冬が過ぎれば春がくる
二月十四日。目が覚めると指先が冷たかった。布団からはみ出していたふくらはぎも、かちかちに冷えている。ぶるり、と震えながら布団のなかでもぞもぞと体を動かす。窓枠とカーテンの隙間から漏れ出てくる冷気を睨みつけて、ママに怒られる前にしぶしぶカーテンを開いた。こんなに寒い日はこたつの中でぬくぬくと一日を過ごしたい。ずる休みでもしてしまおうか、と考えてすぐに、藍子との約束を思い出す。きょうの放課後はチョコを配りにまわるんだった。ベッドの上で勢いよく起き上がり、急に目覚めた頭と身体で登校