僕は、僕の/君の代弁者になりたいのです。(作家/M.B.ゴフスタイン)
作家は
ソファに座って
考えをあたためている、
――M.B.ゴフスタイン『作家』より
僕は、文章を書くのが好き。
大好き。
それだけなら、自分の中だけで完結させればいいんだろうけど、それをしないのは――たくさんの人に読んでもらおうとしているのは、きっと「それだけ」じゃないからだ。
誰かに、自分を認めてもらいたい?
それは、そう。
誰かに、誰かを認めてもらいたい?
それも、そう。
僕は、僕みたいな人が――生きづらさを抱えている人が、僕だけじゃないことを知っている。
だから、僕は書いている。
生きづらさを抱えているのは、あなただけじゃないんだと。だから、あなたはひとりぼっちじゃないんだと。だって、僕も、あなたと同じだから……。
*
僕は、ことばを口に出そうとしても、全然出てこないときがある。喋るのが、下手くそなんだ。でも、それを文字にしようとすると、すらすらと出てくるんだ。変なのって、思うかな。でも、そうなんだ。
理由は、たぶんだけど、わかっている。
僕は、
親しくない人と喋ろうとすると、何度もどもってしまい、
親しい人と喋ろうとすると、ちょっと喋りすぎてしまう。
元々、そういう性格なんだと思う。喋る/喋らないの配分というか、加減というか、とにかく、僕にとって、それらの調整をすることは、とっても難しいことなんだ。
「そんなの簡単だよ」「どうして、そんなこともできないの」なんて、いってくる人もいる。僕はそんなとき、ものすごくもどかしくなる。伝えたいことは、たくさんあるのに。伝えられなかったことも、たくさんあるのに……。
でも、「喋る」じゃなくて、「書く」にしてみると、今までできなかったことが、できるようになったんだ。
「書く」ということは、ゆっくり考えてから、ゆっくりことばを連ねることだから、「喋る」よりも、相手に伝わりやすくなったんだ。(あくまで、僕の場合はね。)それに、そっちの方が、何事もゆっくりになってしまう僕の性に合っているみたい。
だから、文章を書くっていうのは、ただの手段じゃなくて、僕の生き方なんだと思う。
自分の本が
いつか
人々の心に種子となって
蒔かれることを願っている。
――M.B.ゴフスタイン『作家』より
ねえ、
僕は、とっても幸せだよ。
だって、他ならぬあなたに、読んでもらえているんだから。
だから、
僕は、文章を書くのが好き。
大好き。
作家(原題:A Writer)/M.B.ゴフスタイン(翻訳:谷川俊太郎)(1986年)
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