harahe

お酒が好きなアラフォー会社員です。

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最近の記事

元幹部再雇用じいさんの取り扱いについて

割と偉めな幹部が定年を迎え、契約社員として再雇用された。当然役職もなくなり部下もいないのだが、幹部時代の振る舞いが全く抜けず、とんでもなく偉そうなパートのじいさん爆誕状態である。わたしはこの『元幹部再雇用じいさん』の世話係となり、日々頭痛薬を飲みながら騙し騙し働いている。正直、1時間に100回は仕事を辞めたくなるし、だまれクソジジイ!おうち帰って孫と遊んでな!という心の叫びが口から漏れるのも時間の問題。あ、殺意ってこのことか、と新たな感情にも出逢えた今日この頃であるが、いても

    • 木暮荘物語 三浦しをん

      古びた木造アパート木暮荘の住人とその周辺の人々の人生、いや人性の物語。 身勝手に消えた元彼が戻ってきて今彼と仲良くなってしまい奇妙な三角関係に悩む女の子、死ぬまでにどうしてもセックスをしたいという思いに取り憑かれている老人、階下に住む女子大生の生活を穴から覗く事に夢中になる無職の男、覗かれているのを承知で暮らす女子大生、誰にも見えない謎のキノコが見えてしまうトリマーとヤクザ…など、どこか『普通』じゃない人達が少しずつ繋がりながら進んでいく。 一見『普通』ではない彼らであり

      • 推し活の土俵に一生立てる気がしないという話。

        推しがいる生活に憧れている。推しが出来てから毎日が楽しくて仕方ない、ホルモンバランスか整って肌がキレイになる、生理不順が治った、仕事のモチベーションが上がる…。推しができると人生が豊かになるらしい。 事実、30を過ぎて急にジャニーズ推しになった友人がどんどんキレイになっていく様を見た。いつどこで推しに鉢合わせするか分からないという理由で、こまめにエステや美容院に行くようになりUNIQLO一択だった服もどんどんOggiに出てくる様な今どきOL系に変わっていった。 私は昔から

        • 勝手に元気になってくれるのであれば幸いです。

          元気とか勇気ってさー、人から貰ったりあげたりできるものなの? 最近ハマって聴いているポッドキャスト『聴くドキュメント72時間』の中で山田吾郎さんが発していた。一瞬戸惑ったものの、冷静に考えてみると確かに誰かにあげたりもらったりした覚えって無いかもなと思う。 例えば、落ち込んだ時に推しの映像を見たら元気が出てきたとか、おばあちゃんが久々に孫にあったら元気になったとか、友達と話したら鬱々した気持ちが晴れたとか、そうゆう感覚は理解できるけれど、それは誰かが自分の元気を人にあげて

        元幹部再雇用じいさんの取り扱いについて

          生きる僕ら 原田マハ

          わたしは昼休みに読書をする事が多いのだが『やばい、泣くわ』となって何度も途中で読むのをやめ、最後はもう諦めて自宅で読む事にした。 主人公は引きこもりの青年。引きこもりと“梅干し嫌い”のきっかけとなる学校でのいじめのシーンは、読んでいて本当に辛かった。物語の軸となる『お母さん』と『ぼく』の関係性を特徴づける必要なストーリーなんだろうが、もうやめてくれ!誰か助けてあげてくれ!と祈りの様な気持ちになって読んだ。 離婚による母子家庭で、子どもを養うために一生懸命に働く母、その母に

          生きる僕ら 原田マハ

          悲しみの区役所待合室。

          マイナンバーカードを受け取りに来ている。平日だし、もうほとんどの人が入手している様だし、今更受け取りに来る人なんてさほど居ないだろうと思っていたけれどそうでもなかった。 区役所の待合室はお尻に火がつかないとやらない子で溢れかえっている。あれほど前から作れ作れと言われて、コンビニで色々できるよとかポイントがもらえるよとか、え?まだもってないの的な煽りCMとか…散々お尻を叩かれてきたけれど『なんかめんどくせぇ』という理由で作っていなかったマイナンバーカード。ついに病院でマイナン

          悲しみの区役所待合室。

          サード・キッチン 白尾悠

          世界は途方もなく多様だという事を、まざまざと思い知らされる物語だった。 国籍やジェンダーによって差別されない世の中に!みたいな風潮は、判を押したようにそこら中で叫ばれている。差別的発言をした議員は更迭され、企業の採用ページではダイバーシティ経営がアピールされ、女性のものとされていた洗濯洗剤や化粧品のコマーシャルにはこれ見よがしに男性が起用されている。 そんな風潮の中で、日本も僅かながら多様性が進んできているのかもなーと縁側でお茶を飲みながら日向ぼっこをしているところを、作

          サード・キッチン 白尾悠

          思えば、ずっと、そうだった。

          子供の頃から学校へ行かなければならない意味とか、たくさんお友達を作らなければならない意味とか、弟やペットに優しくしなければならない意味とか、全然分からなかった。 意味は分からないけれど、やらなければならないという認識があり、学校へ行きたくない気持ちはダメな事なので学校へ行き、弟やペットは可愛がるべき存在のため優しくし、ほんとうは一人でずっと絵を描いていたかったけど、お友達とやりたくもないドッジボールをしていた。 そうやって、やりたい事よりもやるべき事を優先して生きてきた。

