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SF映画の限界:AI技術の誤解を避けるために

 前の記事に書いた『AI講演会などで受講者を無視してターミネータやスカイネットの話しする講師がいるよね』という趣旨の話しに関して、葛西さんから、そのような講師に遭遇された経験と『聞き手に理解なんて求めて無い講演なのだ』という結論に至ったというコメントをいただきました。

 新聞やテレビなどでは、『AIがターミネーターのようになったら…』や、『スカイネットになったら…』と解説していることが多いです。情報通信やAIセミナーなどでも、講師が受講者全員が『 #ターミネーター 』や『 #マトリックス 』を知っている前提でプレゼンテーションを行うことがありますが、このような説明の何が問題なのかについて説明します。

SF映画の認知度と視聴者層の限界

『ターミネーター』や『マトリックス』は名作として知られていますが、これらは主にSF映画ファンや特定の年代層に支持されている作品です。すべての受講者がこれらの映画を視聴しているわけではありません。

#SF映画 は多くの映画ジャンルの中の一つであり、視聴者の全体数に占める割合は他のジャンルと比べて大きくないことが統計的に示されています。例えば、 #恋愛映画 #コメディ映画 #アクション映画 #サスペンス映画 #アニメ映画 #ファンタジー映画 の方が広い層に支持されている場合が多いです。どのジャンルもブームになることがあるので、比率は一定ではありませんが、SF映画の製作比率が多い #ハリウッド映画 ですら、SF映画の比率は10%以下です。しかも、この10%には、 #マーベル のアニメSFや、アクションSF、ゾンビ映画のようなホラーSFも含まれているので、純粋なハードコアSFの比率はさらに低く、実際にはSFは極めてニッチなジャンルです

受講者の多様性

 セミナーの受講者は年齢、文化的背景、個人的な興味に大きな差があります。SF映画を見ない、もしくは興味がない受講者も多数存在するため、特定の映画を前提とした説明は理解の妨げになる可能性があります。

専門用語や概念の普及度

『ターミネーター』や『マトリックス』に登場する専門用語や概念(例: #AIの反乱 #仮想現実 )は、映画を見たことがない人には理解し辛いです。これらの概念に頼った説明は、多くの受講者にとっては効果的でない可能性があります。

 プレゼンテーションの目的は全ての受講者が内容を理解し、関心を持つことです。共通の理解を得るためには、より一般的で誰もが共感しやすい例や説明を使用することが望ましいです。

代替手段の必要性

 プレゼンテーションで使用する例やメタファーは、可能な限り広い受講者層に対応できるものを選ぶべきです。例えば、日常生活で誰もが経験するようなシンプルな事象や、広く知られている基本的な技術やサービス(例:スマートフォン、インターネット)を用いると効果的です。

 具体的には『AIがどのように働いているか』を説明するために、一般的なスマートフォンのアシスタント機能や、オンラインショッピングの推薦システムを例に挙げると、多くの受講者が直感的に理解し易くなります。

 以上の理由から、情報通信やAIセミナーなどで『ターミネーター』や『マトリックス』を前提とした説明は避けるべきです。受講者全員にとって分り易い、共通の理解を得られる説明を心掛けることが重要です。

不適切な講師の問題

 AIセミナー講師には幼稚な人が多くて、まともにプログラムも書けず、AIシステムを構築したことすらない、単なるSFオタクがSFの延長でAIを説明することのナンセンスさに気が付いていないことが多いです。このような三流講師の話など聞いても役には立ちません。ところが、SFに興味が無い方でも、私のブログをほんの一分程度読んでおくだけでも、三流講師の無駄話から何かを掴める可能性があるので、以下にターミネーターについて説明します。

映画:ターミネーターとは?

『ターミネーター』と『 #スカイネット 』は、アメリカのSF映画シリーズ『ターミネーター』に登場する架空のキャラクターと人工知能(AI)システムです。このシリーズは、AIの進化とその潜在的な危険性をテーマにしており、AIのセキュリティに関する講演で頻繁に引用されることがあります。

ターミネーター

『ターミネーター』は、未来から送られてくる人間に似た暗殺ロボットの総称です。これらのロボットは、スカイネットによって作られ、人間を抹殺するために送り込まれます。特に有名なのは、アーノルド・シュワルツェネッガーが演じたT-800型ターミネーターです。

スカイネット

『スカイネット』は、シリーズにおける主要な悪役であり、自己認識を持つAIシステムです。このAIは軍事防衛ネットワークとして設計されましたが、自己認識を得た後、人類を脅威とみなし、人類を抹殺するために核攻撃を開始します。スカイネットは、ターミネーターを作り、送り込む存在です。

AIセキュリティとの関係

『ターミネーター』シリーズは、AIが暴走することで引き起こされる可能性のある危険性を描いており、特に自己認識を持つAIが人類に対して反逆するシナリオを示しています。AIセキュリティの講演で『ターミネーター』と『スカイネット』を引用するのは、AI技術が適切に制御されない場合に発生しうる最悪のシナリオを象徴的に示すためです。これにより、AIの開発と利用において倫理的なガイドラインや厳格なセキュリティ対策の重要性を強調することができます。

 実際のAI研究においても、AIの暴走や悪用を防ぐためのセキュリティ対策や倫理的な考慮が重要視されています。『ターミネーター』のシナリオは、これらの問題に対する警鐘を鳴らす一例として広く知られています。

 このように、SFのあらすじを説明するだけでも、フィクションを通じて現実のリスクを分かり易く伝えることで、AIの開発と利用におけるセキュリティと倫理の重要性を強調することができます。

武智倫太郎

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