AKI IMAMURA

デザインやアート活動をされている方のアシスタントをしています。小林賢太郎さんのファンで…

AKI IMAMURA

デザインやアート活動をされている方のアシスタントをしています。小林賢太郎さんのファンです。

マガジン

  • 旅する日本語展2020

    優秀賞[信濃八太郎賞]を頂きました 羽田空港のアートプロジェクト「旅する日本語」展と連動した旅に纏わるエッセイコンテスト 審査員 小山薫堂 信濃八太郎 主催 羽田空港

  • あのときの、甘いもの

    佐賀県唐津市のフリーペーパーfeel連載 2022年〜 唐津市バスセンター内のカフェfeelが発行する町の情報誌に詩が載りました。 2022年春にはじまったこのシリーズは 2020年から1年間不定期に焼き菓子販売をしていた頃に知り合った友人に頂いた写真と言葉が元になっています。会えなくなった今もその人が生きた時間を繋いでいけたらと思います。

  • SAIHATE

    佐賀県唐津市のフリーペーパーfeel連載 2020年〜2022年 全10回 唐津市バスセンター内のカフェfeelが発行する町の情報誌にエッセイが載りました。

  • art

  • trip

最近の記事

    • フウロ茶

      仄暗い箱の中 そこでは 時を飲むことができる 季節になると お湯が湧き 風は舞い 若葉を落とす お湯の中で 葉は踊る 時を飲む 風は沈黙し 真っ直ぐに流れ出す それがフウロ茶です

      • おませなピンク

        出かける支度をはじめた彼女は わたしを見上げて 言うのです “あたし ぴんくがすきなの” その横顔はスンとして 随分とお姉さんになっていました ちいさな鞄の隙間から ちらりちらり ぴんくのおやつ 見え隠れ いってらっしゃい

        • 暁月果実

          月霞む 夜明け前 波音の丘へ 黄色い果実をとりにゆく 陽が昇ると消えてしまうから 知っている人はきっとほとんど居ない 黄色い果実を丸ごと搾ってつくる、 ほろ苦いケーキは 不思議なことに 口にふくむとパチパチスパークする つま先立ちで実をもいでいると ”もうすぐみんな眠りから覚めるよ” 東の風がわたしの髪をゆらして知らせる 空にオレンジが滲み 黄色い果実は 白い月と一緒に ゆっくり透けてゆくのでした

        マガジン

        • 旅する日本語展2020
          1本
        • あのときの、甘いもの
          7本
        • SAIHATE
          10本
        • art
          4本
        • trip
          2本

        記事

          火蜜

          やっぱりすきなのです 外へ外へと目を向けていたものだから いつのまにか 見失っていたようです 外を見ると “甘いもの”はいくつもありました だけどキミが炎の中から巻き取る透き通った蜜は特別 火口から溢れる溶岩のようなのです 生地にかさねるとジュッっと蒸気で包みこみ 濡れたお菓子に仕上げてくれる 火の蜜

          星屑寒天

          その日、月のない宙に散りばめられた瞬きが わたしの中に染み込んでいった 降り注ぐ光を追いかけると カケラフタツ落ちていたの “これを寒天でとじこめてみてよ“ 声はしても姿はない ポケットにしまって声を探しながら来た道を戻った 溶かした寒天の中にカケラフタツを落とすと キラキラと散らばって とろみの中に染み込んで固まった ひとつまみして そのやわらかな星屑を唇にあてる 目をとじると 彗星のそそぐ夜に わたしに触れたあの声が聞こえるのでした

          星屑寒天

          琥珀色の湖

          ぽとぽこもこ あつい水で雲をつくる人がいます ぽとぽこもこ ぽとぽこもこ ぽとっと垂らした水で ぽこっと雲を膨らませると ポットからつーっと細い水を注ぐ そうやってもこもこに膨らんだ雲から降る琥珀色の雨を ガラスに集めて湖を作ってくれる その湖はブルーベリー模様のカップにそそがれて 私の前に置かれるのです 角砂糖ぽとり 琥珀色の水面に三日月ふたつ浮かんで 見上げると珈琲屋の店主はにっこりでした 2022年 ブルーベリーが色づいてきた

          琥珀色の湖

          笹に雫

          いつからそこにいたのかしら 笹の葉を集めるわたしを 虫籠を持ってじっと見ていたの その瞳に映るサラサラの葉に気づいて “これはおやつの飾りつけに使うの” そう声をかけると さっと走り去ってしまった 立ち尽くすわたしの頬に水を含んだ風が触れて 空のこぼしたひと雫はポロンと笹の葉を鳴らすので 今朝、天気予報で眺めた傘マークの数を思い出す 2022年 もうすぐ七夕

