アフマド・ザイール

会社員生活を送りつつ世界の料理を研究しています(中国・インド・中東・中南米が多め)。「…

アフマド・ザイール

会社員生活を送りつつ世界の料理を研究しています(中国・インド・中東・中南米が多め)。「地球のどこかで当たり前に食べられているもの」を知り尽くし、あわよくば日本の日常生活に取り入れたい。毎日の食事をよりハッピーに、料理をより楽しく。

最近の記事

スープ・ドゥ・サラザン(フランスのそば湯スープ)

十割そばを茹でたらかなりうまいそば湯ができてしまった。前まではもったいないと思いながら捨てていたが、「フランスってそば粉料理食べるし、スープに活かせるんじゃね?」と思って調べたらあった。そば湯スープ。 スープ・ドゥ・サラザンとは そば粉料理のガレットなどで有名な、フランスのブルターニュ地方にスープ・ドゥ・サラザン(Soupe de sarassin)という料理があるらしい。これがどのぐらいメジャーな料理なのかは分からないが、とにかく私はそば湯が使えればなんでもよかったのであ

    • アヒアコ(コロンビアのじゃがいもとチキンのスープ)の構造

      最近聴いている音楽がもっぱら中南米の音楽で、特にブラジルとコロンビアに非常に偏っている。ブラジルに関してはこのnoteでもフェイジョアーダやモーリョ・ヴィナグレッチなどブラジル料理を紹介してきたが、よく考えるとコロンビアに関して料理面を何も知らないことに気づいた。 最近お気に入りのコロンビアのグループが新譜を出したこともあり、コロンビア料理についてひとつ調べてみるかと思い、コロンビア特有らしき料理として「アヒアコ」が出てきたので調査することにした。 コロンビア料理に関して

      • 中南米系スーパーはどこにあるのか

        前回「フェイジョアーダ」についての記事を書いたとき、「フェイジョアーダを本気で作ろうと思うと中南米系スーパーに行くしかない」という結論に至った。 そこで中南米系スーパーを調べてみたところ、けっこう日本各地にあったのでまとめてみることにした。 中南米系スーパーをどうやって探すか最初はなんとなく思い付きで「(県名) ブラジル スーパー」などで検索していたのだが、47県これをやるのは面倒である。そこである程度アタリをつけるために日本におけるブラジル人の分布を調べてみることに。下記

        • フェイジョアーダ(ブラジルの肉と豆の煮込み)の構造

          フェイジョアーダというブラジルの料理がある。肉と豆を煮込んだもので、現地では国民食といって良いほどポピュラーだ。シンプルながらパンチのある料理で、タンパク質も豊富でたまに食べたくなる味である。 日本ではどこで食べられるか ブラジルでは前述のようにきわめて一般的だが、日本で食べられるところはそこまで多くない。そもそもブラジル料理屋が存在しているのが特定の地域に偏っており、大都市圏かまたは自動車産業が盛んなところに限られている印象がある。 しかも「ブラジル料理屋」の多くは「バ

        スープ・ドゥ・サラザン(フランスのそば湯スープ)

          クール・ブイヨン・イズ・クール

          フランス料理を勉強する過程で『パリっ子の食卓 フランスのふつうの家庭料理のレシピノート』を現在読んでいるのだが、その中で登場頻度が高いのが「クール・ブイヨン」という野菜出汁(ブイヨン)である。これで魚を煮たりすると美味しいらしいので、まずこの出汁の取り方について改めて調べてみることにした。 参考書籍について現在フランス料理を勉強中なのだが、フランス料理の中でも、特にフランス家庭料理について調べたいと考えている。ただ、フランス家庭料理について日本語で書かれた本の中で「これは!

          クール・ブイヨン・イズ・クール

          レバノン式モロヘイヤスープの構造

          以前の記事でムルキーヤ(モロヘイヤスープ)について触れたが、エジプト式しか紹介できなかったので、今回はレバノン式について。 レバノン式はエジプトと大きく違い、スープ自体にまずネバネバ感がない。モロヘイヤの葉っぱも刻むのではなくほぼそのまま使う。また、鶏肉をほぼ必ず使うという点でも違う(エジプト式も使うが必須ではなさそう)。 個人的にはエジプト式のモロヘイヤスープよりも親しみやすい味なのではないかと思う。 料理の流れエジプト式とほぼ同じで、料理は以下3つの要素で構成されてい

          レバノン式モロヘイヤスープの構造

          魚を丁寧に焼くと面白い

          以前モロヘイヤスープを作ったときチキンブイヨンの取り方を調べ、それがきっかけでFrench Cooking Academyというフランス料理のレシピを紹介するYouTubeチャンネルをよく見るようになった。 「フランス料理って作れるんだ!」という、ある意味変な気づきを得てそれ以降フランス料理をちょっとずつ調べている。同じヨーロッパでもイタリア料理とフランス料理だと親近感が違うというか、実は日本人はあまりフランス料理になじみがないのかもしれない。 フランス料理はなじみがない

          魚を丁寧に焼くと面白い

          適当無水ラタトゥイユのレシピ

          今回は何か伝統料理のレシピの構造を探るというよりは適当に作ってみたら美味かったレシピを記録&共有のために紹介するというものである。 なお、noteの最初の記事である「咸肉」も適当さに比してアウトプットの美味さが尋常じゃなかったので紹介したかった、というのもあるので、もともとそういうものを紹介したいという気質があるのかもしれない。 レシピの材料トマト 1個(200gぐらいのサイズ、同量のトマト缶でもよし) ズッキーニ 半分(1本使ってもいいかも) なす 2本(ズッキーニとだい

