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恋愛と仕事は似ている

先輩の退職から連想ゲームのように思い出した、わたしが独身歳上の男性に対して疑り深くなった話を書こうと思う。

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独身になってから一度、自社サービスでもある結婚相談所に入会していた時期がある。普段は絶対にない社員割引が、何故かそのサービスは効いたというのも理由の一つだ。

入会のくだりはこの件とは関係ないので省略するが、まぁとにかくそこで言われた「貴女に紹介できる男性は会員の3%」というセリフだけは忘れもしない。これは、当時の年収を見て言われたことだ。

入会後、会員用Webサイトで相手を検索しいわゆる「いいね」みたいなものを送って相手もOKならばメッセージ交換が始まり、一度会ってみたくなったら…というのは、昨今の婚活・恋活アプリと同様である。
一つ異なるのは、身元が明らかなのでサクラがいないとか独身しかいないとかだろうか。

そこでかなりイケメンの10歳程歳上の男性からメッセージ交換したいと来た。プロフィールを見るときちんとした会社にお勤めのようで、スーツ姿もバッチリ決まっている。何よりわたしのセンサーが働いたのは趣味の欄にあった「アイスホッケー」だった。

わたし自身アイスホッケーは全く知らない。ただ、当時の上司の一人が社会人リーグに出るほどアイスホッケーをされていたので、身近だったのだ。

話が逸れるが、その上司は3年か4年前に辞められたが、その方同様長きに渡り大阪支社勤務だった先輩の送別会が昨日。連想ゲームのように思い出したのはこれが理由である。

そのアイスホッケー。マニアックな競技の方ではないかと思う。なかなか自分の周りにこの競技をやっているという人はいない。思わず、何かのきっかけになるかもしれないと食いついてしまった。

メッセージのやりとりで、アイスホッケーのことを聞くとやはりプレイ人口は少なく、わたしの上司はその人とも時々いっしょにプレイしている程近い人だった。

「◯◯にはここに登録してること言わないでくださいね」

こう言われたものの、Facebook上でも繋がってしまったのでそのうち「なんで知り合いなん?」くらいは聞かれそうな気がしていた。

そんなこともあって、メッセージのやりとりだけではなく、一度飲みにでも行きましょうとカジュアルに会うことにした。
実際に会って話を聞くと、元アナウンサーで今は裏方(つまりは管理職)ということも判明。道理で整っているわけだと思った。

話題も豊富だし全く退屈しない。婚歴にバツはついてないが事実婚が10年程あったらしく、色々と合点がいった。

「今度ドライブ行きませんか?」

誘われて断る理由もなかったし、久しぶりにドライブに行ける嬉しさもあってもちろんOKした。

その夜は1次会で終了し解散。その後もLINEで比較的毎日やりとりをする仲になった。

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カジュアルに飲みに行ってからドライブの約束まで、約3週間あった。
飲みに行った後、2週間を経過する頃から、LINEのやりとりのテンポが遅くなった。正確にいうと、わたしは変わらないのだが相手からの返事が遅い、もしくは既読スルーになるのだ。

別に付き合っているわけではないので、そのことに対して目くじらを立てるつもりはなかった。ただ、明らかに「何か」が起きたんだと思った。

アイスホッケーは女子もある。もちろん男女問わず社会人リーグとして参加している同じチームの皆さんは、家族ぐるみで仲が良さそうだ。
Facebookを見ているとだいたい同じメンバーで写真に写っていることが多い。

またその人は元アナウンサーなので、他局、地方局の女子アナと繋がりはとても多い。

なので、女性との出会いに関しては困ってないと直感的に感じていた。
どういうポイントでその人が恋に落ちるかはわからないが、きっかけはたくさんあるだろうと思っていた。

なので、そのうち「ドライブ、キャンセルさせてください」という連絡が来るかもしれないなとその時から思っていた。

だが結局ものすごくLINEのやりとりが減った状態でドライブ当日になってしまったのだ。

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ドライブは、その人の故郷界隈まで蛍を見に行こうという内容になっていた。わたしがリクエストしたわけではない。

道中もその人の幼い頃の話を聞きながら、よく行くお店に立ち寄ってランチをしたり、牧場に立ち寄ってアイスクリームを食べたり、道の駅で採れたての野菜を買ったり、至って普通のドライブデートだった。

ただ、わたしは、手を繋いだり肩が触れ合ったりするような距離にはいけない壁をその人に感じていた。ある一定の距離から近づけないのだ。

結果、蛍はとても綺麗に見えたのだけど、ロマンチックなことは何一つ起きず、その人のよく行く近くのカフェでカレーを食べて家まで送ってもらいデートは終了。

「じゃあ、また」

と言われてお別れしたが、なんだか全然腑に落ちなかった。

LINEでその日のお礼を送る。そのついでに、直球で聞いてみた、わたしとの今日のデートはどういうつもりだったのか、と。

「約束したので連れて行きました。ほかに気にかかる人がすでにいます。すみません。」

返事はこのような内容だったように思う。
これは、正直わたしはもとよりその気にかかっている人に対しても失礼なのでは、と思った瞬間熱が冷めた。

後のことはあまり覚えてないが、もう会わないことにしたのと、Facebookは引き続き繋がっておく話をして終わったように思う。

2年後、どうやらその人と念願の入籍を果たした投稿がFacebookに上がり、わたしはそのときそっとその人を友達から外した。

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恋愛は仕事じゃない。でも似ている。

でも仕事での交渉でもほかに本命の会社ができていてほぼそこに決まるならば、相手の会社のことを思えば思わせぶりなことはせずサッサと断る。お互い余計なコストがかかるからだ。

恋愛の場合も同じだと思う。
若いときであればそんなやりとりも楽しめる余裕がある。だが、もういい年なのだ。正直、駆け引きはしんどい。成就しないとわかっている恋愛の駆け引きに時間を使うくらいなら、他のことに時間を使いたい。

当時そんなことを思った。

ただ、ドライブで行くことのなかった場所に行けたことと、自然に触れ合ってリフレッシュになったことが、自分にとっては有意義だったからよし、と妙にあっけらかんとしてすぐ立ち直った記憶も残っている。

だが同時に、バツの付いてない独身歳上の男性に関しては疑い深くなったことは確かだ。

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