「国民の智恵によって最良の政策を作り上げる手法」:多様な意見は、一人の天才の意見に勝る
まず、旧来から、世界各国においては、"一般民衆の意見は間違ったものである"というのが、一般的であると言え得ます。
そして、その事は、議会が世襲議員によって固められ、ほぼ全ての政治の実権が官僚達に握られているような、所謂、特権階級による政治が、日本で行われている事からも明らかであると思います。
しかし、私は個人的に、"今後は、国民の知恵や経験に頼って政策を作ったり、国家や政治の方針を定める際、国民の意見を取り入れる方が、国は良い方向に進むのではないか"と思っております。
ですから、本noteにおきまして、何故、そのように考えられるのか?という事について、証明させていただこうと思います。
1.集合知とは何か?
集合知とは、簡単に言えば、"たくさんの人の知性を集めると、より優れた知性が登場する"と言う概念です。
他にも、1968年に、アメリカ海軍のスコーピオン号が沈没した際、数学者、潜水艦の専門家、海難救助隊という各専門家の意見を集め、ベイズ推定という手法を用いて、意見の集約化をした所、予想された地点から、僅か200mの地点から、沈没艦が発見されたという逸話もあります。
更に、インターネット上には、集合知を利用したサービスが多数存在します。
その代表例が、Yahoo知恵袋やGoogleになります。
Yahoo知恵袋を利用された方であれば、インターネット上で、質問をしただけで、各分野に精通したプロフェッショナル達から無料で回答を貰えるという画期的性を実際に体験いただいていると思います。
GoogleやAIも、集合知を利用したサービスである
最初期のGoogleの基本的なアルゴリズムは、"どのURLが、あらゆるサイトに一番添付されていたか?"というものであったそうです。
現在では、アルゴリズムが度々変更されているそうですが、その根本にあるのは、"大衆による人気投票の仕組み"と採用している事は間違いありません。
そして、Chat GPT等のAIサービスというのも、インターネット上にある意見を統合し、一定ルールの下で、集約されたものを算出するという仕組みであるので、ある意味、集合知を利用していると言えます。
2.集団が優れた意見を出すための条件
ただし、集団が、優れた意見を出すためには、一定の条件を必要とするとされております。
そして、その条件として、多様性・独立性・分散性・集約性という4つ必要があるとの事です。
まず、多様性とは、回答のバラツキの事で、回答者が多ければ多い程、推定値は正解に近付くというものです。
次に、独立性とは、回答者には、個々人の独立した判断が必要とされるというものです。
つまり、回答をするまでに、事前の話し合いをするのではなく、各々が、自発的に正しいと思った意見を主張する事が重要であるという事です。
そして、分散性とは、分散性とは問題を解くための知識や技術が個人に、あるいはローカルな集団に分散していることを指します。
つまり、各々が、各々の専門分野に特化した知識や経験を持っている事が必要であるという事です。
そして、最後の集約性とは、ローカルに分散した知をグローバルに役立てるために、適切な集約が必要とされるというものです。
例えば、集約アルゴリズムや集合知の結果を集約する前に個人が知ってしまうと、分散性・独立性は保てないため、その都度、適切なアルゴリズムを適用する必要があるという事です。
3.実際、どのような運用になるか?
そして、"どうやって、そういった集合知を利用し、政策の立案や政治の方針に反映させるのか?"という話になりますが、それについては、維新の会が実施している政策の公募システムが参考になると思います。
やはり、そこで、一番重要なのは、"政党がそれを主導する"という点にあると思います。
実際、政府(官僚)が、集合知を利用するための制度として、パブリックコメント制度なるものが存在致しますが、結局は、官僚達が、一から作り上げた法案に対して、若干の修正を加えるといったもので、実際問題、あまり機能していないと言えるでしょう。
ですから、今必要とされるのは、国民が一から政策を作り上げ、国民の力だけで政策を実現させるというものであり、そのためには、政党が主導し、国民の意見を集める必要があると思っております。
なので、将来的には、法改正を行い、"良い政策を政党に提供した者には、懸賞金を支払う"といった事も、行っても面白いと思います。
まとめ.
個人的に、今や、だらしない政治家達や、民意から大幅にズレたような政治を続ける官僚達よりも、優秀な意見を持っている国民は数多く存在すると思っております。
ですから、その国民の智慧を、有効活用しない事は、非常に勿体ないと感じております。
例えば、蟻や蜂のような昆虫達を見てみても、"個体"としてみれば、大した知恵を持ちえず、非力な存在であると言えるでしょう。
しかし、それを"集団"としてみた場合は、人間から見ても、"賢く、優秀である"という判断が下せると思います。
勿論、人間というのは、昆虫に比べ、遥かに、一人一人の知能が高く、記憶力も高いため、全く同じであると言う事は出来ませんが、今の日本社会に適用して考えれば、似たような事が、類推できるのではないでしょうか。
やはり、国会議員や官僚と言えど、所詮、1000人弱、65万人弱の集団でしかないため、知識量や経験量を積み上げていった場合、約1億2000万人の集団である国民には、到底勝ち目が無いと思います。
なので、ただ、その意見の集約法や活用法が、間違っている事が多いため、本来の力が、発揮されていないだけと言えるでしょう。
以上を総括して言える事は、"今後の時代においては、独裁政治であったり、貴族による専制政治が行われるよりは、民衆の力を上手く引き出せるような、半直接制民主主義の方が、上手くいくことは間違いない"という事です。
そして、その事は、AIやGoogleの台頭等から、既に証明されかけていると言えるでしょう。
ともすれば、"集合知を有効活用できる国家や集団こそ、今後生き残る可能性が高い"と結論付けさせていただきます。
参考文献.
・集団と集合知の心理学 改訂版
・「多様な意見」はなぜ正しいのか 衆愚が集合知に変わるとき
・群衆の智慧 (角川EPUB選書)
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