記事一覧

ヤマシタトモコ

祖父が亡くなったのは小学校の3年生の頃とかだったと思う、わたしは、小学校低学年のころに親戚が立て続けになくなっていて、たぶん、ほかの「子ども」より、死が近かった…

mii
3年前
1

かみ合わないパズルの2人

俺たち、付き合ってるようなもんじゃん、と言われた。だから付き合わなくてもよくない? 別に付き合わなくてもいいけどさ、付き合っている二人がしていることをしていても…

mii
5年前
2

something,new!

4年間通った大学を卒業した。私にとっての大学4年間は、ほんとうに、ほんとうに、人生の中で最も影響を与えた4年間になるんじゃないか、というくらい、私自身が色んな変化…

mii
5年前
2

旅と現実

自分の価値とか、そのままの自分でいいんだ、みたいなものを全然信じることが出来なくて、だから誰かの特別な人になることとか、何かとしての役割みたいなものを求められる…

mii
5年前
7

忘れる

昨日受けた大学の授業は、ストレスと健康についての話だった。 その先生は、カイロプラクティック院を開いている先生で、すごく元気でテンションが適度に高く、私よりよっ…

mii
5年前
2

京都の男

久しぶりにFacebookに現れた彼の写真をみて、 ああ、もう一度寝たらきっと、 もう戻れなくなってしまう と思った。 「ねえ、今何してるの?暇?」 LINEを送ったのは土壇場…

mii
5年前
3

without

減るもんじゃないし、は嘘だ。ゴリゴリに自尊心が削られる。 という趣旨の一文から始まる小説を読んで、ああだから自分を大事にしなさいと言われるのだ、と腑に落ちた。操…

mii
5年前
6

2019の抱負

おみくじを引いたら、一人では成功しないから周りを頼れと書いてあった。 わたしは、なんだよ今年は失敗しそうなことが多いのかなあ、と戦々恐々としたけれど、周りを頼っ…

mii
5年前
2

武装と服

紅白歌合戦で、米津玄師をまだかなーと思いながらずっと待っていた。 徳島から中継で登場した米津は、歌っている間ほとんどずっと目を閉じていて緊張しているのかなと思っ…

mii
5年前
2

美しい言葉だけ食べて生きていきたい

美しい言葉を食べる、というと連想するのは赤い薔薇を食べる女の姿だ。 赤い薔薇を食べる女の姿に持つイメージは、背徳感と豪奢、その女がどう豪奢であっても自分には関係…

mii
6年前
2

香水が欲しい

 二年ぐらい前から、香水が欲しいなとぼんやり思っていた。だけど、それよりも強い気持ちで選べないなとも思っていた。香水をつけている友人と会うと、後からその人を思い…

mii
6年前
7

秘密と女

秘密を纏った女は美しいとはよく言うけれど、それは秘密を共有された人にしか言えない台詞だ。その一方で秘密は誰にも漏らしてはいけないよと幼い頃から言い聞かされている…

mii
6年前
5

それ酔ってないときに言ってもらっていいですか

「なんで誘われたのかって思ってる?」 新宿の奥の、迷路みたいな路地を颯爽と抜けたどり着いた居酒屋で、砂肝を噛みながら先輩はそう言った。 「いやぁまあ、二人なんだとは…

mii
6年前
7

サングリア

「ただいまぁ」 とっ、ととと、と不規則な足音とともにどさっとビニールが机の上に置かれた音がした。 ごりごりに凝った肩を回しながら数時間ぶりにパソコンから離れる。 「お…

mii
6年前
11

unknown emotion

絶賛卒論に追われる大学4年の夏休み。 自分の発見を一般論に落とし込まなくてはいけないという難題に私は頭を抱えていた。 そもそも自分のなかに「これが普通の/一般的な考…

mii
6年前
10

パターンC

それをヤリ捨てだと言われたらそれまでなんですけど、でもキスってこういう風にするもんなんだ、って思ったんですよね。 照れているのか、いつもより早いペースでハイボー…

mii
6年前
4

ヤマシタトモコ

祖父が亡くなったのは小学校の3年生の頃とかだったと思う、わたしは、小学校低学年のころに親戚が立て続けになくなっていて、たぶん、ほかの「子ども」より、死が近かった。

