【産前予習】ジーナ式の感想とスタンス
噂のジーナ式との出会い
去年の夏頃に子どもを産んだ友人から「ジーナ式めっちゃいいよ。子どもが夜通し寝てくれるよ」と勧められた。
勧められたので、とりあえず買ってみた。噂のジーナ式。
ジーナ・フォード(高木千津子訳)『ジーナ式カリスマ・ナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座 改訂版』朝日新聞出版社、2020年
読んだ感想
読み始めてからほどなくして「なんじゃこの読みづらい本は」と思った。
同時に友人がこの本を読了して本当に実践していることに正直驚いた。まじか?
カリスマ・ナニーなるジーナさんの圧がすごいし、ガチガチにルール縛りが多く、結局本質がどこにあるのか極めて読み取りにくい。
同書の内容
そもそも「子どもが夜通し寝てくれるメソッド」と聞いていたのに、いきなり第1章「出産前に準備することは?」では出産準備グッズについてあれこれ指定してくる。完全遮光にしろなどの睡眠環境だけにとどまらず、授乳グッズや新生児ウェアの種類と枚数、おくるみの巻き方にまで言及があり、右も左も分からない初産婦は「え、なんで?」とただただ戸惑う。
しかもジーナさん、世界中でナニーしてたらしいけど本の中ではロンドン想定だし、どこまで真面目に耳を傾ければいいのかな・・・?都市部のマンション住まいでベビーベッドなんて置けへんがな。たまごクラブの育児グッズいる・いらないだけでもお腹いっぱいなのに・・・と不安でいっぱいの初産婦の不安をさらに煽ってくる。
続く第2章「なぜ赤ちゃんにスケジュールが必要なの?」でようやく本書の目的のようなものが論じられているのかと思えば、そういうわけでもない。
「ジーナ式」の趣旨や本質が明確に示されていないのに、「ジーナ式スケジュール」が他とどう違うのかという話がはじまる。我慢して読み進めても、「ジーナ式スケジュール」が開示される前に「ジーナ式以外のスケジュール」が述べられており、戸惑いは増すばかりだ。そしてこの章のラストを飾るのは「ジーナ式スケジュールに関するQ&A」だ。
いやいやいや。待って待って。
だからジーナ式スケジュールってなんなん、と私はイライラし始める。
しかし忍耐強く第3章「授乳について」のページを捲っていくと、ようやく読むべき情報に触れることができた。情報があっちこっちに散乱しているので、相変わらず読み取りはなかなかしんどいものの、ここにきて授乳と睡眠の関係というジーナ式のポイントと思しき記述に出会えた。
だが第4章「睡眠について」を読んだところで、まともに前から読み進めるのをやめた。
この本、マジで厄介だ。
この本は・・・・片手に理解できるタイプじゃない・・・ちょっと腰を据えた勉強モードで読まないと私の理解力では理解できん・・・・
かつて院生だった頃、わずか3ページで入眠可能な読みづらい政治思想や社会思想の古典を読んでいた昔を思い出した。J.S.ミルとかルソーとかマックス・ヴェーバーとか・・・。
それから私の思考はさらに飛び、何が言いたいのかよくわからん聖書を読み解き正しき解釈を追求する神学という学問を連想した・・・
それくらいやばい本だ・・・
それでもこの本に喰らいつく理由
さて。
それだけやばい本なのに、「私にはいらんな」となっていないのは、私の産後の不安は「寝れないのはマジでやばい」という点にあるからだ。
もう少し付け加えると、私の懸念はこうだ。
1年半前に自律神経失調症とうつ状態を診断された当時の私は、夜間に全然眠れなくなってどんどん悪循環に陥っていた。
睡眠不足がさらなるメンタルと体調の不調を引き起こし、心身の不調がよくない現実を引き寄せ(夫にあたり、夫婦仲を拗らせるなど)、そうしたよくない現実によってますます私のストレスはふくらみ、さらに不眠が助長され、完全に負のスパイラルから抜け出せなくなっていた。
HSPというほどではないけど、どちらかといえばHSP寄りの性格でメンタルが変動しやすい自分の特性を考えると、産後のホルモンバランスの変化並びに生活環境の変化により、私の心はいとも簡単に薄いガラスのようになるだろう。
