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『無用の効用』を読みました

以前、選書サービスを利用した時に「意味のないことをする」という主旨の本を薦められたので、図書館に目に留まったこの本を借りました。

この本は哲学者や著名な作家の言葉を引用して、著者がそれに対して言及するという形で書かれています。

昔(体感で1600年くらい)から無用の大切さについて書かれていたように思います。古典を読むことに対しても、「何かに役立ちそうだから」ではなく、「ただ読みたいから読む」が大切と書いてあったのが印象的でした。私はどっちの立場も理解できますが、後者はどちらかと言うと、世間的に有名だからとか古典だからという理由で読むこともあります。

正直に言うと、無用なことをすると言った意味については神秘的、直感的にそうしたいといったことしか分かりませんでした。意味自体を求めることが間違っているのかもしれません。

ですが、『暇と退屈の倫理学』でも書かれていた人は動物を狩るために狩りをするのではなく、狩りをすること自体に意味がある的なことが書かれいて、今まで読んできた本とのつながりを見つけることがありました。他にも、手段と目的、『攻撃される知識の歴史』で書かれていた焚書や公共機関での知識の保存が経済的な利益を理由に打ち切られようとしているといったことにも触れられていました。

無用が意味をなさないという点で、大学の就職予備校化についても触れられていて、私自身も「あー」と感じる所がありました。私が大学の講義を受けていた時にも先生が事務から成績を上げろと怒られたと話していたのを覚えています。なので、成績は甘めにつけますと宣言していた程です。ようするに、大学も資金確保のために学生を簡単に卒業させるための機関になってきているということです。お金を払えれば卒業させる、学生としても就職できる機会が広がりwin-winだよね?ということです。


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