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会社における3つの原資

こんにちは、公認会計士の三上光徳です。

前回は、『経営管理』を理解するための5つの視点を紹介しました。


復習の意味もこめて再掲しておきます。


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経営管理5つの視点

1.採算管理(資金繰り)
2.契約管理(取引先との関係)
3.労務管理(社員との関係)
4.内部不正対策
5.経営者不正対策
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さて、本日は“会社の原資”について説明したいと思います。経営管理の視点でいうと、『1.採算管理(資金繰り)』に関連する内容となります。



会社の原資は3つ


会社の原資、すなわち会社運営の元手となるお金は以下の3つです。


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1.資本金
2.借入金
3.売上
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1.の資本金は、会社の設立時や増資時に株主が出資するお金です。
2.の借入金は、金融機関やあるいは個人などから金銭消費貸借契約に基づき、借り入れたお金です。
3.の売上は、会社が事業を行い、売上金として稼いだお金です。

会社は、主にこの3つの原資を使って事業を運営することになります。



原資それぞれの“制約”を理解する


上述の3つの原資については、それぞれ制約条件の有無、制約の具体的内容を理解しておくことが重要です。
制約とは、事業上の何らかの縛りのことです。お金を経営者の思うがままに
自由に使えるのが一番ですが、当然ながらそういうわけにはいきません。
以下では、その制約の具体的内容をみていきます。



資本金に係る“制約”


会社への出資を社長一人が行っている場合、つまり、社長が100%株主であり代表取締役である場合には何ら制約はありません。しかしながら、社長以外の外部株主がいる場合には一定の制約が発生します。

まず、株主が配当等による還元を求めてきます。株主として一定のお金を拠出している以上、当然何らかの見返りを求めるのが株主です。それが、配当かもしれませんし、事業価値の向上かもしれませんし、その株主が関わる他の事業との提携かもしれません。いずれにせよ、何かしらの株主還元が求められることになります。

また、外部株主には、一定程度の支配権、すなわち、株主総会における議決権を保有されることになります。議決権比率によっては、その外部株主の同意なしには重要事項の決定ができなくなってしまうという状況になります。

さらに、投資契約を締結する場合は、その投資契約による制限を受けることになります。投資契約とは、ベンチャーキャピタルから出資を受けるケースなどにおいて、投資の前提、会社運営、撤退条件などを個別の契約として予め締結しておくものです。契約を締結する以上、当然にその契約の縛りを受けることになります。



借入金に係る“制約”


金融機関等から借入を受ける際は、金銭消費貸借契約を締結します。その場合、通常は予め定められたスケジュールにしたがい元金と利息を返済していくことが求められます。支払った利息は会社の経費となりますが、元金返済の部分は会社の経費とはなりません。つまり、会社の税金を下げる効果は、元金返済にはありませんので注意が必要です。

また、代表者個人が会社の債務の保証人となることを求められることが現実的には多いです。今現在、世の中は低金利と呼ばれる状況です。つまり借入金の利息は安く済むため、借入金は大いに活用すべきともいえますが、一方で資金繰り管理をしっかりしておかないと会社の倒産リスクが高まることにもなります。

経営者の舵取りが非常に重要であるという意識をあらためて確認しておきましょう。



売上に係る“制約”


会社が事業活動の中で獲得した売上金については、一切の制約がありません
つまり、会社はそのお金を制約なしに自由に使うことができます。


制約という観点からは、資本金&借入金と売上金は全く異なるものですので、
その点をしっかりと認識しておきましょう。

三上光徳

アガットイノベーション





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