【詩】まだ見ぬ桜

民家の小道をゆく、その並木道

早咲きの桜、いよいよ春の偲びを告ぐ

そのひっそりと、堂々と満開たるや

本日は曇天、なお薄桃のまばゆきこと

小道を進み、侘しき幹に突き当たる

生温い風がひとすじ、すり抜けて

その桜とおぼしき幹を撫でてゆく

未だ空に細やかな枝這わせ、咲かぬ桜の幹よ

天にその手を幾重にも伸ばし、

まだ届かぬ桜よ

まだ届かぬ桜よ


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