絨毯の大きなシミ【ショートショート】【#48】
「もう二度としないって言ったじゃないか……」
彼は泣き崩れた。そんな彼を見つめる私だってもう涙でボロボロだった。
彼と2人で「もうやらない」と決めたあの日。あの日の誓いに何の嘘もない。心からそう願って、そのために努力しようとお互いに鼓舞しあってきた。あの日からわずかに数カ月。今日の今日までの期間、彼と一緒に培ってきた、その努力と熱意。そして彼の信頼さえも一瞬にして私は捨て去ってしまったのだ。
「本当にごめんなさい。でも……なにも覚えてないの」
「じゃあこれはなんな