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アジト(note版マンガ雑誌)
2020年12月14日 17:39
桜舞い散る4月初旬。俺はS工業の2年になっていた。1年の時はサボりすぎて出席日数がほとんどの教科で足りなかったが、そこはゆるさにかけては一級の工業高校……担任のさじ加減一つで、形だけの追試を受けて無事に進級する事ができたのだ。入学した当初は、高校を卒業したところで意味がない。そう思っていた。大学なんて行くわけも、行けるわけもない。就職も頭にはなかった。このままパチスロで日銭を稼ぎ
2021年5月13日 17:42
カッキンは、次に言う言葉を探しているようだった。何か言いづらいこと…その内容も俺には何となく想像がついた。しかし、それにしても。「アホやアホ。何を万引きなんかやらかして挙句の果てに捕まっとんねん。そんで推薦取り消されたんか。アホやな」俺は思わず毒づいていた。「なるほどな。つまり、野球部の監督に洗いざらい言ってもうたんやな?」坂井がそう言うと、カッキンは頷いた。「そんで、さっきの奴らの
2021年4月27日 18:01
「坂井、上手くて安いとこやぞ。俺ら3人で一万円しかないんやからな」俺はポケットの中に突っ込んである1万円札を確かめるように掴み、坂井と歩いた。後ろからはカッキンがついてくる。「任せとけ。弁天町のことなら隅から隅まで網羅してる地元民やぞ」大通りから角を曲がると、だんだんと人手が増えてきた。仕事帰りのサラリーマンのおっさんや、ネギが飛び出たスーパーの袋をチャリの前カゴに乗せたどっかのオカン
2021年1月10日 17:41
001話は…コチラ俺は少しだけ早足になり、ホームを歩く人を避けながら目的の男に近づいていった。近づくにつれ、男の身長は俺より少しだけ小さく、ツンツンに立てて伸びかけの髪が茶色く染まっていることがわかった。「おい!!」声をかけると男の肩がビクッと震えた。ゆっくりと俺の方へ振り返る。「ほら、やっぱりそうや、お前カッキンやろ!」「そ、そうやけど…」カッキンは俺の姿を上から下までサッ
2021年1月25日 21:32
■第1話から読む→コチラ■前回のお話→コチラ第3話改札を出て、駅前にある自動販売機でコーヒーを2本買い、1本をカッキンに放り投げた。坂井が「俺のが無いで」と言っているが無視しておく。「お前、この辺に引っ越したんか?」俺はガードレールに腰かけながらカッキンに尋ねた。「そうやねん。小5の時」そう答えてからカッキンは一口、コーヒーを飲む。「引っ越してから音沙汰ナシやったけど、ま