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【AI時代の経営学】統計学(後編)

「AI時代の新しいMBA」をコンセプトとしてAI全盛の時代に知っておくべき経営学の知識をお伝えする「AI時代の経営学」シリーズ。

初回であった前回の記事では、統計学が「なぜAI時代に必須知識なのか?」ということと、「統計学の基本的な考え方」についてお知らせしました。まだお読みでない方は、まずはこの記事から読んで下さい。


さて、今回は前回に引き続き、AI時代に役立つ統計学の基礎知識をお伝えしていきます。特にAIの仕組みから、統計学との関わりを解き明かしていきますので、最後までお付き合い下さい。

今回は、こんな方におすすめの記事になっています。

・経営者・起業家としてAI時代にも対応できる実力をつけておきたい。
・起業の前準備としてAI時代に必要な経営の知識を学んでおきたい。
・統計学を学ぼうと何冊か買ってみたけれど、いつも結局身につかずに終わる…

早速やっていきましょう!



AIはどうやって動いているのか?

まずはAIの基本的な仕組みについて理解していきましょう。
ここでは一旦、統計学から離れてAIの話になっていきますが、最後にはちゃんと統計学のお話に戻るので、我慢して読んで下さい(笑)

AIは基本的に人間の脳を再現するように設計されています。

人間の脳は、五感で得られた情報を脳で処理して過去の記憶、経験などと照らし合わせながら、目の前のことを判断をするという方法で動いていると考えられています。したがって、AIも人間でいう「五感の役割を果たすセンサーなどから得た情報」を元に、機械にとっての記憶である「膨大なデータ」を参照しながら、アルゴリズムに基づいて判断を下すという方法を取っています(以下の図参照)。


さて、AIはこうした仕組みで動いている訳ですが、人間と同様にその能力を高めるためには「学習」することが必要になります。つまり「どのような情報を、どのように判断するべきか」ということをまずはAIが理解する必要がある訳です。

このAIの「学習」としては「機械学習」や「ディープラーニング」と呼ばれる手法が主流です。これは、過去の膨大なデータをAIに読み込ませることで、高い精度で判断や推測ができるようなアルゴリズムを作り出す作業になります。

「ディープラーニング」は人間の脳に模したニューラルネットワークというアルゴリズムを用いて、データを与えながら、AIに自動的にデータが持つ特徴の学習を進めてもらう仕組みです。

例えば「ディープラーニング」では繰り返し膨大なデータでトレーニングをさせることにより、特定のタスクの処理精度が格段に高まるという特徴があります。一例としてあげるとすれば上の図でも書いた通り、スイカの画像を大量にAIに読み込ませ、その特徴を学習させた上で、スイカの画像を他の食べ物の画像と区別できるように「学習」させていくというイメージです。

ChatGPTや自動運転技術など、近年、目覚ましい成果をあげているAIはすべてこの「ディープラーニング」の手法が用いられています。つまり、これからのAIを理解するためには「ディープラーニング」を理解することが不可欠であるということです。

そこで、次の章では「ディープラーニング」という手法について説明していきます。

《用語解説》
アルゴリズム
問題を解決するための手順や計算の方法のことを指します。簡単に言えば何かの目的を達成するための「やり方」のことです。

例えば、カレーを作る際の野菜の切り方・具材を入れる順番と煮込む時間・具材の盛り付け方といったカレーを作るための作り方が必要になりますよね。この「作り方」が簡単に言えばアルゴリズムです。

AIやコンピュータの世界では、最も早く正確に処理が完了するためのプロセスのことを指しています。あくまで目的を達成するための最適な「やり方」のことであると理解しておけば大丈夫です。


ディープラーニングが動く仕組み

さて「ディープラーニング」の仕組みについて見ていきましょう。ディープラーニングは、ニューラルネットワークという構造を複数層に重ねて用いることで、高い精度を実現するものです。

ニューラルネットワークはコンピュータ上で人間の脳の働きを再現したものです。人間の脳は大量の神経細胞(ニューロン)があり、このニューロンとニューロンの間で電気信号の伝達をすることで情報の処理が行われています。

