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浮世絵

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浮世絵について知りたくて関連記事を集めています❣️
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浮世絵が陶磁器の包み紙として海を渡ったのは本当?という話。

浮世絵が陶磁器の包み紙として海を渡ったのは本当?という話。

浮世絵に関心がある方なら、浮世絵がヨーロッパへ輸出する陶磁器の包み紙として使われていたという話を、どこかで聞いた記憶があるのではないでしょうか。それがきっかけとなって、浮世絵の素晴らしさがヨーロッパに伝わるようになった、と。

もう少しちゃんとした説明ですと、フランスの版画家であるフェリックス・ブラックモンが、陶磁器の緩衝材として用いられていた『北斎漫画』をたまたま発見。浮世絵の魅力を仲間たちに伝

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富士山はどれくらい遠くから見えるのか、北斎と広重に聞いてみた。

富士山はどれくらい遠くから見えるのか、北斎と広重に聞いてみた。

歌川広重の「冨士三十六景 下総小金原」。手前に大きく描かれた馬が印象的な作品です。小金原は幕府直轄の馬の放牧地。現在の千葉県北西部、松戸市、鎌ヶ谷市、船橋市付近に広がる原野でした。

広がる草原の先に、富士山の姿が小さく見えています。

この場所は富士山から100キロ以上離れているのですが、そもそも富士山はどれくらい遠くから見ることができるのでしょうか?

現代の科学技術を駆使すれば詳細に分析する

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広重の雪の浮世絵、ベスト4を選んでみた

広重の雪の浮世絵、ベスト4を選んでみた

雪景色を描くのがもっとも上手い浮世絵師は誰かかと問われれば、やはり歌川広重が筆頭にあげられるでしょう。しかも、ただ単に雪景色をたくさん描いているだけでなく、その構図は作品によってさまざまに工夫が凝らされています。そこで、広重の雪の浮世絵から、傑作の4点を筆者の個人的な好みで選んでみました。あなたはどの雪景色が一番好きですか?

※記事の最後に人気投票結果があります。かなりの接戦になっていますので、

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安藤広重はいつから歌川広重になったのかという話。

安藤広重はいつから歌川広重になったのかという話。

浮世絵についての講演会をした際、「よく聞かれる質問ベスト3」に入るのが、「歌川広重は安藤広重と言っていませんでしたか?」というご質問です。現在、美術館の展覧会や浮世絵の画集では「歌川広重」とするのが一般的ですが、一定以上の年齢の方々は、昔、学校で「安藤広重」と学んでいたため、違和感を感じられるそうです。

この質問については、広重は安藤家に生まれたので、かつて「安藤広重」と呼ぶことがありましたが、

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江戸時代のスズメたちの世界に潜入してみた

江戸時代のスズメたちの世界に潜入してみた

顔はスズメなのに、体は人間。不思議な姿をした鳥人間たちを描いた、歌川国芳の「里すずめねぐらの仮宿」。
動物を擬人化させることが得意だった、歌川国芳の代表作の一つです。
歌川国芳の「里すずめねぐらの仮宿」をクローズアップすることで、スズメたちが暮らしている世界をじっくりと観察してみましょう。

まずは、画面の左上。格子窓のある部屋、赤い絨毯の上に、華やかに着飾ったスズメが座っています。スズメの世界の

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はみ出す富士山ー広重と北斎

はみ出す富士山ー広重と北斎

東海道に53ある宿場町の中で、富士山の巨大な姿を堪能することができた場所が、原宿です。現在の静岡県沼津市原に位置します。

歌川広重は、「五十三次名所図会 十四 原 あし鷹山不二眺望」を描く際、富士山の巨大さを強調させるテクニックを用いています。

富士山の山頂を、作品の枠線からはみ出させることによって、富士山の高さをより印象強くしているのです。

実は、広重は東海道の原宿を描く際、このテクニック

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江戸っ子は雨が降ると、みんな裸足になるのか、調べてみた。

江戸っ子は雨が降ると、みんな裸足になるのか、調べてみた。

先日のTwitterにて、こちらの歌川広景の「江戸名所道外尽 四十六 本郷御守殿前」を紹介したところ、雨の日はみんな裸足なの?というご質問がいくつかありました。

たしかに雨が降るなか、みんな裸足です。実は、筆者はこれまでまったく気にしていなかったのですが、言われてみれば「なるほど」と思い、早速調べてみました。

たとえば、雨の名作、歌川広重の「江戸名所百景 大はしあたけの夕立」。

左端にいる2

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おいしいの視線の先は?―月岡芳年「風俗三十二相 むまさう 嘉永年間女郎之風俗」

おいしいの視線の先は?―月岡芳年「風俗三十二相 むまさう 嘉永年間女郎之風俗」



満月の輝く夜、建物2階の縁側で女性がにこやかな表情をしている。右手に持つ串の先に刺さっているのは、天ぷらだ。しっぽがあるので魚であろう。メゴチかキスだろうか。

染付の大皿に天ぷらが盛られ、縦じま模様のそばちょこには、天つゆがなみなみと注がれている。

江戸時代の庶民たちに人気のグルメといえば、そば、すし、うなぎ、そして、天ぷらである。江戸の町でいう天ぷらとは、魚介類にうどん粉をまぶして、ごま

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