その結果、慣れない育児を楽しむ余裕は消え、ストレスと疲労が溜まり、夫に突っかかりやすくなり、夫と衝突が増え、私のストレスは加速度的に増大するだろう。そうなれば、産後うつ手前あるいは本気の産後うつになるリスクは極めて高くなる。
自分が産後うつになれば、一番大事なはずの我が子に与えたいだけの愛情をもって接することは難しくなり、そのことにまた私は自己嫌悪に陥るだろう。
ママたる私がイライラぴりぴりするので、赤ちゃんにもそれが伝染し、夫にもそれが伝染し、家族が増えた幸せは苦しい修行の時にすり替わってしまうだろう・・・・・
翻って、こうした不安が現実のものとならないよう対策する必要がある。
そこで要となるのが産褥期における母体の睡眠・疲労回復だと考えた。
私が食べれてよく眠れてさえいれば、多少のストレスにも耐性を維持することができる。そうすればかわいい我が子を幸せに愛でる心の余裕はきっと生まれる。自分の心身の余裕が家族を好循環に導くだろう。
逆説的ではあるが、ママファーストの生活を構築することが、赤ちゃんファーストの子育てにつながるはずだ・・・
・・・とまあこう考えたわけです。
だからこその「寝れないのはマジでやばい」という不安であり、巷で噂のジーナ式とやらを真面目に勉強しようというモチベーションというわけ。
ただし、どの程度自分の育児にジーナ式を取り入れていくかは思考中。
現時点ですでに確かなのは、なにもかも厳格に実践するのは私には無理!ということ。
24時間細かく時間管理をするジーナ式の実践には夫の理解と協力が絶対に不可欠だ。夫婦で同じ方向を向かなきゃとてもできる代物ではない。さらに、出勤時間が日によってバラバラな夫のライフスタイルや今ある住環境とある程度折り合いをつける必要もある。また、予防接種や帰省などイベント時には臨機応変な対応も必要となろう。
だからこそ。
我が家でどのような形でどの程度取り入れることができるかを検証したいと私は考えており、それゆえゆとりのある産前の今のうちに腰を据えて同書を読み解き勉強しているのである。
つまり私はジーナ式を100%信奉しているわけでは決してない。うまくやっていいとこ取りしようというスタンスだともいえる。
それで結局ジーナ式ってなんなの?
すでに長文になってきたので簡潔にいきたい。
「ジーナ式とは、赤ちゃんが夜通し眠り日中はニコニコご機嫌で過ごすことを目的として、授乳と睡眠のスケジュールを管理・調整するメソッドである」と定義づけられるかと思う。
もちろん同書にはこんなはっきりと定義はなされていない。これは私が読み取って導き出したものである。
同書の帯には「なかなか寝てくれない赤ちゃんがぐっすり眠る究極のメソッド」とあるけれど、その本質はねんねトレーニングとは似て非なるものである。
同書にも書いてあったかどうかは覚えてないが、赤ちゃんの感情は快と不快の2種類しかない。快ならニコニコご機嫌かぐっすりねんねで不快なら泣く。
こうした赤ちゃんの特性を踏まえれば、同書のメソッドは赤ちゃんの二大不快要素「お腹すいた」と「眠い」に先手を打つ具体的な方法だと言い換えることもできよう。
ジーナ式はその本の読みにくさゆえに誤解も多く、また方法論に厳格な論調であるが故に読者の側も方法論に固執してしまいがちというデメリットがある。
だが手段が自己目的化してしまうことは本末転倒である。
「何のために?」を明確にし、目的の部分を常に忘れないようにしなければ、これ真面目にやると逆にメンタルやられるなと思った。
言い換えればジーナ式を行う目的を自分のなかで明確にしておき、且つジーナ式が提示する細々とした各論に通底する本質は何かをきちんと見極めることが重要だと今感じている。
目的と本質を見誤らなければ、実際の局面でも応用をきかせることができるはずだ。
予告
次回、気が向いた時に「趣味勉強、特技勉強」のカリスマ講師X(笑)である私がジーナ式のポイントを小論文形式で簡潔にまとめてみたいと思います。
ちなみにそれは、読みづらい本をわかりやすく理解したいというニーズがあるからでは?という思いと、私が自分の思考を整理するためという目的です。
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