          最果てからの手紙10

          _last letter_手紙を書くことはありますか? 言葉を綴ったその時間は、今ここではない何処かに繋がっていると教えてくれた手紙の話でこの連載を終わりにします。 小学生の頃、漫画雑誌の文通コーナーで見つけたメッセージ宛に手紙を送っていました。今日の良かったこと、飼っていたウサギのことに始まり文末には決まって“お返事待っています”の一言を添えて。貰えるのかもわからないお返事の手紙が郵便受けに入っているのを見つけた時はいつも踊ってしまうほど感動しました。 会ったことのない誰か

          最果てからの手紙10

          最果てからの手紙09

          このところ外出を控えている方は多いと思います。私は部屋で映画をよく観るようになりました。そんな“お部屋シアター”の魅力を紹介します。一番の魅力は観終わったあと物語の余韻に浸るひとときにあります。心地よく過ごせるようにソファと画面のある空間に花を飾ったり、暖かい飲み物を作る準備をして整えます。見ながら飲むのも素敵ですが、エンドロールの音楽をBGMにしてコーヒーをハンドドリップすると映画の世界にお邪魔した気持ちになれます。ソファでくつろぎながらカップから立ち昇る湯気を眺めたり、焙

          最果てからの手紙09

          最果てからの手紙08

          これまでにどれくらい願い事をしましたか? 新年を迎えると未来を思い描く時間が増えます。そのイメージを鮮明に描けたら、いずれカタチになると私は思っています。この連載もエッセイをどこかに掲載したいと考えていた時に頂いたご縁でした。自分から売り込みにいく 行動力は無いので、どうしたら良いかと考えた末 SNS に文章を載せることにしました。書籍や作家さんの紹介文を載せて、ハッシュタグをつけて発信。その 他にコンペティションに応募するなど人目に触れる工夫をしました。見つけて頂けるように

          最果てからの手紙08

          最果てからの手紙07

          遠くへ行くことだけが旅なのでしょうか? そんなことを考えて過ごす中で見つけた気軽に冒険する方法を書いてみようと 思います。 まとまった期間一人になって気の向くことだけをして過ごしてみてください。 これは家庭、仕事から一旦、手を離すということです。先ずは1日試してみましょう。一人の時間を確保したら頭に浮かんだ関心に向 かって行動開始。例えば、先日森に行きたいと思ってスマートフォンで検索し ているとたまたま美味しそうなパン屋さんを見つけました。どれどれと Instagram を

          最果てからの手紙07

          最果てからの手紙06

          色んな事が大きく変わり、 塞がれてしまうことの方が多いように感じて気分がしぼんでいたある日、 サップ(スタンドアップパドルボード)用ボードに乗って海を進むと体を巡っ ていた様々な言葉がいつの間にか消えていました。 パドルをひと漕ぎすると一つ言葉が消え、一つ進むと一つ軽くなって、 海原を漕いで漕いで頭に詰め込んだ言葉をポイポイ棄てるつもりで水を斬る。クールミントガムの清涼感に頭を刺激された時のように爽快で出発した海岸が 遠くぼやけて見える頃には体が軽くなったように感じました。

          最果てからの手紙06

          最果てからの手紙05

          ユーラシア大陸の最果てポルトガルで呼子のイカの形をした最中「烏賊もなか」そっくりのお菓子を見つけました。 ポルトガルで出会ったのは海産物モチーフの皮に黄金色の餡を詰めたお菓子オヴォシュ・モーレシュ。大西洋の干潟に運河を巡らせた町“アヴェイロ”の郷土菓子です。パティスリーのショーケースに魚、ホタテ、サザエの形をした最中が可愛らしいレイアウトで並んでいるのでドキドキしながら購入したのですがその濃厚かつ個性的な甘みは、もう食べなくても大丈夫かなあという気分にしかならず、さらには急い

          最果てからの手紙05

          最果てからの手紙04

          人はどうして贈り物に花を選ぶのでしょうか。先日麗らかな日差しに誘われて散歩をしていると可憐な花に恍惚として、スマートフォンのカメラで撮影しその場でフランスに住んでいるお友達に送信しました。こんな機能がない頃は一片の花びらを持ち帰り風景を思い出しながら音楽、絵、言葉に変えていたのかなと想像しながら。花の姿は永遠でないと知っているからこそ、見た瞬間の感動や儚さを残したくなる気持ちは今も昔も同じで、その根底に流れているものは「人を想う心」。季節を愛でながら感動を分かち合いたい人の存

          最果てからの手紙04

          最果てからの手紙03

          毎年、季節になると訪れたくなる場所はありますか? 私は年が明けると雪国に気持ちが向きます。晴れの日に舞う粉雪と珈琲から昇る湯気を眺めるカフェの席でふけってみたり、夜、街灯の光を反射して地面にスワロフスキーが散らばっているかのような瞬きを放つ雪道をペンギン歩きで進む家路。そんな暮らしをしていた頃を思い出して北海道へ行きたくなります。氷点下の屋外から湯気立ち上るラーメン屋さんに入ったときの肌の緩みも病みつきになるし、スパイスの香りを全身に浴びてスープカレーを飲み干した後は温泉に入

          最果てからの手紙03