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短編小説等まとめ

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自作短編小説及びその他創作文章のまとめです。
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2021年11月の記事一覧

転がしパーティー【ショートショート】【#178】

「ああ、いくつになっても"こま"の回転は美しいですからね」 「回転といえばまずは"こま"です…

たけのこ
2年前
24

この時計は時間をもどせる【ショートショート】【#177】

 この時計は時間を巻きもどすことができる。自由自在ではなく、一度きり。もどせる時間は時計…

たけのこ
2年前
10

コロコロ変わる下剋上【ショートショート】【#176】

「王手!」 「う~んダメだ。……まいりました」  縁側では孫たちが将棋を指していた。こんな…

たけのこ
2年前
8

伝説のパン【ショートショート】【#176】

「お前の家に伝説のパンがあるんだって?」 「ん? よくわからんが、伝説といわれるヤツはあ…

たけのこ
2年前
14

みんなでかき【ショートショート】【#175】

「3分の1づつにわけようか」 「いや誰かがまるっと持っていった方がいい。こういう時に序列…

たけのこ
2年前
7

全力で推したいポケット【ショートショート】【#174】

「なあ、これ見てくれよ」  若い方の男がそう言って差し出してきたのは布製の白い手ぬぐいの…

たけのこ
2年前
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初めての感想文(ショートショートnote杯)

「おお、すごくいいじゃないか」  職員室では若い先生が生徒の読書感想文を読んでいた。生徒たちは小学2年生。読書感想文というものを書いたのは初めてだ。だからほとんどはつたない文章だったし、ろくに形になっていないものもあった。しかし今読んでいる生徒のモノは違った。  あらすじも的確。表現はウェットに富んでおり涙を誘う。そこから派生して書かれている自分の考えなどはあまりにも斬新で素人はだしだ。ビックリして隣の席の先生に声をかけようと思ったとき、丁度これを描いた生徒が入ってきた。 「

君に贈る読書(ショートショートnote杯)

「とにかく今すぐこの本を返品させてくれ!」  男は店に入ってくるなりそう叫んだ。ここは有…

たけのこ
2年前
17

インドのおっちょこちょい(ショートショートnote杯)

「どうしても食べたいというのか?」 「ええ、どうしても食べてみたいんです!」 「食べるため…

たけのこ
2年前
21

小さな小さなの意外な使い方(ショートショートnote杯)

「小さな小さなうちの可愛い子供たち! 早くご飯を食べにいらっしゃい」  2階に向けてそう…

たけのこ
2年前
23

貯金箱女子(ショートショートnote杯)

 『死の冬』の話かい。それはそれはヒドイ時期だったよ。一発の核爆弾からはじまったあの戦争…

たけのこ
2年前
26

一億円のマッチ(ショートショートnote杯)

「てめぇわかってんのか? お前が火をつけようとしてるそのブツは末端価格で1億はくだらねぇ…

たけのこ
2年前
30

リストラ笛(ショートショートnote杯)

「いやーほんと困ったもんですよ。なにぶん突然のことでしたから」  そう言いながらやたらと…

たけのこ
2年前
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だんだん高くなる鬼(ショートショートnote杯)

 あるところに迷子の少年がいました。少年が困り果てて泣いていたとき、山のように大きい鬼が向こうから歩いてきました。このあたりには悪さをする鬼が住んでいると聞いていたため、すぐに逃げようかと思いましたが、気を取りなおし少年は鬼に問いかけます。 「おおい、鬼さん。村の方向はどちらだか知らないかい?」  すると鬼は大きな声を出して少年を威嚇します。 「俺にかまうんじゃない! 取って食っちまうぞ!」  そんな鬼の様子に慌てて逃げだそうとしたところ、鬼が少年にもう一声かけます。 「右手