今でもたまに、思い出す。
母方の親戚には子どもが私以外いなかったから、死後の手続きが終わるまで、わたしの相手をするひとはいなかった   
みんなすごく忙しそうで 子どものわたしは、子どもであることで足手まといになっているような気がし

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かみ合わないパズルの2人

俺たち、付き合ってるようなもんじゃん、と言われた。だから付き合わなくてもよくない?
別に付き合わなくてもいいけどさ、付き合っている二人がしていることをしていても、付き合っている二人のようにお互いを思いあってはなくない?と思う。

私のこと好き?って聞いたら、LOVE寄りのLIKEって言われた。めっちゃわかる、わたしもあなたのこと好きだけど、恋人じゃない。

人を縛れるのは魅力でだけ、ってあなたは言

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something,new!

4年間通った大学を卒業した。私にとっての大学4年間は、ほんとうに、ほんとうに、人生の中で最も影響を与えた4年間になるんじゃないか、というくらい、私自身が色んな変化をして、色んなことをして、月並みだけど、かけがえのない時間だったと思う。
社会人デビューを明日に控えて、そわそわして落ち着かないから、なにか学生時代を振り返る記事を書こうと思ったんだけど、ぜんぜんまとまらないな。

たぶん、4年間で一番変

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旅と現実

自分の価値とか、そのままの自分でいいんだ、みたいなものを全然信じることが出来なくて、だから誰かの特別な人になることとか、何かとしての役割みたいなものを求められるのが苦手だった。だって、私にはなにもないのに。

だから旅に出るのが好きだった。旅も睡眠も本質的には変わらない。現実逃避。
私が意味も価値も持たなくても、許されるのは、アウトサイダーであるときだけだと思った。
深くは干渉しないから。
あなた

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忘れる

昨日受けた大学の授業は、ストレスと健康についての話だった。
その先生は、カイロプラクティック院を開いている先生で、すごく元気でテンションが適度に高く、私よりよっぽど若くて元気な感じがする人だった。

「悩んでも解決しないことは、忘れることです」
その先生は、ストレスとの向き合い方について、そんな風にいった。
私は、それをきいて、マジか、と思った。
(解決できないことって、忘れていいんだ...)

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京都の男

久しぶりにFacebookに現れた彼の写真をみて、
ああ、もう一度寝たらきっと、
もう戻れなくなってしまう
と思った。

「ねえ、今何してるの?暇?」
LINEを送ったのは土壇場だった。もう私は京都にいて、かつて待ち合わせをしたバーにいた。
「おー久しぶり、家でビール飲んでるよ」
ほどなくして帰ってきた返事は、まあそうだろうなと予想の範囲内だった。ええいもういいや、と電話をしたのは送信されてから一

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without

減るもんじゃないし、は嘘だ。ゴリゴリに自尊心が削られる。
という趣旨の一文から始まる小説を読んで、ああだから自分を大事にしなさいと言われるのだ、と腑に落ちた。操を守るとかそういうことだけじゃなくて、あれは「大事な人として扱ってもらえない自分」という烙印を押されてしまうから、だから自分で自分を大事にしてあげるしかないのだ。

「私のこと、大事にしないで。少しでも優しくする素振りを見せたらすぐ切るから

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2019の抱負

おみくじを引いたら、一人では成功しないから周りを頼れと書いてあった。
わたしは、なんだよ今年は失敗しそうなことが多いのかなあ、と戦々恐々としたけれど、周りを頼ったら成功するってことなんじゃないか?っていうかそう書いてある。

わたしは、弱いから、人に困ってる自分を見せられなくて、結局首を締めている。いままさにそれだ。苦しい。

神様、やりよるな。
ちゃんとわたしのこと見てくれてるんだな。
今年中に

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武装と服

紅白歌合戦で、米津玄師をまだかなーと思いながらずっと待っていた。

徳島から中継で登場した米津は、歌っている間ほとんどずっと目を閉じていて緊張しているのかなと思っていた。わたしは、米津のことは好きだけど、米津のことを知っているわけではないから、実際のところどう思っているのかはよくわからない。