          思えば、ずっと、そうだった。

          だって、しょうがないじゃないか。

          #褒められコーデ と検索したら一番最初に出てくるタイプの服を着て、#愛されヘア と検索すると画面を埋め尽くすタイプの髪型をした、自称相武紗季似の同僚がいる。36歳、独身、彼なし。 世間一般に愛されるとされるルックスにも関わらず、私の知る限り5年以上パートナーがいない。本人曰く『わたし色んな人見すぎて、正解分からなくなっちゃったんだよねー』との事であるが、その色んな殿方の誰からも選んでもらえなかったんじゃろがい!とAdo並みに叫びたくなる気持ちを噛み殺し「そうなんだ〜、モテそ

          だって、しょうがないじゃないか。

          ゆる妊活日記

          ゆる妊活をして2年くらい経っただろうか。元々子どもはいなくてもいいと思っていた私が、妊活をはじめるとは自分でも不思議だ。 夫婦共々旅行好きで、国内外問わずあちこち行っている。こんな風に、お爺さんとお婆さんになっても、2人でたくさん旅行して暮らしていければ満足だ、と思っていた。けれども自由に旅行に行けない世界になって、改めて人生や暮らしを考えた時、子どもがいる生活っていいのかもと思い始めた。既に30代後半だったから、そんなに簡単に出来るとは思っていなかったが、治療をして何がな

          ゆる妊活日記

          献立日記

          SNSやnoteの記事を見ていると、みんなちゃんとしてるよなぁと思う。 夕ご飯の献立に悩み #夕ご飯 と検索すると、小鉢がいくつも並んだ鮮やかな食卓や、美しく焼けた手作り餃子、広告のように完璧な豚カツ、素揚げした野菜が飾られたサラダなど、画面いっぱいに完璧な夕ご飯が披露されている。 よそのお宅の美しい献立を見ると、たまには我が家も!と思うのだが、餃子は焼きムラがすごいし、トンカツも衣が剥げていたりで、世間に公表できるような代物ではない。 仕事から帰る頃には、夫婦共々腹ペ

          献立日記

          歯痛による決意。

          砕けてますね、奥歯。 虫歯が無くても、半年に一度は必ず検診で歯医者へ行き、その度に『綺麗に磨けてますね』『この調子なら死ぬまで自分の歯で食べる事ができますよ』などと称賛されていた私の歯。 フロスも毎日使い、1日3回、たっぷり時間をかけてケアしていた。それなのに、このところ奥歯が痛いのだ。 仕方なく歯医者に行くも『虫歯、無いですねぇ』と訝しげな表情の先生。とりあえずレントゲンを撮ってみた結果、奥歯が砕けているという。 下の歯と上の歯を左右にギリギリやってみろというので指

          歯痛による決意。

          生きるとか死ぬとか父親とか ジェーン・スー

          ある日、Spotifyのおすすめに出てきたポッドキャストを何気なく聞いたらどハマりし、毎週欠かさず聞いている『over the sun』。パーソナリティのジェーンスーさんと堀井美香さんの事も、このポッドキャストではじめて知った。 私はお二人よりひと回りほど下の世代で、正直に言って現実世界ではお二人くらいの年齢の女性に対してかなり苦手意識がある。けれども、このポッドキャストを聴いていると、こんな先輩が近くにいたらなぁとか、私の苦手なあの先輩も、歩み寄ったら面白いのかもとか、あ

          生きるとか死ぬとか父親とか ジェーン・スー

          さきちゃんたちの夜 吉本ばなな

          よかった。とても。 多分私は今、少し疲れていて、こうゆう優しい話に癒されるんだと思う。 人が死んだり、病気になったり、失敗したり、傷付いたり。 生きていると、色々な事がある。 大変だな、面倒くさいな、と思う。 でも、私たちが何を想おうと、必ず夜は来て、朝が来て、また1日がはじまって行く。 私たちはそのサイクルの中を、ただ進んでいくしかないのだ。 なんだかなと思いながらも、世界は勝手に進む。 だから、なるべく美味しいものを食べて、いい匂いのお風呂に入って、清潔な

          さきちゃんたちの夜 吉本ばなな

          キッチン 吉本ばなな

          有名過ぎて逆に知らない、とゆう事がある。 登山好きの静岡県民が富士山には登った事がないとか。東京にずっと住んでるけど、東京タワーに入った事が無いとか。 吉本ばななさんは、私にとってそんな感じだ。 図書館で、本屋で、次に読む本を選ぶ時、幾度となく最終選考まで残っていたのだが、なぜだかこれまで1度も読んだ事がなかった。 どんな文章を書く人なのか、どんな物語なのか、全く知らないのに、なんだかずっと気になる本。でも「なんか今じゃない」とゆう理由で選ばれない。キッチンは、私にと

          キッチン 吉本ばなな

          日日是好日

          お茶の世界は、なんだか閉鎖的で堅苦しいところだと思っていた。 ピシッと着物を着たご婦人方が、互いの作法に眼を光らせながら、澄ました顔で抹茶をたてる謎の文化。 そんな薄っぺらい知識で、茶道を敬遠してきた自分は何と勿体ない事をしてきたんだろう。 この本を読んでいると、日常に溶けて見えなくなっているものを、次々と思い出す。 雨が降る前の匂い、湿度、水を撒いた後の庭の匂い、梅雨が若葉を弾く音、秋雨が枯れ葉を濡らす音、夜道の沈丁花の香り、紫陽花の花びらのグラデーション、満月、四

          日日是好日