先程の図がまさにディープラーニングをイメージする際には、参考になりますので再掲しますね。

ニューラルネットワークではこの仕組みを再現するために、入力層・中間層・出力層と3つの層に分けて、情報の伝達を行っています。ここで人間の脳でいうところのニューロンの役割を果たしているのは、ノードと呼ばれるものです。図で言うと、ひし形の部分がノードです。

このように複数の層と、相互接続する複数のノードを用いることで、複雑な判断や構造の理解を高いレベルで実現することに、特徴がある訳です。

ここでいう「ディープ」という言葉はこの複数の層がある(=深い)という意味で用いられています。つまりディープラーニングではニューラルネットワークの層を重ねてより複雑な問題も処理できるようにした仕組みです。


統計学とAIの関係性

さて、お疲れ様です。やっと統計学に戻ってきました(笑)
最後にディープラーニングと統計学の関係についてお伝えしていきます。

結論から言えば、統計学はディープラーニング、ひいては機械学習の土台となる考え方を提供しています。

機械学習は、データの特徴を法則化し、法則を自動化するという2つの要素によって構成されているということはすでに述べました。

また前回の記事で、統計学の目的は「あるデータを要約して分かりやすくする or データから予測を引き出す」ことであるということもお伝えしました。

機械学習はあくまで、データからモデル(アルゴリズム)を構築し、予測の精度を高めていくということが目的です。したがって、機械学習やディープラーニングと統計学は別物です。

ただし、データを元に何らかの操作を加えるという面では共通している部分が非常に多い訳です。だからAIや機械学習には統計学の考え方が非常に多く取り入れられています。

そのため、機械学習の仕組みを理解していく上では統計学の理解が不可欠だと言える訳です。逆に言えば、統計学の知識がなければ「AIにできること」を理解できないということでもあります。

具体的には以下のような統計学の知識がAIと関連しています。

例えば、機械学習においてデータの前処理段階で使う考え方である「正規分布」や、データセットに対する推定の際に使う「ベイズ推定」、ニューラルネットワークにおけるニューロンの発火の閾値に使用される「重回帰分析」などが代表的です。

これ以外にもAIの仕組みには多くの統計学の知識が取り入れられており、深く理解しようとすれば、必ず統計学の知識が必要になってくる訳です。


【結論】 なぜAI時代の経営者に統計学が必要なのか? 

さて、ここまでお読み頂いた方、お疲れ様でした。
頭、かなり疲れたのではないでしょうか?

私も文系なので、書いていてだいぶ疲れました。笑

でも、前回の記事から書いてきたようにAI時代の経営者にとって統計学の知識はやはり必要不可欠なものです。

改めてまとめるとその理由は以下の2点です。

①経営分析
AIの普及により、統計学を理解してAIに指示を出せば、経営者でも簡単に自分が持つ経営データの統計解析ができるようになってきた。

②AIを使いこなす
AIの仕組み自体に統計学が使われており、AIに「何ができて何ができないのか」ということを理解し使いこなすためには、統計学の知識が必要となる。

AI時代に生きていく経営者や起業家はぜひ統計学を学んでおくべき理由が、より明確に分かっていただけたのではないかと思います。

さて、今回の記事では「AI時代の経営学」シリーズの第一回として統計学を取り上げ、統計学がどのような学問なのか、なぜ今後、統計学を学んでおくべきことが重要なのか、ということをAIの仕組みなどを交えてお伝えしてきました。

さて今回の前後編の記事を読んだ読者からは…

統計学自体は全然解説してないじゃないか!

というお声が飛んできそうです(笑)

あくまで、今回は入門の入門編として、「統計学の全体像の把握」「AIと統計学の関係性」に焦点を当てて、記事を構成しました。なので、統計学自体を理解する入門編は別の記事でまた詳しく説明させて頂ければと思います。

もしも、前回と今回の記事の内容が好評だった場合には、さらに「AI時代の経営者・起業家が学ぶべき内容」に絞って統計学自体を深掘りして学べる記事シリーズをリリースしようと考えております。

「統計学シリーズ」をご希望の方は、ぜひイイネ・コメント・フォローよろしくお願いします!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた次回の記事で。



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