着ていた服は、スタッズがついたロングジャケットだった。それを見て、急に思い出したのは、LIFEという、ま

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美しい言葉だけ食べて生きていきたい

美しい言葉を食べる、というと連想するのは赤い薔薇を食べる女の姿だ。
赤い薔薇を食べる女の姿に持つイメージは、背徳感と豪奢、その女がどう豪奢であっても自分には関係ないのに、なぜか苛立つ(これは自分が食用にするほど薔薇になれていないせいかもしれない、要するに嫉妬)

美しい言葉を使った本で思い浮かぶのは、余白をたっぷりデザインされた詩集と、モノクロ写真でインテリな表情を浮かべた文豪たち。(しかし、しか

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香水が欲しい

 二年ぐらい前から、香水が欲しいなとぼんやり思っていた。だけど、それよりも強い気持ちで選べないなとも思っていた。香水をつけている友人と会うと、後からその人を思い出すときに香水の匂いもセットで浮かんできて、香水がパーソナリティと同じくらい、個人の輪郭を強く描く、と感じていたからだ。
自分のことも自分でわかってないのに、「自分らしさ」を演出する香水なんて選べないし、あんなにたくさん種類があるのに、その

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秘密と女

秘密を纏った女は美しいとはよく言うけれど、それは秘密を共有された人にしか言えない台詞だ。その一方で秘密は誰にも漏らしてはいけないよと幼い頃から言い聞かされているのも事実。共有した秘密はまことしやかにささやかれて、あっという間にゴシップになる。
「え、誰から聞いたのそれ」
テーブルの端で彼女が身を固くしたのが分かった。その向かいに座った、若草色のニットの男子が、あ、これしゃべっちゃいけないやつだった

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それ酔ってないときに言ってもらっていいですか

「なんで誘われたのかって思ってる?」
新宿の奥の、迷路みたいな路地を颯爽と抜けたどり着いた居酒屋で、砂肝を噛みながら先輩はそう言った。
「いやぁまあ、二人なんだとは思いましたけど」
「そうでしょう、サシなんだって思うよねぇ」
しかもそんなに仲良いわけでもないしね、と先輩は目をそらしながら左側だけ口角をあげた。
同じサークルの先輩。次の春には卒業する、2つ年上の先輩。
「だけど他に思い付かなかったの

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サングリア

「ただいまぁ」
とっ、ととと、と不規則な足音とともにどさっとビニールが机の上に置かれた音がした。
ごりごりに凝った肩を回しながら数時間ぶりにパソコンから離れる。
「おかえり、なんか作るの?」
同居人は気まぐれに料理を作る。朝はコーヒーとバナナやビスケットをかじるだけ、夜は外で食べたり食べなかったりと適当な食生活をしている反動なのか、思い出したようにキッチンへ立つ。
「うん、久しぶりにサングリアを作

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unknown emotion

絶賛卒論に追われる大学4年の夏休み。
自分の発見を一般論に落とし込まなくてはいけないという難題に私は頭を抱えていた。
そもそも自分のなかに「これが普通の/一般的な考え方である」が軸として存在していないから、どんなに頑張っても自分の言っていることが正しいと思えない。だれかが本や論文で主張していることはこのプロセスを踏んでいるはずだから、たぶん正しいのだろうと思う。
そもそも、世の中の意見なんて基本的

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パターンC

パターンC

それをヤリ捨てだと言われたらそれまでなんですけど、でもキスってこういう風にするもんなんだ、って思ったんですよね。
照れているのか、いつもより早いペースでハイボールを呷りながら彼女は笑った。

今までワンチャン狙いの人としかヤったことなくて、まあ今回もその続きがあるのかっていったら全然ないんですけど、LINEもしてないし会ってもないし、あっちから声がかかることもない。そもそも「彼女には申し訳ないんだ

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