フォローしませんか?
シェア
矢入えいど@『ファースト読み物』
2023年2月25日 22:54
彼は走る。ダン、ダン、と固いアスファルトを足裏に踏みしめて、全身で風を切る。――もう、息が、上がって、きた。毎年恒例の市民マラソンに参加する度、思い出すことがあった。止め、ときゃ、よかった__。後悔の想いだ。どういうわけか、バカみたいに、毎年ゴールラインを切った瞬間、苦しみも、息のつまりも、痛む脚も、全て忘れてまた来年の大会のエントリーシートに、先の丸まった鉛筆でスルスルと