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ひろがる仕事と子供の未来【エッセイ】

「びっくり仰天、テストは0点、つるつる食べるはところてん」

うちの4歳がこの前、突然言いたした。
もちろん彼はテストで0点を取ったこともなければ、ところてんを食べたこともない。聞いたこちらが、びっくり仰天で問いただしたところ、何やら恥ずかしそうにしながら教えてくれた。

「ユーチューブで言ってた……」

◇◇◇

調べればすぐにでてきた。

子供むけの有名Youtuberが使うフレーズらしい。
うちの子は、暑いのも寒いのも嫌いで、私の父や母が「遊ぼう!」と誘いに来ても「暑いからイヤだ」とことわる、根っからのインドア派だ。自慢ではないが、完全に妻の血筋である。

私はと言えば、『子供は風の子』のイメージから抜けだせない昭和の人間なので、何事もなければなるべく外で運動させたい。
ただ今年はコロナもあるし、暑い日はとにかく暑かったのも事実。やっと9月に入って涼しさを感じる場面も出てきたけれど、炎天下に子供を連れて水場以外の場所に行くのは気がひける日が多かった。

結果として、家にいる時間は増える一方。

そうなると心強い味方になるのは、やはりYoutubeだ。
様々なで多量に子供むけの配信を行っているYoutuberに影響を受けないわけがないのだ。

◇◇◇

それ自体は否定しようもないし、否定するつもりもない。ただひとつ、ちょっとだけ心配していることがある。子供の将来のことだ。

生きていくための『仕事』のことである。

ひと昔前にくらべれば、いろんなことでお金を稼ぐことができるようになった。くだんのYoutuberもそうだし、プロゲーマーだって少し前には存在しなかった。

選択肢が広がったことはいいことだと思う。人間、あうあわないがあるから、法律を犯すようなものはともかく、自分にあった生き方で、生きていけるだけの収入を得ることができるなら、それを肯定してやらない理由がない。

野球選手や、将棋の棋士になるのは結構もてはやされるのに、Youtuberやプロゲーマーになるのがもてはやされない理由があるだろうか? リスクが高く、ひとにぎりしかそれで生きていくことができないのは、どちらも同じだろう。
もちろん世間の目線や、リスクリターンの程度に違いはあるけれど、それは流動的なものだ。10年先にどうなっているかはわからない。


もし彼が、そういった『今までになかった仕事を目指したい』、そう言い出したときに、私は彼を肯定できるのだろうか。

◇◇◇

上の子はまだまだ4歳、あ、違う今日、彼は誕生日だった。
5歳だ5歳。誕生日おめでとう。プレゼントのおもちゃは押し入れにあるよ。

5歳だから、すぐに親のもとを離れるわけではない。早い段階から彼の意志が決まっているなら、なんでも試してみればいい。低い年齢からはじめられるものが増えてきたし、そのコストも低くなった。

でも、いざ本気でそれを目指し、メシを食っていくと彼が言い出した時。

まず試されているのは、子供の意思ではない。
親としての『度量』の広さだ。

彼が私が知りもしなかったものの影響を受け、それを披露しているのを目の当たりにするたびに、私の中にそんな焦りにも似た感情がじんわりと広がる。



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「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)