バジルトマトメンチ【#夜更けのおつまみ】
「ねぇ、マスターお腹減っちゃった」
アヤカはカウンターに倒れこみながら言った。
ここは住んでいるマンションの1階に半年ほど前に出来たBARだ。カウンターとテーブルをあわせても20席もない小さな店で、マスターが一人で切り盛りしている。夜遅くまでやっていること。料理とお酒が美味しいこと。そして何よりも疲れて家まで帰ってきたら、暖かい料理でお出迎えしてくれることが、独り身には大変ありがたく、嬉しい存在だった。
出来た当初から通いつめ、今では一番の常連といっても過言ではないだろう