わたしだってドラマみたいな恋がしたかった。#犬も食わない読後
『犬も食わない /尾崎世界観・千早茜』 を読んで
当たり前すぎる感想を述べるが改めて、
いろんな人間関係があるのだなと。
世の中綺麗な恋愛ばかりではないのだなと。
(陳腐なことばで なんの変哲もない感想しか浮かばないのが悲しい)
小説のなかの恋愛というのは、
ものすごいドラマみたいな出来事がなくても
何も起こらない生活のなかのひとつだとしても
なにかしらのエモさ、みたいなものがあって。
大したことない恋愛、人間関係のひとつであっても
情緒があって
感情が動かされる関係があって。
どんだけつまらない、ありきたりな人間関係だとしても
そいつの感受性によっては(?)
れっきとした物語のひとつになるのだろう。
何も起こらない、日常の物語。
ドラマティックでない、小説。
それでも福と大輔にとってはだいじな人生の一部で
忘れることのない出会いで
こころに刻まれた一瞬。
たとえ実のない日々であっても
記憶に残る時間。
それがありありとわかる描写で
なんだか羨ましくなっていた。
(※詳細・あらすじは書かないけど引用だけ載せとく)
物語を読むと、自然と自分の人生とを比較する。
わたしは最近お付き合いしていたひとに振られたらしい女。
数ヵ月ではあったが恋愛というものをしていた。
きちんとした別れも告げないまま、自然消滅のような形を取っている。
短いあいだではあったがそれなりに恋愛し、そして終わった。
人並みにお付き合いというものをやってみたにも関わらず、
わたしは何も物語を形成できていないじゃんって
悲しくなった。
その彼とも、別れたとて
それはそれでいいかとも思うが、
お付き合いしているなかで、物語になるようななにかを起こしたかったし
感情がものすごく揺れるような期間にしたかった。
せっかく恋愛したのだから
深い人間関係の形成ができそうだったのだから
小説のひとつやふたつ、書いてみたかった。
もちろん楽しかった。すきだった。
彼との出会いと、付き合ってからの日々。
だけどもっと、想像を超えてくるような
今まで実感しなかった感情を抱いてみたかった。
もう少し、お付き合いができていたら
環境の変化も楽しめたら、
よかったのになって。
彼との別れが悲しいのは、そこなのかもしれない。
いままで知らなかった感情を得られなかったことに、もったいなさを感じているのかもしれない。
最悪の出会いであっても
楽しい日々ばかりでなくても
負の感情で終わってしまったとしても
無駄な時間を過ごしてしまったとしても
それを超えて、理屈でなくて
どうしようもない独占欲と執着で離れられなくて。
そんなクソみたいな関係も
何も起きなかったわたしにとってはうらやましい。
幸せな結末ではないかもしれない。
けれど、それだけ感情が動かされた出会いというのが
尊くみえる。
わたしはもう彼とはきっと関係を修復できない。
このままきっと、自然消滅。
もう少し、深い関係になってみたかったな。
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