工事現場のひらがな、カタカナ

そこらを歩いていると、偶に見かけるあの看板。

100メートル先工事中。

簡易的な道路の地図が描かれた上で工事現場にバツ印を打ってあることがほとんどだ。

この道路の形というのが、どうにもカタカナの「ト」に見えて仕方がない。
考えられる道路の形からしてそのようなことは往々にしてあるのだが、それにしたって出すぎな気がする。

画数や形の単純さで考えれば「二」や「エ」とかあってもいい筈だ。もっと言えば、ひらがなでも「い」や「し」があってもおかしくない。


だが、看板に描かれる道路では違和感はなくとも実際の道路の形として考えるとその理由がわかる。

それは日常生活において、今自分が歩いている道が「エ」や「二」の形であると認識しづらいからだ。

自分が歩いている道路は曲がり角が出るまではずっと直線であって、かつ曲がり角ごとに記憶がリセットされる。

「エ」で考えてみよう。

エの下部分、三叉路のようになった部分から出発するとしよう。そのまままっすぐ進んで行き、二回目の曲がり角に出る。
この時の私たちの道路に対する意識は、一回目の曲がり角より二回目の曲がり角の方が強いため、
一回目二回目の曲がり角のことを覚えている「エ」の形を意識せずに、二回目の曲がり角にだけ注目した「T」のような形を思い浮かべるのだ。

これは「い」や「リ」にも言える。

「い」や「リ」は左を自分の走っている車線、右を対向車線として考えるとしっくりと来ると思われる。

しかしこれは道路のことを俯瞰して見ているからできることであり、車を運転している時にパッと理解することができるかと言われると、そうではない筈だ。

そして工事中の看板はできるだけ運転手にわかりやすいような図を描かなければならない。だからこそ一車線だけで表したり、情報を追加するにしても「ト」のような直感的にわかりやすいものをできるだけ使っているのかもしれない。


余談だが「く」の形の道路図が使われている看板を見たことがあるような気がするが、そのようなカーブのある道路はあまり見かけないと思ったので省いた。許してくれ。




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