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釣った魚に餌を…

ずっと、犬を飼いたかった。

だけど、無理だと思っていた。

お金もかかる、責任も伴う、掃除も大変、どうせ最初だけで、すぐ面倒見なくなるでしょ。誰が散歩するの?


飼いたいと伝える度に、親からそう言われた記憶がある。


やってみないと分からないのに…、頭ごなしに言うのは、親としてはどうなん…?って今なら思うけれど、


子供の頃の私に、そんな発言力やお金は無かった。



そして私は、大人になった。


母は調子を崩し、難病と診断された。歩けなくなり、笑えなくなり、会話ができなくなり、


鬱になりそうな自宅介護が始まった。


仕事を辞めるわけにもいかないけれど、

家を空けるわけにもいかない。


頼れる家族は、ほぼおらず、1人で病気の母と向き合っていた。


福祉的な訪問サービスも利用したけれど、ずっといてくれる訳ではない。


仕事から帰宅したら、母がベッドの横に倒れていたり、トイレが悲惨な状態になっていたり、色々なことがあった。


オムツを変え、シーツを変え、とろみをつけた食事を与え、いつまで経っても終わらない役場の手続きをし…、


限界だった。


私にも癒やしが必要だった。

私が倒れたら元も子もない。


そして、半ば思考停止で、犬を飼い始めた。飼いたいという気持ちに今まで蓋をしていた言い訳を全部、思い切って考えないようにしてみた。


そうしたら、可愛すぎた。


震えながら不安そうに家に来た子犬を抱きしめて、大事にすることを誓った。


母の介護に加えて、犬の世話も始まったけれど、可愛いから平気だった。トイレシートを変えるのも、ご飯をあげるのも、面倒だと思ったことがないと言えば嘘になるけれど、トータルで見て楽しかった。プラマイプラスでお釣りが来た。


そうして、最後は病院にお世話になりながら母は亡くなった。介護をきっなけに飼い始めた犬は今も私と一緒にいてくれる。すっかり家にも慣れて、我が物顔だ。


性格的に飽きっぽい私。


最初こそ猫っ可愛がりするものの、そのうち気持ちが冷めて、世話をしなくなったり、鬱陶しく思ったり、飼ったことを後悔するのだろうか…。


命を引き受けたことの責任感はさすがに感じていたから、そうなったと言って捨てるわけにもいかないし…と、我ながら心配していたけれど、そんなこともなく、すっかり家族として仲良く暮らしている。


もうすぐ3年だ。


もちろん、飼ったばかりの頃の、あの恋をしているような高揚した気持ちはない。


早く家に帰りたくて仕方なくて、毎日、犬の写真を撮っていて、話題は犬のことばかり。買い物に行っても犬のグッズばかり気になって…


といった、あの時の強烈な気持ちを、たまに思い出す。


今はさすがに、そこまでではないけれど、静かに大事に思っている。


帰るたびに飛び付いて来るあの子は可愛いし、毎日、撫でて抱っこして「なんでそんな可愛いの?大好きだよ」と伝えている。仕事の日は、あまり構ってあげられないこと、悪いと思っている。


犬は愛情を返してくれる。こっちをじっと見て、舌を出して笑って、延々と手を舐めてくれる。



飼ってよかったと、今も思っている。


そして、この気持ちの変化は、恋愛と似ているとつくづく思う。


私が、うちの犬を可愛がるのは、外見だけじゃない。正直、犬はどの犬も可愛く見える。ペットショップに行ったら、もう一匹買いそうになるほど。


だけど、あの子が私にとって特別なのは 共に過ごしているから。思い入れが違うのは、一緒にいるから。一緒に暮らそうね、と連れて帰った時から、特別になった。思い出が増えるほど、より好きになる。



恋愛も、会った当初の気持ちの高鳴りは、何年も続くものではない。だけど、静かに大事に思う気持ちが続いているのなら、大丈夫だと思う。お互いに大切にしていける。



ただ、そういうスタイルの恋愛をしない人というのは、一定数いる。


本当に好きな人に出逢えば変わる…という可能性もあるけれど、


好きならちゃんと付き合うし、付き合うなら大事にする。


どうせ恋愛をするのなら、そういうポリシーを崩さない人としたい。


犬を一時的な気持ちで飼ってはみたものの、思い通りに行かなかったり、飽きたりすれば、途端に世話を放棄したり、放置したり。それは最初から覚悟もなければ、考えも浅い。


物事の都合の良い面しか見ない人というのは、いきなり手のひらを返す。そこは私たち見極めなきゃ。

自分の気持ちが続かない確率、それに伴うリスクを正確に把握していない。行動には責任が伴うからこそ、軽い気持ちで、責任のある行動をしないこと。決断するならば、その覚悟を。

そういう人が素敵だと思う。

簡単にプロポーズして、簡単に婚約破棄が出来てしまう人だって存在する。何度も何度も、気軽に離婚する人もいる。

人それぞれの感覚だから、責任感を全員統一するのは難しいけれど、そこの感覚は近い人と一緒にいないと、苦しむことになりかねない。

だけど同時に、どんな状況でもやりようはあるし、いつだって人生、生きてるなら取り返しは付くと思っている。

自分の決断を、正解にしていく方法は、きっと無限にある。



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ありがとうございます、また書きます。思い出したら、また読みに来てください✨