見出し画像

スープ・ドゥ・サラザン(フランスのそば湯スープ)

十割そばを茹でたらかなりうまいそば湯ができてしまった。前まではもったいないと思いながら捨てていたが、「フランスってそば粉料理食べるし、スープに活かせるんじゃね?」と思って調べたらあった。そば湯スープ。

スープ・ドゥ・サラザンとは

そば粉料理のガレットなどで有名な、フランスのブルターニュ地方にスープ・ドゥ・サラザン(Soupe de sarassin)という料理があるらしい。これがどのぐらいメジャーな料理なのかは分からないが、とにかく私はそば湯が使えればなんでもよかったのである。

なお、わかりやすさのため「そば湯」と書いているが、現地では別にそばを茹でているわけではない。そば粉をスープに溶かして作る料理である。余談だがイタリアには二八そばに近いピッツォッケリというものがあり、それを茹でるとそば湯が出るのかもしれない。

料理の手順

スープ・ドゥ・サラザンには大まかに分けて2つの作り方がある。

1.野菜やベーコンなど具材を水で煮込んで、後からそば粉を溶かした液体を足す
2.そばの実もしくはそば粉と一緒に具材を煮込み、煮込みながらそばの風味を出していく

それぞれ順に手順を見ていく。

<1.後からそば粉の液体を溶かすパターン>
1.ベーコンや玉ねぎを動物性油脂で炒め、色づける
2.水もしくはチキンスープを加える。水で調理する場合はローリエなどのハーブ類や塩胡椒をこの段階で加えておく
3.20~35分煮込む
4.その間に、冷水にそば粉を溶かしたものを作っておく(冷水なのは、そば粉がダマにならないよう)
5.煮込み終わったらハーブ類を取り除き、そば粉を溶かしたものを入れる。固まらないようよくかき混ぜる
6.もう5~10分ほど煮込む
7.完成。この際にクルトンや炒ったそばの実、鴨の干し肉など固い食感のものや、クリーム類などを足す
<2.そばの実またはそば粉と一緒に煮込むパターン>
1.玉ねぎなど野菜類を炒める
2.そばの実またはそば粉を加える
3.水またはチキンスープを加えて20分ほど煮込む
4.完成。前述のトッピングのほか、すりおろしたチーズを加える場合も

いずれも作り方としては案外簡単である。
スーパーによってはそば粉を売っているところもあるので、日本でも1・2のやり方で十分作ることもできそうだ。そばの実を直接入手するのは難しいが、そば茶の素≒炒ったそばの実なので、そば茶の素をそのまま使っても面白いかもしれない。

ただ、今回は「そば湯がもったいない」を前提としているので、そば湯ありきでアレンジすると以下のような作り方もありえる。

<3.そば湯前提アレンジ>
1.ベーコンおよび玉ねぎを炒めて色づける
2.そば湯を足して20分ほど煮込む。このときチキンブイヨンを足したりローリエ等のハーブと一緒に煮込んでみてもよい
3.塩胡椒で味を調え、完成

実際これで作ってみたところ、元がそば湯であることを忘れるぐらい濃厚で洋風なスープになった。そばのとろみなので健康にもよさそうだし、独特のコクもある。あんまり食べたことがない種類のうま味になる。

なお、使用したのが十割そばのそば湯だったので、元の時点ですでにかなりとろみがついていた。そば湯のとろみ具合によって煮込み時間や味付けなど少し調整してもよいかもしれない。

料理の構成要素

以下、水を1リットル(1000ml)としたときの分量

<基本構成>
玉ねぎ:1~2個 ※みじん切りもしくは半分に切って細めのくし切り
そば粉:50~80g ※パターン1の場合、1.4倍の冷水で溶かす ※水の代わりにそば湯を使う場合はなくてよい
ベーコン:160g程度
チキンブイヨン:使用する製品によって適量 ※長時間煮込むと割と味が濃くなるのと、ブイヨン味が強いのでなくてもいい可能性もある
塩胡椒:チキンブイヨン等を使用する場合はそちらに塩気がある程度あるのでバランスを見ながら調整していくしかない
オリーブオイル:大さじ1程度 (もしくはバター10~20g)

<おまけ要素>
※煮込む際にあってもなくてもいい
ハーブ類:ローリエ、タイム、ナツメグなど
にんにく

<トッピング要素>
※いずれも必須ではなく、乗せる場合はこのぐらいかなという目安であり、好みにより増減してみてよい
そばの実:20g
サワークリーム・マスカルポーネ・クリーム類:50~100ml(個人的には牛乳でもいいんじゃないかなと思う)
チーズ:適量(トッピングの場合はお好みで、スープに溶かす場合は60gぐらい使うレシピもあるがかなり多いように思う)

そばスープに関する余談

ロシアのほうに行くとそばの実は「グレーチカ」という言葉で呼ばれるのだが、このグレーチカを使った料理がめちゃめちゃあるらしい。特にカーシャというそば粥はロシアのほか東欧でもよく食べられているという。

今回このスープについて調べていると、明らかに系統が違うものがsarrasinのsoupeです、と出てくるので疑問に思っていたらそういうことらしい。そのため東欧系のそばを使ったスープについてはまた別の機会に。

参考文献・サイト

スープ・ドゥ・サラザンは調べた限り、日本語では全く情報が出てこなかった。なお、そば=Sarassinの発音はサラザンというよりサハザンに聞こえるが、サラザン表記の方が一般的なようなので本記事もそちらに倣っている。

1.そば粉を後から溶かすパターン

2.そばの実またはそば粉と一緒に煮込むパターン

ロシアのそば事情



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?