えいマンタ

伊勢湾岸に流れ着いたエイです。マンタかもしれません。

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最近の記事

今日の茶飯事 六杯目  梅干し界のスター

あなたたちが梅干しが食べれるようになったのは いくつの時だっただろうか。 勝手な偏見だが 祖父母によくかわいがられてきた人たちならば 他の子たちよりも幾分か早く梅干しを口にし、(好きか嫌いかはともかく)食べられるようになった人たちは多いのではなかろうか。 しかしそれを考慮しても、幼稚園(保育園)の時から食べられる人は少なかったと思う。あんな酸っぱいもの、誰が食えたものか、と。 実際幼稚園児だった私は梅干しを食べられる友人を見て 酔狂なものだな。 と、思っていた。 いや、

    • 故郷の風が吹いているのか?

      電車に飛び乗る。 私は昔予備校に通っていたのだが、いかんせん地元にはそのような場所がないので、2時間ほど近鉄に揺られて名古屋まで行っていた。 日によって乗る時間が違うとは言えど、帰りは大体帰宅ラッシュである午後5時ごろが多い。電車に乗るころには所狭しと人が詰め込まれており、入り口が塞がれていることもあった。「すいません」と言いながら乗り込み、身を寄せれるような場所を探る。 このときである。 私の眼にはあふれんばかりの人間が映っているはずなのに、どうしてか一人の人間に意

      • 今日の茶飯事 五杯目  テトリスみてぇなケーキ達

        腹一杯になるまでケーキを頬張ってみたい、だなんて子供っぽいだろうか。 祝い事に専ら引っ張りだこのケーキは小さい頃の「非日常」の代名詞のようなものだった。 家族で囲むホールケーキ。手を叩きながら歌われるバースデーソングは、耳に入っても頭には入ってこない。 蝋燭の火をふぅと吹き消すその瞬間まで、私の期待のエントロピーは増大し続ける。ギザギザの刃のしたナイフで、丁寧に切り分けられるケーキ達は、スイーツ店のショーウィンドウに並んでいるまさにそのショートケーキへと変貌を遂げる。  そ

        • 急行:アイアンメイデン

          片道二時間、往復四時間弱にも及ぶ伊勢から名古屋までの道のり。 乗車する電車の種類にもよるが、ここいらの一般市民ならば急行に乗る訳だ。通学通勤に毎日特急に乗れるものは少ないため必然的に朝のラッシュが生まれる。 ラッシュとはいえ、それこそ東京のような乗車率100%越えなんてことはなく、どれだけ乗っていても田舎の主要駅の混雑くらいではあるが。 そんな急行だが、(恐らく)どの地域でもよく見るであろう進行方向に対して平行に二列、壁に沿うように延びる席と、特急列車の席を少し狭くし味気な

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          今日の茶飯事 四杯目  日本料理は上品な暴力

          前回きしめんの美味しさについて話した。 たっぷりの鰹節と昆布で抽出された旨味の洪水、出汁。これをふんだんに使っているんだから、まずいわけがない。そう語った筈だ。 今回はこの出汁について語ろう。 日本では、料理をする際に主に使う調味料がいくつかある。何処の国でもたいていあるのは塩と胡椒。これらに加えて醤油やみりん、酒などが挙げられる。 特に凝ったレシピの料理をしない限り醤油とみりんと酒を混ぜてタレを作れば、まぁ失敗はしないと言われるほど安定した調味料達だ。 それら主力調

          今日の茶飯事 四杯目  日本料理は上品な暴力

          今日の茶飯事 三杯目  きしめん#1 閃光のきしめん

          今日、東京から新幹線に乗り三重へ帰る途中の名古屋駅できしめんを食べた。 うどんとは一味違う平打ちの麺で、醤油ベースの汁というより鰹節をふんだんに使った出汁ベースのうどん類、それがきしめん。 名古屋のソウルフードとも言われるこの麺類は、とにかく美味しい。そしてお腹に優しい。 風邪をこじらせた時、醤油すら受け付けないことがある。食欲がないと言えども、すでにエネルギーは枯渇しかけですっからかん。どうにかして何か口に含みたい、大分体がまいっているときにこの出汁が沁みるのだ。

