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【ご相談事例】医療事故を起こしたがまた医師に戻りたい

今回は患者さんを死なせてしまい、病院と遺族から責め立てられて退職したものの、また医師に戻りたい気持ちと今の仕事を続けるべきなのか葛藤に溢れたご相談をいただきました。

医療現場に興味のある人はもちろん、キャリアの選び方を考える上で非常に参考になると思いますのでぜひ最後までお読み頂けますと幸いです。

【ご相談】

アドラー心理学サロン様

いつもTwitter等楽しく拝見させていただいております。
いきなりのメール失礼します。医師をしております。この今月を待ちまして、非常に残念ですが、医師としてのキャリアをギブアップすることとなりました。しかしながら、なかなか割り切れない思いが多い状況のため、少し相談させていただきたいと思い、ご連絡させていただきました。

まずは、非常に長くなりますが、辞めるに至った経緯を下に記載させていただきます。

元々は、とある病院に勤めておりました。

ただ、自分にとって学術的に非常に興味がある範囲であることや、自分から望んで進んだ道でしたので、特に不満を感じることなく仕事には非常に満足しておりました。また、恵まれた同僚、上司、後輩に恵まれ、楽しく仕事をしておりました。

そして、今までの仕事ぶりなども評価されたのだと思いますが、幸せなことに某組織に出向が決まりました。

しかしながら、出向前に受け持った不幸にも亡くなってしまった患者様のご家族様と訴訟直前までのトラブルになってことにより状況が一気に変わってしまいました。

振り返ってみれば、私の態度や言動が悪かったところもあるのは分かりますし、患者さんの転機もかなり不幸でした(多くの薬に副作用がでて、治療に必要な薬がほとんど継続できませんでした)ので、患者さん家族の気持ちも分かります。

ただ、当該ご家族様は、患者様の状態がいい時から、要点を掴めないチグハグなやり取りが多く、説明を曲解するので何度も再度説明が必要だったり、僕の発言を都合よく切り取って解釈したり、説明が終わって他に行こうとしたら、しばらく家族様に院内を付け回されたりということが多発しておりました。

更には、状態が悪くなると、お見舞いにも来ていなかったご家族が大量に押しかけてきて、何時間も渡り怒鳴り散らされ、暴力を振るわれたりとったことが起こり始めたという状況です。

本来であれば、こういった場合は病院の安全管理部門の介入をしていただくのですが、時間的猶予もなく、不幸にも介入していただけませんでした。

その後、このような状態ですので、患者様が亡くなってから御家様が病院にクレームに乗り込んで来られました。

ただ、私としては完璧でないにしろ、医学的に明らかに間違えた医療を提供していたわけでもないし、説明記録についてもきっちり記載していたので、大きな問題にはならないだろうと思っていました。

そのような状況ではありましたが、何度も会議に何度か呼ばれ、その度に、会議の出席者から怒鳴られ責め立てられ、患者家族様の面前で直接謝罪を求められました。

私も、そのような状況については、何かおかしいと思っておりましたが、ずっと謝罪と釈明をさせられるような状況でしたので、自分が悪いとばかり思っておりました。

なぜこのような状況になったのか理解できたのが、最後に患者家族様に対して何度も謝罪をする前に、安全管理の責任者と行った打ち合わせの時でした。

僕のカルテを、安全管理の責任者がまともにチェックしてなかったという事実が発覚したのです。

その後、僕に対する謝罪も一切なく、また、自分がカルテを見過ごしていたことは全く言わず、完全なパワハラ発言を沢山頂戴いたしました。

上記のような患者家族様の心ない暴言や、病院側の対応に絶望したことから、医療そのものや自分の専門に対する情熱を完全に失っていたことに気づき、これ以上は最前線で医師を続けて行くのは困難と自分の中で悟りました。

また、安全管理の責任者に対する怒りもおさまらず、訴訟をしようとも思ったのですが、これ以上争ったところで疲れるだけですし、そもそもパワハラ訴訟自体があまり賠償費用も取れないと弁護士さんにも諭されたことから、後ぐされなく辞めさしてくれるなら、自分としてはそれでいいやという結論となっております。


これが、私が医師を辞めるに至った経緯です。一応、今後は、引き続き出向機関で、医師という専門性を生かした仕事をすることになっています。

以上のような状態ではありますが、数日前に、お別れの挨拶した時あたりから、色々と、今までの良かった思い出などが思い出され、色んな人との人間関係も悪くなってしまったことを後悔し始めました。

また、急に新しい仕事に対する不安が押し寄せてきたり、自分がした選択に自信が持てなくなったり、なんだかんだで我慢して戻っていた方が安定しているし出世が約束されている道だったから良かったんじゃないか?とか、未練はないけれどよ、何年間も積み上げてきたことを無かったことにしたのは本当によかったのか?とか、思ったりしております。

一応、これらのことは、辞めると決めた時に、色々と悩んで腹を括ったことではあるのですが…。

大変お忙しいところ、誠に申し訳ありませんが、ご助言等いただけると幸いです。

なお、病院側は、私には現在の詳しい状況を情報提供してくれませんが、まだまだ、患者家族様がクレームに来ている可能性もあり、今後、裁判に発展する可能性もなきにしもあらずの状態ですので、もし、公表される際にはプライバシー等にはかなり気を付けていただけると幸いです。よろしくお願いします。

【ご回答】

非常に詳しく状況をご解説頂きましてありがとうございます。結論から申しますと、あなたの決断は決して間違ってはいなかったと思いますし、某組織への栄転が決まっていた背景もおありですし、逃げるようにして医師を辞めたようにご自身では思われているのでしょうけれども、順調な中で得られた選択肢をご自身の意思で選んでいることは間違いないと思います。

自分の言動や行動を客観視して原因を特定して解決できるだけの知恵と勇気をお持ちですので、特に私はあなたを諫めるつもりは毛頭ありません。

しかしながら、あなたの自己分析には大きな盲点があります。
「頭が良すぎること」つまり、優秀さが仇になっていて一般人とのコミュニケーションができていないのです。

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