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曇天の彼方に嵐の幻を見て 多重写しの未来は不安に照準をさだめ 黄金と、セピアの日々の臨場…
拒絶するかのように、貴方に近付く。 剣を突き付けながら、貴方を慈しむ。 数学を解くように…
蒼い三日月が天頂に昇るころ 外套を静かにひるがえし、その姿を表す 綺羅びやかなヴェネチア…
見上げれば 変わらぬ 空の碧 地上には 楽園の跡 輝かんばかりの笑顔 あふれんばか…
いかに生き、いかに死ぬべきか。 自身の使命のために、今出来る事は何か。 書物の山を見つめ、…
薄暗くぼんやりした部屋に明かりを灯し、 暖炉に薪をくべる。 ナツメグに、黒すぐりの実、鷹…
うだる空気。そよぐ熱風。伸びた影。 爛れたイチジクを頬張り、 極楽鳥の夢を見る。 揺らめくイエローの搭。 陽炎メランコリック。 ああ、私は私ではなく。 あの搭を飛び回る鳥だったかもしれない。 焼け焦げた肌に、一匹の蠅がとまる。 影はどんどん黒く伸びて、やがて逃げる。 逃げた影が、搭に集まり息をひそめる。 私はもはや私でなくなる。 生まれる前に戻ってしまおう。 まだやわらかい、羽毛にくるまれて。
大きな白いハコの中へ。 僕ら、いっせいに詰め込まれて。 青い空。白い壁。 遠くへ吸い込まれ…
闇にぬらりと煌めく貴方の唇 丹念にあなた、紅を塗りましょう 私の指からその唇へ 丹念に …
民家の小道をゆく、その並木道 早咲きの桜、いよいよ春の偲びを告ぐ そのひっそりと、堂々と…
淡々と ただ 淡々と 生きて、眠って、夢を見る 無言の夢を抱えて 欲に振り回されるは人の…
青空のもと、砂浜に夢を込めて 砂の城 水平線の彼方 ゆらめく蜃気楼 憧れ込めて 砂の城 …
ありがとうで終わらせたい あたたかなものだけ触れていたい あなたも あなたを苦しめたあの…
建物と車のガラスが反射し 白い光線を放つ 青草と枯草がめいめいにそよぎ、 世を奏でる 風がうなる 雲が流れる 樹々がざわめく 街路樹の先端は柔らかく 黄金に縁取られ やがてその光の粒は 貴方を廻ってゆく その時 青草と枯草は重なり 絡まり合うだろう 寂寥が光で満たされるまで