          今日の茶飯事 三杯目  きしめん#1 閃光のきしめん

          今日の茶飯事 二杯目   ハムは何処までが生なのか

          私が初めてハムを食べたのが、小学校一年生の時だ。というより、記憶として残っている最古のハムの記録がその時だった、というだけなのだが。 多くの人はハムをそれ単体で食うことはないのではないだろうか。フレッシュハムを。 トーストの上にチーズのお供としてのっけたりとか、サラダの中に忍び込ませたりだとか。 それこそボンレスハムのような厚みのあってそこそこの大きさでなければ、メインのおかずとしては荷が重い。 だが。私はこのやる気のなさそうなペラッペラのフレッシュハムをなんの手も加え

          今日の茶飯事 二杯目   ハムは何処までが生なのか

          工事現場のひらがな、カタカナ

          そこらを歩いていると、偶に見かけるあの看板。 100メートル先工事中。 簡易的な道路の地図が描かれた上で工事現場にバツ印を打ってあることがほとんどだ。 この道路の形というのが、どうにもカタカナの「ト」に見えて仕方がない。 考えられる道路の形からしてそのようなことは往々にしてあるのだが、それにしたって出すぎな気がする。 画数や形の単純さで考えれば「二」や「エ」とかあってもいい筈だ。もっと言えば、ひらがなでも「い」や「し」があってもおかしくない。 だが、看板に描かれる道

          工事現場のひらがな、カタカナ

          俺たちの足は何故車輪じゃないのか

          名古屋駅構内の太閤通口から近鉄名古屋まで、歩くにしては少し面倒な距離がある。 その道のりは俺にとって当然となった予備校からの帰路の一つ。帰宅ラッシュの背広達の間を抜ける。流れに逆らわないように。 遅すぎず、速すぎず。 向こうから軽快な車輪の回る音がする。 どうやら車椅子がやってきたらしい。 ぶっとい腕で車輪を回している。発達した上半身から放たれる豪快なひと回しは、殆ど同じ速度であるはずの俺と違う軽やかさがあった。 ……羨ましい。 なんだかそう思った。 俺にも車輪

          俺たちの足は何故車輪じゃないのか

          味がしねぇ!!!!!!!!

          皆さんこんにちは。 突然ですが、皆さんは最近、ちゃんとご飯を美味しく食べられていますか? いつの間にか8月も終わり秋が近づいていますね。 食欲の秋…。 いろいろな旬の食べ物が五万と集まったこの季節、私、好きですよ。ええ。 果物好き?いいよね、果物。秋の果物って何だろうね。柿とかかな。栗もあるな。栗って果物なのかな。あんまし栗って果物の感じしないよね。 魚もおいしいね。秋鯖とかもいるらしいし、真鯛も旬らしいし。 鰆も旬だって。春って漢字入ってるのに秋なんだね。不思議。

          味がしねぇ!!!!!!!!

          今日の茶飯事 #1.笹の葉さらさら

          日常茶飯事とは、日々の生活におけるとりとめのない普通の出来事である。(Wiki参照) 茶飯事はその名の通り茶を啜り、飯を食うこと。暮らしの中の「普通」の代表として用いられているのだろう。 ここではご飯の事だけ、書き連ねていく。 自分で作ったホットケーキから 偶然食べることができたふかひれのスープ(ツバメの巣のスープだっけ?)まで。 今までの食卓を振り返って思い出を掘り起こす。 お腹を空かせた学生も、夕飯を決めあぐねている奥様方も、一飯お付き合いいただければ幸いだ。

          今日の茶飯事 #1.笹の葉さらさら

          ツキノワ

          風は凪いでいた。すでに半分以上身を隠した太陽とともに、空は薄暗くなっていった。雲は多く、月を覆うように伸びた形をしていた。 病院からの帰り道、私の足取りは軽いものではなかった。医者から渡された診断書は、来月受ける手術が確固たるものだということを示しているようでどうにも気分が乗らないのだ。 命を預かる仕事というのもあってか、手術の説明をしている医者は矢継ぎ早に言葉を放つのだが、それがさらに私の気分を重くした。 小さいころから体が弱かったし、厄介な持病をもっていのもあってか、

          久しぶりに贅沢をする。手には冷たい感触。ごつごつとしたそれは自身の出番を静かに待っているようだった。 新社会人1年目の初任給は親へのプレゼントである温泉旅行チケットと、自分へのご褒美として海の幸、蟹に早変わりしていた。この先1か月はカツカツの生活がつづくのは火を見るよりも明らかな出費ではあったが、先の不安よりも蟹への期待が勝っていたのだろう、足取りはいつもより断然軽かった。 家に帰宅すると、さっそく蟹を調理台に置いた。 水に晒して解凍すれば、あとは剝くだけなんともお手軽。