          適当無水ラタトゥイユのレシピ

          コンソメとブイヨン、StockとBrothの違い

          前回の「モロヘイヤスープ」の記事を書く過程で英語圏のレシピを調べていると、チキンスープを表す言葉として「Stock」が使われていたり「Broth」が使われていたりした。 また、チキンスープを作るにあたってはブイヨンを使用せよと書いており、コンソメでは代用できんのか?などと気になったため調べてみることにした。 コンソメとブイヨンの違い・コンソメはConsommeと書くがこれは「完成された」という意味を持っており、完全体スープ ・ブイヨンがだし汁的存在で、基本的には料理のベー

          コンソメとブイヨン、StockとBrothの違い

          ムルキーヤ(中東のモロヘイヤスープ)の構造

          新鮮なモロヘイヤが手に入った。なかなか手に入りづらいものなので、きちんと調べてモロヘイヤスープを作ってみることにした。 ムルキーヤとはそもそもムルキーヤという名前自体なじみがない、というか私も調べていく中で知った。「モロヘイヤスープ」に名前があるのか?と思って調べるとムルキーヤという名前で呼ばれているらしい。ただ「ムルキーヤ」はそのまま「モロヘイヤ」の意味であるので、名前があってないようなものである。 余談だがモロヘイヤのつづりや呼び名は安定しておらず、英語表記だけでもM

          ムルキーヤ(中東のモロヘイヤスープ)の構造

          老抽とか生抽とか(中国の醤油の種類)

          中国のレシピサイトやレシピ動画を見ていると「老抽」という文字が出てくることがあり、なんとなく「醤油のことね」と思っていた。 だが最近読んだ『料理の意味とその手立て』によると「醤油は料理で使うが、日本で一般的な醤油とは少し異なり、たまり醤油に近いもの」を料理に使っているとのことだった。 今まで普通にこれらをひっくるめて「醤油」と認識していたが、もしかするとこれをちゃんと「老抽(中国のたまり醤油)」で作ってみるとより美味しくなるものがあるのかもしれない。 過去なんとなく作って

          老抽とか生抽とか(中国の醤油の種類)

          鹹豆漿(台湾の豆乳スープ)の構造

          鹹豆漿(シェンドウジャン)という台湾の朝食の定番がある。いうて豆乳を温めたものに塩味&酢味がついているというシンプルなものであり、最近では日本でもこれの専門店などが出たりしている。(東京豆漿生活、台湾豆乳大王など) 専門店で食べるとびっくりするぐらい美味しいのだが、自宅で作ってみると当たり外れが大きい。自宅でもKALDIの鹹豆漿の素を使えばだいぶ美味しいので正直レシピとか面倒なことをやらずにそれでもいいのだが、一度きちんと調べてみたいと思ったので書こうと思う。 料理の構成

          鹹豆漿(台湾の豆乳スープ)の構造

          モーリョ・ヴィナグレッチ(ブラジルの野菜ソース兼サラダ)の構造

          ブラジル料理の一つに「モーリョ・ヴィナグレッチ」というものがある。アルファベットで書くと「Molho Vinagrete」。Molhoがソースの意味でVinagreteがヴィネガー的な意味なので、ヴィネガーソースという意味である。 しかし「モーリョ・ヴィナグレッチ」で画像検索してもらえればわかる通り、ソースというよりむしろこれはサラダである。玉ねぎ・トマト・セロリ・バジルなどをもろもろ細切れにしてヴィネガーと合わせたソースであり、非常に爽やかな味がする。 本来はシュラスコ

          モーリョ・ヴィナグレッチ(ブラジルの野菜ソース兼サラダ)の構造

          咸肉菜飯(塩漬け肉と青菜の炊き込みご飯)の構造

          前回の記事で触れた「咸肉(中国式塩漬け肉)」のレシピとしてもっともポピュラーっぽいのが「咸肉菜飯」である。タイトルのとおり咸肉と青梗菜を炊き込みご飯にしたものだが、咸肉のうまみが青梗菜とご飯に染み込んで大層美味しいと言われている。 料理の構成要素最低限必要なもの ・咸肉 ・青梗菜 ・生米 好みによって入れたり入れなかったりする ・生姜 ※肉の臭みを消す&香りづけのために入れるという。塩漬けにしている段階で十分臭みは消えているように思うのでなくてもいいかなと思った。入れる場

          咸肉菜飯(塩漬け肉と青菜の炊き込みご飯)の構造

          咸肉(中国式塩漬け肉)の構造

          中国料理で使う食材に「咸肉」というものがある。中国式の塩漬けのお肉である。中国料理をいろいろと調べていくとどうやらこれがあるだけでかなり料理のバリエーションが増えるらしい。咸肉と青菜の炊き込みご飯(上海咸肉菜飯)などは大層美味しいという。 しかしこれがなかなか売っていないのである。新大久保や池袋などの中華食材店に行ってみたが売っていないような気がした。単に見落としているだけで、もう1回探したらあるかもしれないが、外出が憚られるこのご時世、わざわざあるかわからないお肉のためだ

          咸肉(中国式塩漬け肉)の構造