「その意図は見えなくて」を読んで。急に現実感を感じさせる本
余談
個人的に、小説の感想は意図せずともネタバレに繋がる(先入観も含めて)可能性があるので書きたくありませんが、面白かったので書きます。
それ以外の理由として、ビジネス書や新書なんかは「情報」が書いてあるので、書いていいと思ってます。
小説は楽しむものだと思っていて、気になるものの情報を先に知ってしまうと面白さが半減すると共に、ただの「情報」として処理してしまって豊かさが失われるような気がしています。
ここは価値観の違いだと思ってます。
このテーマで記事が一本書けそうなのでこの辺で。
背景
この本を読もうと思ったきっかけは図書館でたまたま手に取ったからです。
最近感じるのは、個人的な趣味として表紙のアニメ調?に惹かれているかもしれません。また、題材としても高校生の推理小説なので、高校生くらいの人に手に取って欲しくてこういう基調にしているのかもしれません。
ざっくり内容
背景に書いたように、高校生の推理小説。短編集で話が5つ入ってます。個人的なイメージとして、金田一少年の事件簿と氷菓を足して2で割ったような感じ。
感想
感想としては、「金田一少年の事件簿と氷菓を足して2で割ったような感じ」に尽きるのですが、もう少し書きます。
私が金田一らしさを感じたのは、主要な人物のまわりが中々なことをしているからです。金田一では、同級生が殺人犯なんてことはザラにあります。それに近いと感じました。
氷菓で言うと、ヒロインの「わたし、気になります!」から色々と物事を友達と一緒に考え始めるのは有名です。本作品では、別に友達ではありませんが、部活仲間だったり、委員会仲間と物事を考えている点や視点が語られている人物の内面にリアルさを感じた所も似ていると思いました。
いくつかリアルさを感じた場面を紹介します。
2つとも違うお話しですが、同じようなことを扱っていると思いました。
前者で言うと、「何者」は決まっています(話の中で)が、その何者かはどんなことをするんだろう?というのを想像した人のことを違う人物が皮肉ってます。私たちも○○という職業の人はこんな人というイメージは少なからずかると思います。そういうイメージを他人から思ってもらえれば、「自分も○○」という集団に入ることになります。それを上手くいい表しているな~と感じました。
後者は、まさに今の私のような状態で一番刺さりました。実際に、このお話では、視点の人物が「おまえがまさかこれを引き受けるとはなぁ~」と言われることをしています。それだけ、その人がそれをやることは意外ですが、本人からすると、過去を振り返る手段でしかないです。私もこれからどうしようという事で結構、突飛なことをやったりしていて、周りの人を驚かせています。どうしたらいいか分からないから、ちょっと外れたことをして自分に新しい経験をさせてこれはどうだろう?と刺激させています。
後者で何となく方針が見えたら、前者の皮肉の通り、何かを演じるのかな~なんて思ってます。
これは、最近のSNSの発言に似ているのかなと。何か問題を起こした芸能人への罵声がまさにこれに当たるのかなって。どの動画かは覚えていませんが、youtubeでオリラジの中田さんも「芸能人にそんなに罵声を浴びせる必要がある?」なんて言ってた気がします。自分よりも成功してたり、目立っているのだから、ちょっとイラついたことがあったら粗探しをしてはけ口にする。似ていることなのかな~って思いました。
紹介したような、急に現実感を感じる場面が入ってくるので、外部から読んでいたのに急に当事者にされるように感じました。
最後に
再三ですが、「金田一少年の事件簿と氷菓を足して2で割ったような感じ」なので、本作品がアニメ化されると面白そうだなって感じました。
著者の藤つかささんは新人作家さんらしいので、作品を追っていきたいと思います。
学生ミステリー好きにはオススメな作品だと思います!
では、この辺で。
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