜘蛛や、蜘蛛の糸が大嫌いという難儀な人だった。 当然のことながら、大抵の廃墟には蜘蛛の

          禍話リライト【甘味さん譚「蜘蛛が嫌いなのではない」】

          禍話リライト【怪談手帖〈未満〉「海を臨む家」】

          Aさんの一族の持ち山に、普段は顧みられない廃屋があった。 緑の間から張り出すように建てられていて、遠目に辛うじて海が見えるロケーションだ。 一族の羽振りが良かった昭和の頃、遠縁の人々を住まわせるのに使われていた家らしく、その人たちが出て行ってからは管理が面倒で長いこと放置されていたのだという。 ある時、Aさんとお兄さん、従兄弟の3人は「その家を見分し直す」と言って、父方の叔父に駆り出された。 大雑把な一族には珍しく、神経質でがめつかった叔父は、家一軒の地所を遊ばせておくくら

          禍話リライト【怪談手帖〈未満〉「海を臨む家」】

          禍話リライト【バスの忘れ物】

          30代女性Bさんが、高校生の頃に体験した話。 彼女は普段、バス通学をしていて、左側の1番前の席に座るのが好きだった。 その日は雨で、いつもより乗車率が高かった。 それにも関わらず、お気に入りの席は空いていて、バスに揺られながら景色を楽しんでいた。 ふと、運転席の真後ろの席を見ると忘れ物があった。 とてもカラフルな眼鏡で、洋服も気を使わないと全体のバランスを取るのが難しい、そんなデザインの代物だった。 (オシャレ眼鏡なのかな?) そんな感想を抱いた。 満員に近い混み具合だっ

          禍話リライト【バスの忘れ物】

          禍話リライト【双子の話】

          あなたは1番最初の記憶を憶えているだろうか? これは私の1番古い記憶と、祖母の話です。 私の実家は海と山に挟まれた田舎にありました。 大きくはないですが、畑をずっと続けているような、田舎の手本のような家です。 私が幼い頃は、ご近所さんも屋号で呼ぶような環境でした。 私の祖母は、現代なのに、近世の話をするような人でした。 ある日、クラスメイトのお母さんが双子を出産しました。 身近になかったことなので、夕飯を食べながら家族にその事を話しました。 「双子か…そりゃ、大変やね…

          禍話リライト【双子の話】

          禍話リライト【家の中のポスト】

          とある九州の田舎に癖のある家があった。 郵便ポストが玄関にあるのだが、それがガムテープで封じられており、何かしらの理由で家の中に配達して欲しいという。 郵便を手渡しするのか。 下駄箱の上にそっと置いてくるのか。 そのようなケースはままある話なのだが、その家は違った。 玄関の引き戸を開けると、なぜか上がり框のところにポストがある。 外で使うようなタイプのものが、そのまま置いてあるのだ。 始まりは唐突だった。 それまでは玄関に備え付けられたポストへ普通に配達していた。 それがあ

          禍話リライト【家の中のポスト】