地方のアガるブランディングストーリーVol.01 〜香川県高松市 株式会社ホリ〜
(株)人生は上々だでは、地域の中小企業の役に立つクリエイティブは「ブランディング」だと考え、創業当初より「ブランディングデザイン」に重きを置いてきました。そこで「地方のアガるブランディングストーリー」と題して、これまでブランディングを基点に携わらせていただいた中小企業やお店や団体の皆さまに、上々のブランディングについてお話を聞いていこうと思います。
まず第一回目は、香川県高松市でエビをはじめとした魚介類の冷凍食品を取り扱う(株)ホリの常務取締役、堀弘道さんに、インタビューです!
さっそくですが、(株)ホリはどんな会社でしょうか?
創業48年。祖父の代から続くエビなど魚介類の冷凍をメインとした卸売業を営んでいます。昔から天然のエビというのはお祝いなどおめでたい席で使われる華がある食材であり、ご馳走として捉えられていましたが、時代の変化とともに養殖技術の発達や海外からの輸入によって会社を取り巻く環境も大きく変わってきていると思います。
変化の中での入社だったのでしょうか?
入社したのは2012年です。4人兄弟の長男。跡を継ぐという感覚はなかったけれど、大学で経営や経済を学んだことや、卒業後、和食料理のお店で料理に携わったことは、今思えば繋がっているのかもしれないと感じます。30歳を迎えるころに「家業」というキーワードが頭に浮かんできました。ふと、帰ろうかと相談したときに「喜ぶと思う」と言ってもらえたことが背中を押してくれました。起業した祖父とは1~2年しか一緒に仕事ができなかったので少し残念ではありましたが、どんな時にうれしいと感じるかを尋ねたところ、「お客さんがおいしいとほめてくれた時だ」と答えが返ってきました。それが大切にしていきたい気持ち、スタートでありゴールだと、今でも大切にしている言葉です。
実際に帰ってきてお仕事をしてみていかがでしたか?
最初は、営業や配達など覚えることだらけでした。状況として、海外からの安価な商品や県外からの競合などによって、天然でいいものを扱うだけでは厳しく、何かしら変化が必要でした。いいものを扱いながら新しい販路を拡大させるのか、県内の販路で価格勝負するのか悩んだ時期もありました。
「変わらない」こともあれば「変わる」こともあるということでしょうか?
変わらないのは、「お客様が笑顔になること」食べておいしい、体に悪くないものを大事に扱うことです。一方、変えたことは、「見せ方・表現」中身は一緒のいいものでも、見てもらえないと届けられないんです。アピールを強くしていくことは必要だと考え、「通販でいいものを届けよう」とホームページを作ることに辿り着きました。
そこで、「人生は上々だ」との出会いがあったんですね?
出会いは8年ほど前だと思います。「通販でいいものを届けよう」と新しいホームページを作成しようと考えましたが、どうしたら見てもらえるのかさっぱりわかりませんでした。そこで、誰かいい人はいないか探していた時に紹介されました。
初対面の時の印象は、これがデザイナーかっていう感じでした。しかも、ここで早速、ホームページを作るよりオリジナルブランドを作ることを勧められたんです。
オリジナルブランドはそれまでにはなかったんですか?
もちろん、ブランド化したいという気持ちはあったので「士魂三代(しこんさんだい)」という名前のオリジナルブランドを作っていました。ただ、ブランド名の入ったシールを貼る程度でしたし、貼っていても見られていないから、当然私たちの思いは伝わっていなかったことになります。正直、自分たちだけでやるには難しさを感じていました。
具体的にはどんな提案だったんですか?
ブランディングしてからホームページを作ったほうが、より伝わると提案を受けました。 しっかり、道筋をたててもらえた感覚です。
実際のところ、半年ほどかけて従業員一人一人が会社についてのアンケートに答えるなどヒアリングを行うことで、「社員の思い」や「会社の良さ・強み」がわかってきました。そうでないと、伝わるものはできないことを感じさせてくれたように思います。普段思っているけれど、表面に出てこなかった部分を掘り起こしてくれた感じでした。
その時作っていただいた「ロゴ」に関しても、変えたいと思うことがないくらい満足しています。それは、このヒアリングでしっかりと「想い」を汲み取ってもらえたからだと思います。
「Manma(マンマ)」というブランドについてはいかがですか?
「Manma」は「お母さん、ごはん、そのまんま(素材)、ありのまんま(人)」いろんな意味が込められています。
パッケージについても、それまでは、ありのまんまならお金をかけなくてもよいと考えていましたが、面白い商品(アヒージョ)を作ることを思いついたときにこちらから相談をしました。
その時は、「マージン契約」を提案されました。デザイン費を売れた量に応じて払うというシステムなので、共同で一緒に挑戦できるなど、痒い所に手が届く感覚でした。
今、「人生は上々だ」はどんな存在なんでしょうか?
何かアイデアを思いついたときにまず相談できる存在です。生み出すまでをしっかり支えていてくれるから安心して一緒に仕事ができます。仕事を依頼して作ってもらうだけではない、チームのような感覚です。
新しいことにどんどん挑戦したくなりそうですね。
去年の12月、ホームページをリニューアルしました。商品だけではなく、会社として目指すことや想いなどを伝えることを大切にしたかったからです。会社や世の中の変化に合わせて、リブランディングすることで、目線を少し上げて進んでいけます。 毎月1回、定期的に打ち合わせもしています。商品の動きや思いついたこと、感じたことを報告することで、頭の中が整理できるので存在として大きいですね。また、作り手ではない消費者目線の偏りのない立場で意見をもらえるのも安心できます。
ブランディングをして会社として変化はありましたか?
全部ですね。社内の雰囲気が良くなったし、悲観的な意見より前向きな発言が増えていきました。たくさんの人が商品を購入し評価されたことに誇りも持てたし、単純にうれしいと感じることが増えたからでしょう。コロナ禍という状況は何ともしがたいけれど、卸しに頼らないという方向転換を早めに始めたことでなんとか乗り切れています。現在は県内半分、ほぼ0から始まった県外の小売りや百貨店、オンラインでの売り上げが半分を占めています。
ブランディングをしてもらう上での付き合い方ってありますか?
最初は受け身でした。どうしたらよいかわからないので、とにかく提案やアイデアをくれるのを待つ姿勢でした。それが、徐々に「こうしたい」という提案を自分から持ち掛けるようになっていきました。投げたボールに対していい球を返してくれる。どちらもピッチャーでありキャッチャーという関係が今の状態です。そのほうが、お互いに「やる気」を感じますし、よりお互いが成長していけるように思います。
これから会社として挑戦したいことは?
冷凍食品として、食べておいしいことやパッケージがいいのはもちろん、「面白いもの」を作っていきたいです。「食卓」や「食生活」に係わって、彩りや変化、安らぎを与えられる存在になれればと考えています。これからは食材以外のものも計画中で、チャレンジはずっと続きます。
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